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~三月某日~(全九話)
──その後のおまけSS──
しおりを挟む荻蔵から奪った小瓶片手に、葉璃の待つ部屋に戻った聖南は、ベッド中央に盛られた布団に勢い良く飛び付いた。
「はるー! ……んっ!?」
予想に反し、ばふっと聖南自身の身体だけがベッドに沈んで盛大に首を傾げる。
……葉璃が居ない。
「葉璃っ? 葉璃っ!」
ホテルの一室に聖南の大声が轟く。
飛び付きが空振りに終わってしまい、ここに居るはずの葉璃の姿がない事に激しく狼狽えた。
たった十分ほどの間に一体どこへ行ってしまったのか。
「もしかして……」
……抱き過ぎたのか。
ベッド脇に、自身が飲んだと思われるグラスに注がれた白ワインを発見して立ち止まる。
媚薬入りのココアを一気飲みして我を忘れた聖南は、約九時間に渡って葉璃を貫き続けた。
とうとう嫌になったのかもしれない。
日頃から「しつこい」「長い」「疲れた」と葉璃は涙ながらに聖南に訴えてくるが、嫌よ嫌よも何とやらかと都合よく解釈していた。
昨夜の聖南は半分意識がないような状態で、どんな風に葉璃を抱いたのか記憶が朧気だ。
通常は一滴使用のものを五滴も盛られたのだから、当然と言えば当然である。
酒のほとんど入っていない、かつ体の大きな聖南だからこの程度で済んだものの、記憶が所々飛ぶほど効果抜群だったアレのせいで──葉璃がどこかへ消えた。
「あの野郎……殺すか」
聖南は握り拳を作って震え、サイドテーブルの上のグラスを見詰めた。
「いや、殺す前に葉璃探さねぇと!」
今は怒りに任せてスキャンダル俳優に気を取られている場合ではない。
徹夜で聖南からの激しい愛を受け止め続けた葉璃を探すべく、部屋を出て行こうとした聖南はふと足を止める。
「……なんだ……シャワー浴びてんのか」
扉を入ってすぐのバスルームから流水音が聞こえて、心底ホッとした。
そうだ、葉璃は何かとシャワーを浴びたがる綺麗好きさんだった。
聖南が一晩中離さなかったせいで、体中がベタベタな葉璃があのままベッドでおとなしくしているわけがない。
軍服衣装の下の聖南の素肌も汗で気持ちが悪いので、一緒に入っていいかと尋ねようと磨りガラスの前に立つ。
「はーるちゃ……ん……っ!?」
早くも衣装に手を掛けていた聖南が、中から聞こえた魅惑の声に動きを止めて磨りガラスに張り付いた。
「……んんっ……ん、んんっ……」
……たちまち、胸が早鐘を打つ。
これは明らかに葉璃の喘ぎ声だ。
『えっ、えっ、えっ、えっ? は、葉璃が啼いてる!? オナってんのか!? いやもう何も出ねぇだろ、さすがに!』
「んっ……っ、……もう……っこんなのできないよぉ……」
『おぉぉっっ? なんだ、何が出来ないって!? すげぇ見てぇ! ……ちょっと覗いちゃお……』
昨夜の大暴れが嘘のように、葉璃の啼き声だけでスラックスの前がキツくなる。
隙間から中を覗いてみると、こもった湯気で葉璃の姿は半分しか見えなかった。
『天使……! 天使がいるぞ……!!』
聖南の目がカッと見開かれ、ひとりで何をしているのか可愛く啼いている天使を凝視する。
「……ふっ……っ……ぅぅ……できないぃいー……っ」
『か、か、かわいー! 何が出来ないんだ! 聖南さんに見せてみなさい!』
「届かないよぉ……っ、聖南さん……っ」
『呼ばれた! 俺の事呼んだ! て事は入っていいよな!?』
可愛く名前を呼ばれてしまっては、もう我慢出来ない。
湯気で肝心な所が見えなかった聖南は、三秒で衣装を脱いで中へと入った。
「──っっ? 聖南さん……!」
驚いて目を丸くする葉璃は、バスルームの床に四つん這いになり、自身の穴に中指を挿れようと奮闘中であった。
「葉璃ちゃん……そんなやらしい格好して……何してんの……?」
「あっ、いや、これ、これは……!」
「オナってた?」
「違いますよ! ……そ、その……お腹痛くなっちゃうって、聖南さん言ってたから……」
「あー……俺のを出そうとしてたのか」
出しっぱなしのシャワーにあたりながら、葉璃がペタンと床に座る。
この真っ赤に染まった顔色は、バスルームにこもる熱気のせいか。
それとも後処理する現場を聖南に見つかった羞恥のせいか。
──どちらにしても、可愛い。
「指入れてみた?」
「それが……俺の指じゃ、奥まで届かなくて……」
「そうかそうか、そうだろうな! 葉璃ちゃんの小さいおててじゃ無理だ、うん」
「……あの……聖南さん……してくれませんか……?」
「か、ッッ」
『かわいーーーーっっっ!』
必殺上目遣いで困ったように言う葉璃に、聖南は悶絶した。
ただしその興奮は表には出さない。
葉璃を四つん這いにさせた聖南は、ボディーソープを指先に纏わせ、ヒクつくそこへぐちゅっと躊躇いなく挿入して掻き回した。
「んぁっ……っ……んっ……」
「ごめんな、葉璃。 気持ち悪かったろ」
「んん……っ……ん、ん……っ」
「疲れただろうし、早く寝たいよな」
「……っ? せ、せなさ、ん……?」
夜通し貫いたはずなのに、そこはすでにキツく窄まりかけていた。
手早く中を慣らして、立ち上がった自身にもボディーソープを塗りたくる。
「これが終わったら朝メシ食って、二人で夜まで寝ちまおうな」
「え、ちょ、待って、……っ、せなさんっ……中の出してくれるって……っんぁぁ──っ」
葉璃の体に覆い被さった聖南は、細過ぎる腰を持ってずぶずぶと中を分け入る。
仰け反った小さな顎を支え、葉璃の耳に口付けて囁いた。
「なぁ葉璃ちゃん。 葉璃ちゃんにメロメロな俺に、あんな刺激の強いおねだりしちゃダメだぞ♡」
「おねだりなん、て……っしてない! も、もうっ……せなさん……っっ」
床についた膝が擦りむいてしまわぬよう、聖南は葉璃を抱え上げて背後から抱き締めた。
何度放ったか分からないが、九時間抱いた後にも関わらず媚薬が抜けてもこんなに欲は尽きない。
証拠として奴にこの現場を見せてやりたいくらいだ。
───どんな事があっても、葉璃の乱れた姿は誰にも見せはしないけれど。
~三月某日~終
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