152 / 541
29♡
29♡2
しおりを挟むもう何時間ベッドの上で愛し合ってるんだろう。
そろそろ俺もヘトヘトで、脚を開きすぎて感覚が無くなってきたし、この調子だとバスルームまで歩けるか分からないくらい骨盤と腰が痛くなり始めていた。
どれくらい時間が経ったんだろ……。
興奮したままの聖南の体力にはとてもついていけなくて、何回も頭の中が真っ白になって記憶も朧気だ。
今まで加減してくれてたのかなって、思い知った。
何故なら、信じられないくらい元気いっぱいな聖南が、抜かずの四回目に突入しようと態勢を整え始めてギョッとした俺はフラフラの両腕をバタつかせ慌てて止めた。
「ちょちょちょっ、待って、待って下さいっ。 もう勘弁してください……」
「あぁ? なんで?」
「なんでって……ほら、明日立食パーティーでしょ? 腰とか足とかフラフラのまま行けないし」
「ん~~……。 葉璃、年末年始はここにいるか?」
「ええっ? 分かんないですよっ」
「じゃああと二回してい? そしたら俺もちょっとは落ち着く……」
「分かりました! 年末年始は一緒に居ます!」
だから今日はほんとに勘弁して…と目で訴えると、聖南は仕方なしといった風にズルズルっと自身を引き抜いた。
まだ十分強度を保ったままで、内壁を擦られるゾワゾワっとした感覚に思わず目を瞑る。
「んんん……っ」
「やめてほしいんならかわいー声出すなよ」
横目で楽しげに言われ、つい喘いでしまった俺は自身を恨んだ。
ちょっとだけこの行為に慣れてきてしまって、気持ち良かったらすぐに声が出てしまうなんて……こらえきれないのが恥ずかしい。
むくれて時計を確認すると、もう明け方四時になっていて、軽く四時間以上は愛し合ってた事になる。
「聖南さん大変! もう四時ですよ! 仕事何時からですかっ?」
「あーっと、今日一本目はバラエティの早朝ロケだったからー……六時集合だ」
「え!? 少しでも寝ないと! もしかして家出るまでする気だったんですか!?」
早朝ロケとは知らなくて、お尻の違和感を引き摺ってだる重な上体を起こすと聖南がニヤリと笑った。
早くシャワーを浴びて!と呑気な聖南を急かす。
立ち上がった聖南はチラッと視線をくれると、驚いて固まった俺をギュッと抱き締めてきた。
ベッドに舞い戻ってしまった聖南から俺は、「当たり前じゃん」と怖い事を囁かれてドキッとする。
声までカッコいいなんて卑怯だ。
たった今まで愛されてた俺の体が、またもや芯から疼いてくる。
俺の照れなんかお構いなしの聖南は、ちゅっ、ちゅっと顔中にキスの雨を降らせてきて、最後に唇をかぷっと食んでニコニコと嬉しそうに微笑んだ。
聖南……なんでこんなにハツラツとしてるの……? 全然疲れてない……?
「葉璃、今日もめちゃくちゃ可愛かった。 お仕置きなんて柄にもねぇ事するもんじゃねぇな」
「だ、だから、俺には十分お仕置きになりましたってば! ほらほら、聖南さん先に浴びて下さいっ」
やっとの事でご機嫌な聖南をバスルームに連れて来るも、なかなか俺から離れない。
仕事があるなら急がなきゃ!と鬼気迫る感じで言ってみたのに、どこ吹く風の聖南には困ったもんだ。
ヤキモチ焼き合ってルンルンなのは分かった。 充分過ぎるくらい伝わったんだけど、寝ないで行くつもりだったなんてほんとに信じられない。
「昼ちょい過ぎには帰れると思うから、昼メシ待てたら待っててー」
「分かりました!」
磨りガラスの向こうで頭を洗いながら声を掛けてきた聖南は、もう一時間も寝られないっていうのにすごくのんびりしてる。
朝も苦手で、支度も遅い俺には考えられない事だった。
シャワーから出てきた聖南に、お尻洗うからおいでと言われたけど、自分でやるからとにかく早くベッドに行ってくれともう一度急かしておいた。
少しでも体休めてください、言う事聞かないなら帰りますって言い放ったのが効いたみたい。
聖南が唇を変な形に曲げてベッドルームに入ったのを確認してから、俺は見様見真似でシャワーヘッドをお尻にあてた。
聖南がしてくれたのを思い出しながら、指を入れて気持ち程度動かしてみたり、お腹に力を入れてみたりで頑張って掻き出したつもりだ。
でもちゃんと出来たか分かんないし、あまりにも恥ずかしい格好をしてる事に気付くと集中出来ないしで、一人で顔を熱くした。
ここに聖南のものが入ってて、ぐちゅぐちゅにかき回されて、中にいっぱい出されて、色んな体位を試されて……なんてやらしい事を思い出して悶々としていると、つい長風呂してしまってあっという間に聖南が出掛ける時間となってしまう。
「葉璃、ちゃんと寝てろよ?」
「……はい、……」
のぼせた俺に優しくそう言ってくれた聖南は、本当に徹夜状態で仕事に行ってしまい心配だ。
気障に俺のおでこにキスをした聖南からはいつもの香水の匂いがして、まるで寝不足を感じさせない完璧な「セナ」として玄関を出て行った。
「聖南さん……」
あれだけ運動した後でひどく疲れてるだろうに……大丈夫なのかな……。
体力は有り余ってそうだったから、聖南にとっては俺の心配なんて余計なお世話なのかもしれない。
「……お言葉に甘えて寝よっと……」
長時間のエッチでクタクタな上に、長風呂で体中がシワシワのヘトヘト。
聖南が整えてくれたらしい綺麗なベッドに入ると、いつもの端っこに寝そべって俺は思った。
性欲と独占欲がとんでもない人を好きになっちゃった。
そしてやっぱり、───。
後処理は聖南にやってもらえばよかった。
13
お気に入りに追加
319
あなたにおすすめの小説

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
【完結】嘘はBLの始まり
紫紺
BL
現在売り出し中の若手俳優、三條伊織。
突然のオファーは、話題のBL小説『最初で最後のボーイズラブ』の主演!しかもW主演の相手役は彼がずっと憧れていたイケメン俳優の越前享祐だった!
衝撃のBLドラマと現実が同時進行!
俳優同士、秘密のBLストーリーが始まった♡
※番外編を追加しました!(1/3)
4話追加しますのでよろしくお願いします。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる