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しおりを挟むごはんの後、聖南が常備してた俺の薬を飲んでからお風呂に浸かろうと言い出したのは聖南だ。
いつもここではシャワーで手早く済ませる俺を、お湯を張って温まる事を薦めてくれた聖南は本当に優しいと思う。
俺を洗う手付きがずっとやらしいのは抜きにして、だ。
「これで明日まで葉璃は俺の匂いになるな」
「……匂い……そんな重要ですか?」
笑いながら聖南のいる浴槽にちゃぷんと浸かると後ろからぎゅっと抱き締められて、体温とお湯の相乗効果でより温かい。
アキラさんとケイタさんの前で恥ずかしげも無く「俺の匂いがしねぇ」と呟きながら俺を嗅ぎ続けてた事を思い出して、また笑いが溢れる。
「重要。 はぁ……早く葉璃と暮らしたい。 ……寂しくて心に穴が空いた」
「え? 空いてないですけど」
「空いてたんだよ! ったく……こういう時の葉璃ってほんとドライだよな」
振り返って聖南の胸元を見た俺がわざとらしく首を傾げると、聖南は憤慨した。
真剣にそれを訴えてくる聖南の胸に、そっと背中を預ける。
そんなの……俺も寂しかったよ、当然。
お互い忙しくて電話する暇も無くて、でも毎日、ふと聖南を思い出しては「仕事、頑張ってるかな」ってよぎらせて自分を奮い立たせてた。
聖南も頑張ってるなら、俺も頑張らなきゃって。
そんな聖南が心に穴が空いたなんて言うから、ちゃんと仕事してたのかって問い質したくなったけど、聖南にはアキラさんとケイタさんという強力なお目付け役が居るから大丈夫だと思っておこう。
「あ、……聖南さん、ごめんなさい……まだこれ残ってますね……」
振り返って見付けてしまった聖南の肩口には、俺があの日噛んだ痕がまだ薄っすらと残っていた。
かなり薄くはなってるけど、これは相当赤く滲んでたんじゃないかと思わせるくらい、二週間近く経ってるのにまだそこにあった。
「ん、これな? いんだよ。 もっと痕残せ」
「……痛っ……」
くるりと体を反転させられて聖南の方を向くと、胸元を二度キツく吸い付かれた。
横並びでついたそれを指でなぞる聖南の瞳が、一瞬にして雄の目になる。
「聖南さん……、ダメですよ、今日は」
「なんで」
「……明日もレッスンだし、聖南さんも仕事だから」
「葉璃のレッスンは午後からだろ、なら二回で我慢しとく」
その二回って何時間ですか、って聞くのが怖くて黙ってると、目前の聖南が舌を出して誘惑してきた。
いつものキスの催促だろうと、俺は聖南の舌をペロッと舐めてみたら途端に彼は猛獣と化した。
「んっ……や、……ふっ、……ん……」
湯船のお湯が激しく波打つほど、両頬を捕らえられて深く口付けられ、舌を甘噛みされる度に頭がボーッとした。
唇ごと持っていかれそうなくらい、聖南は何度も角度を変えて覆い被さる。
ぴちゃぴちゃと響く、お湯なのかこのキスなのか分からない恥ずかしい音に腰がムズムズして、俺も聖南の両頬を捕らえて耐えた。
「……んっ……ん、ん……んんっ…」
唾液の交換も慣れてきた。
気持ちいい。
聖南の体液が俺の中に入ってくる愛しさに、俺も夢中になって応じた。
「うまくなったな、キス」
離れていった唇を恋しく思いながら、ぼんやりした視界の先で聖南がニヤリと笑う。
そりゃあ、これだけ何度もやってたら聖南のキスの仕方も分かってくるよ。
「……聖南さんに仕込まれましたから」
「すげ。 そんな事言っちゃう?」
湯船の中で聖南の掌が俺のものへと伸びてる事はわかってた。
すでに俺の先走りがお湯と混じってる事も、聖南も俺も分かってて、それでもやめたくなかった。
触ってほしい。 聖南になら、何をされてもいい。
握ってはくれてるけど、それ以上の強い刺激を与えてくれない聖南の肩を抱いて間近でねだってみた。
「聖南さん……ここでするの?」
「どうしよっか」
「…………分かってるくせに」
「ふっ」
俺はきっと、すごく甘えた声を出してた。
どんなに聖南が俺を焦らして遊んでも、瞳をジッと見詰めたらちゃんと願いを叶えてくれるって、もう知ってる。
「卑怯だぞ。 葉璃がその最終兵器使いこなしだしたら、俺死んじゃうじゃん」
「……何のことかなぁ……」
「このやろっ」
知ってて知らん顔する俺に、聖南も微笑んで応戦してきた。
お湯だと滑りが悪いって文句を言いながら、穴を拡げてくる手付きはいつもと変わらず優しくて、ずっと「痛くないか?」って気を遣ってくれた。
拡げる事に慣れてる聖南の指は、すでに一発で俺のいいところを探り当てるから、俺の声が浴室中に響いてて…顔が熱くなって困る。
恥ずかしくて聖南の首筋に顔を埋めると、濡れた髪を優しく撫でてくれた。
聖南の掌は大きくて温かくて、いつも俺を安心させてくれる。
「葉璃、出よ。 のぼせてる」
「……んっ……聖南さんが?」
「葉璃がだよ」
頭がボーッとして体が火照りまくってるのは、聖南とこうしてるからじゃないのって思ったけど、やけに心配そうに俺を抱き上げた聖南にはもう届きそうになかった。
つい目がいってしまう聖南の中心部は元気良く立ち上がっててツラいはずなのに、そのまま俺は下着だけの姿でベッドに横たえられてしまう。
「ほっぺた真っ赤」
「大丈夫なのに……」
「……水取ってくるから、いい子にしてろ」
「……優しい……」
ほんとに、人は見た目によらない。
ベッドに横たわった俺のほっぺたを撫でてからキッチンへ行ってしまった聖南の背中に、行かないでって言ってしまいそうだった。
冷たいシーツとふわふわ毛布が、俺の熱くなった肌を急速に冷ましていくのが分かる。
のぼせてたんだ、俺……。
そんな事にも気付かないで、聖南とエッチな事してるせいだって思ってたなんて、夢中になり過ぎた。
雄の目をした聖南を見ると、俺の中の欲望も一気に掻き立てられて、わけが分からなくなるから困る。
久々に会っても変わらず俺を欲してくれてると思うと、気持ちも昂ってて制御できなかった。
早く早くと聖南を急かしてた気さえする。
「はずかし……っ」
冷静になると、さっきまでの自分を思い出してさらにほっぺたが熱くなってきた。
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