必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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… … …


 じわじわとゆっくり押し寄せてくる快感がじれったくて、聖南は急かすように腰を突き上げた。


「やっ!  ……ぅうっ……も、もう許して……」
「そんなんじゃいつまで経ってもイけねぇよ?  ほら、もっと動かして」
「……あぁっ……い、ぃやっ……むり、むりだって……!」
「無理じゃねぇ。  葉璃もツライだろ?  動かねーと、イイとこあたんねぇもんな?」


 涙目で、無理だと縋るように見てくる葉璃に強烈に興奮している聖南は、可哀想かなと思う反面、楽しくて仕方がなかった。

 今日のひとまずのお仕置きは、葉璃からの奉仕だ。

 まだまだ初な葉璃に合わせて超ーー軽めにしてやったはずが、葉璃は終始瞳をうるうるさせている。

 聖南の服を一つ一つ脱がせてもらい、葉璃から可愛らしいキスを受けた。

 そして、たどたどしく聖南の体を触る葉璃は頬を真っ赤に染めていて、こちらも照れてしまいそうなほど初々しかった。

 その様子を間近で見ながら微笑んでやると、よほどこの眼鏡姿が好みなのか、耳まで紅くして俯いて悶えていた。

 その間も後ろを丹念にほぐしてやり、いざ挿入となった今、腰を落としてくる葉璃は頭を小さく振って「無理、無理」と呪文のように呟き続けている。


「むり、……うっ……聖南さ、ん……許して……」
「……しょうがねぇなぁ……」


 お仕置きにならねぇ、と呟いて苦笑した聖南は体を起こし、足の間に葉璃をゆっくり落としていく。


「あーっ……っっ……うっ……ん、んっ」
「声出せよ、何我慢してんの」
「……我慢、してな……んっ……やっ……」
「してるじゃん。  声聞かせろ」


 聖南は大好きな葉璃の啼き声を聞きたくて、挿入したばかりで早くも突き上げ始めた。

 今さら恥ずかしがる事はないのに、なぜか葉璃は下唇を噛んで必死で声を抑えようとしている。

 それなら我慢などさせないようにするまでだとばかりに、聖南は葉璃の細腰を持って素早く奥を突き上げた。


「あっ……あぁっ……、やっ……だめ、そんな……したらっ……」
「葉璃、葉璃。  俺を見ろ」
「……んぁっ……あっ、あっ、……やぁッ……待っ、て……見れな……っっ」
「なんで」
「……せなさん、……っカッコいい……から、っ……あぁっ、見れないっ」


 目を開いたかと思えば顔を背けてしまう葉璃の口が、またも聖南の心を鷲掴むような事を言っている。

 思わず動きがおざなりになるほど、キュンとした。


「見れないって……。  良かった、この顔に生まれて」


 そう何度もカッコいいと言われると照れる。 かつ、見目良く産んでもらえた事を初めて両親に感謝した。

 この顔と体があって命を宿してくれたからこそ、葉璃と巡り会えたのだ。


『ま、それだけ……だけどな』


 母親も分からず、父親とも疎遠だなどとは、今考えてもよく生きてこられたと自分でも思う。

 ほんの少しだけ物思いに耽ってしまい寂しさ紛れに葉璃とキスをしようにも、恥ずかしいと照れてなかなかこちらを向いてくれなかった。

 眼鏡姿でメロメロなのは分かるが、ロクに視線も合わないのは頂けない。

 葉璃の唇を堪能したい聖南はじわりと動かしていた動きを一旦止め、眼鏡を外そうとすると強く遮られた。


「……だめっ……今日は、かけてて……っ……」
「……分かったから、舌出して」
「んっ……っっ……んっ……んん……ふっ」


 聖南は強請るようにして下唇を食む。 やはり眼鏡が邪魔だ。

 しかしこの姿を異常に好む葉璃が、外す事を良しとしなかったので仕方がない。

 いつもより顔を傾けて、念願の葉璃の舌に吸い付くとこれでもかというほど唾液を交換し合った。

 葉璃の顎に流れ落ちる唾液まで舐め取り、首筋を舐め上げ、耳たぶの後ろにキスマークを付ける。

 これまであまり経験のない所有物の証を、葉璃にはあらゆる場所に付けていった。


『……しるし、付けとかねぇとな』


 明日のパーティーで、いくら聖南が隣りに居ても隙を見て葉璃がナンパされないとも限らない。

 見た目は最高に可愛く、中身は何だか放っておけない、そんな葉璃を人前に連れて行くのは非常に気が引ける。

 本音を言えば、デビューするという事実さえたまに否定したくなるのだ。

 葉璃には嫉妬深い恋人が居ると、それだけで分かるように濃厚で意味深な痕を付けていく。 左の首筋から耳の後ろまで一直線に4つ連なったそれは、一見すると一つの大きな痣のようでもあった。

 髪が少しでも揺らめけば見えてしまう危険なゾーンだが、そうでもしないと気が済まない。



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