必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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… … …


「聖南、さ、ぁんっ……待って、待って、……っ!」


 葉璃の体を支えて、下からガンガン突きまくり喉元を舐めていると、喘ぎとは違う葉璃のそれに眉を顰める。

 そろそろ葉璃も聖南のように我を忘れてもいい頃なのだが、この状況で「待て」とは何事だ。


「あ? どした」
「あぁっ……で、電話、……んんっっ……さっきから、何回も、聖南さんの……あっ……鳴って……」
「いいよ、んなもん。 後から掛け直すから」
「……あっ、あっ、ぁん……だめ、だよ……っ、何回も……鳴ってる、から……っ」


 急用かもしれないと、真面目な葉璃の気が散っている。

 もちろん何度も鳴る着信音に聖南も気が付いてはいたが、葉璃とのセックスに夢中だったので正直相手が誰であろうとどうでも良かった。

 いつも葉璃と過ごす時は、誰からの電話ででも邪魔をされたくなくて電源を切っていたのに失敗した。

 一ヶ月ぶりの葉璃に浮かれていたせいだ。

 仕方なく葉璃をコロンと寝かせた聖南は、ググッと奥まで自身を押し込み、葉璃の頭上に置きっぱなしにしていたスマホに手を伸ばす。


「あぁっ、そこっ……深いってば……っ」
「気持ちいいだろ? ちょっとスマホ取らせて。 葉璃が集中してくんねぇし」
「え、っ……、ちょっ……まさか……っ」


 何回も鳴っているという葉璃の言葉が引っかかりスマホを確認すると、アキラから十数件も着信があった。

 こう何度も電話を寄越すとは、本当に急用なのかもしれないと思っていたちょうどその時、また掛かってきた。

 迷い無くそれに応答すると葉璃は目を見開き、そんな馬鹿な!と心の中で聖南にツッコミを入れた。


「もしもしアキラ? なに、何かあったの?」


 行為の真っ最中に電話に出るなんて考えられない!とばかりに葉璃は怒りの目を向けてくるが、それは彼の瞳に一目惚れした人間にはまるで通用しない。

 信じられない事に、ゆっくりとだが聖南は腰を動かし始めた。


「…………っっ!!」
「マジで取り込み中なんだよね。 ……あぁ、そう。 超リアルタイムな話。 ……いやいいけど。 急用なんだろ? ……あ? あぁ、年末のパーティーな?」
「……ッッ!」


 聖南は会話をしながら、器用に腰を動かす。 ゆるやかな刺激もまた気持ち良くて、ついうっかり喘ぐ声でも漏れ聞こえてしまったら大変だと、葉璃は自分の左腕を噛んで何とか耐えていた。

 痛い事よりも、あられもない声を聖南以外の者に聞かれる羞恥の方が嫌だった。


「あ、アキラちょっと待って。 こら、腕噛むな。 噛むならこっちにしとけ」


 そう言って聖南の手首を口元へやられた葉璃だったが、とてもじゃないが噛めるはずもない。

 早く電話が終わりますようにと、ただひたすらそれだけを願った。


「あぁ、……あぁ、分かった。 話ってそれ? そんな急がなくていいじゃん。 じゃあな」


 通話が終わり、ポイッとスマホをベッドサイドへ放った聖南に葉璃は文句を言おうと口を開いたが、邪魔だと言いたげに眼鏡を外してしまった聖南に強引に唇を奪われてしまう。


「んっ……ふ、……ぅぅ、ん……っんぅ……」
「ごめんな、急用かと思ったらそうでも無かった」


 ゆるりとした優しい快感の波に居た聖南も、自身を抑え続けるのはいよいよ無理そうで、不満そうに膨れた葉璃の頬に一度キスを落として苦笑した。

 葉璃は何か言いたそうにまだ聖南を見詰めてきていたが、もう話は聞いてやれそうにない。

 聖南の形にキツくフィットし、絶妙な強さで離すまいと締め付けてくる葉璃の中を夢中で貪った。



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