僕らのプライオリティ

須藤慎弥

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後日猥談

─初夜─7

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 初めて味わう感触に膝が笑っていて、力が入らなくなった肘はすでにベッドに沈んでいる。

 枕に顔を押し付けて悶えていると、自然とお尻が浮く。それが僕のアナルを夢中で解してるりっくんの手助けになってるなんて思わなくて、ひたすらぬめった感触から逃れようとお尻を振った。


「ただそうすると、君が余計なことを考えてしまう。これじゃ本末転倒だ」
「んぁ……っ、あっ……ひぅっ……!」
「では冬季くん。そうならないために、どうしたらいいか……分かりますか?」
「あっ……え、っ?」


 りっくんの話なんか、聞いてなかった。話半分とかじゃなく、全然頭に入ってこなかったんだ。

 いじられまくった乳首がシーツと擦れて、お尻を揺らすたびに僕は一人で喘いでた。この状況に興奮しないはずもなく、寸止めされた僕のモノは寂しくぷるぷる震えてる。

 自分で触ろうとするほどの余裕も無いし、そうかと思えばりっくんは急に離れていった。

 舐めながら散々揉んでいたお尻にチュッとキスを落として、僕の後ろ髪をさらりと撫でてきたりっくんを恐る恐る振り返る。


「思う存分、お互いに我儘を言い合えばいいんですよ」
「あ、ゆ、指……っ、りっくん……待っ……あぁ……っ!」


 いったい何の話をしてるのやら、結論が出たらしいけど聞いてなかった僕にはさっぱりだった。

 お尻をいじくるのをやめてくれたと安堵した矢先、今度はローションを纏わせた指でアナルをツンと押してくる。

 うわ、どうしよう、入ってくる……っ!

 そう思った時には、片膝を立てて本腰を入れ出したりっくんの指がアナルに突き立てられていた。


「い、あぁっ……!」
「よく解れていますね。この分だと、やはり先週には繋がれていたんじゃないですか?」
「あっ……んんっ……!」
「俺のこと、焦らしたんですね?」
「ち、ちが……っ、そんなこと……っ」


 お風呂場で準備してたそこは、りっくんの指を簡単に受け入れた。

 ぐちゅん、クチュッ、と濡れた音を立てて、どんどん指を飲み込んでいく様を見たりっくんが、少しだけ落ち着きを取り戻している。

 結論が出たからなのか、僕が焦らしたと思い込んでさらに怒りを強めたからなのか、僕の腰を片手で支えて指の付け根まで入れたりっくんの声色に、ドクンと心臓が高鳴った。

 僕の指じゃ到底届かなかったところで、りっくんの長い指がじわじわと蠢いている。今僕のお尻を、あのりっくんが拓いてると思うとドキドキした。


「あっ……あっ……り、っくん……っ」


 たった一本、指が入ってるだけなのに。

 なんでこんなに気持ちいいの……。

 噂に聞く前立腺を刺激されたわけでもないし、それを性急に探し回ってる風でもない。

 りっくんはただゆっくりと、僕のアナルに指を入れては抜き、入り口を拡げるように優しく回すだけ。

 でも僕は、背中が震えるほど気持ちよく感じていた。


「はぁ……たまりませんね……」


 りっくんの吐息まじりの声に、僕の興奮はさらに高まっていく。


「りっくん……っ、やだ、っ……僕……っ」


 どうしよう、気持ちいい……っ。こんなに感じるなんておかしいよ……!

 自分の指じゃこうはならない。

 少しも萎えない自身も信じられなかった。

 りっくんが使ったローションに変なものでも混ざってたんじゃないかってくらい、アナルを出入りする指に感じてしまった僕は、枕を握り締めて小さくお尻を揺らした。

 舌から逃げたかったさっきとは違って、りっくんにもっと縦横無尽に動き回っていいと誘うように指を締め付けた。


「こら、締めないで。まだ慣らしているだけですよ」
「あっ……だ、って……! んっ……もっと、強くして……ほし、……っ」


 りっくんは優し過ぎる。

 僕の体を傷つけないように、指先にまで気を遣ってるんだもん。

 お尻を揺らしてねだるはしたない僕を、もっと叱ってほしい。

 慣らしてるだけ、なんてつれないこと言わずに、今すぐにりっくんの太いの挿れてくれたって構わない。

 叱られても誘うことをやめない僕は、りっくんの指を締め付けて「んっ」と自業自得のうわずった声を上げた。


「困りましたね。……冬季くん、気持ちいい顔、見せてください」
「あ、……っ、りっくん……」


 僕が締め付けてるせいで抜けない指をそのままに、また後頭部に触れられた。

 とても見せられるような顔はしてないと自分でも分かってたのに、りっくんに言われるがまま枕から顔を起こす。



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