必然ラヴァーズ

須藤慎弥

文字の大きさ
上 下
127 / 541
25♡

25♡6

しおりを挟む



 それから数日後。

 今日は恭也が家の用事でレッスンはお休みだったから、俺は一人で事務所を出た。

 珍しく仕事が早く終わったという聖南から、時間が空いたら電話して、というメッセージを見付けて心が浮ついて、早速掛けてみる。

 メディアに出まくって大忙しな聖南の姿を映像でしか見られなかったし、電話で話すのも一ヶ月以上ぶりで何だか緊張するな……。


『葉璃ーレッスン終わった?』
「っ出るの早いですね」


 ……わぁ……生の聖南だ……!!

 この気だるいような、ちょっとヤンチャなお兄さんって感じの喋り方に、慣れてるはずなのに異様にドキドキしてきた。


『めっちゃ待ってたからな。 どうよ、元気してる?』
「元気ですよ。 聖南さんこそ、忙しそうだけど大丈夫ですか?」
『へーきへーき。 謹慎中の方がどうにかなりそうだった』
「あはは……っ。 そうかもしれないですね」
『お、笑ってる。 あーあ。 葉璃ー、会いてぇなー』


 聖南が今どんな姿なのか分からないけど、何となく、コーナーソファのオットマンがあるとこに足を置いて、腕には大事そうにクッションを抱えて寛いでる姿が目に浮かんだ。

 会いたいという率直な言葉に、胸が締め付けられるように切ない。


「俺も会いたいです。 でもしばらく聖南さんも俺も忙しいでしょ? 今は我慢です」
『えー。 今週末来いよ。 俺土曜の夕方から日曜午前は空くから』
「んー……でも今週末は……厳しいかも」
『なんで。 何かあんの?』
「レッスンの後、恭也と映画に……」


 来いよって言ったらすぐさま頷いてくれると思ってたらしくて、まさかの俺の返事にあからさまにムッとした様子の聖南は、俺が言い終わらないうちから、


『はぁ? ダメ。 俺優先して』


と駄々っ子のような事を言い始めた。


「でも約束しちゃったから」
『恭也とデートすんなら俺としようよ。 葉璃と映画なんて恭也ずるい』
「ずるいって……。 俺だって聖南さんと行きたいですけど、聖南さん来たらきっと映画どころじゃないくらい人が集まっちゃいます」
『いいじゃん。 俺、葉璃とまともにデートした事ねぇよ。 って事で俺も行く』
「え!? 映画に、ですか? 聖南さんも?」
『そ。 今週末の午後だろ? 死んでもスケジュール空けるから、恭也にも言っといて』


 よっしゃ!葉璃とデートだ!って電話の向こうではしゃいでしまってる聖南にはもう断りようが無くて、突然付いてくると言い出したから恭也に申し訳無いと思いながらも、ちょっとだけウキウキしてしまう。

 先に約束してたのは恭也なんだから、恭也を断る事はしないって断固としてそれは譲らなかったけど、聖南はそれでもいいってはしゃいでたから、問題無さそうだ。

 妙な組み合わせの三人で映画を観るなんて、どうなるんだろう。

 みんなそれぞれタイプが違うから、何だか面白そうだ。

 聖南とはその後何気ない会話をしてから、週末を楽しみに電話を切った。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

潜入した僕、専属メイドとしてラブラブセックスしまくる話

ずー子
BL
敵陣にスパイ潜入した美少年がそのままボスに気に入られて女装でラブラブセックスしまくる話です。冒頭とエピローグだけ載せました。 悪のイケオジ×スパイ美少年。魔王×勇者がお好きな方は多分好きだと思います。女装シーン書くのとっても楽しかったです。可愛い男の娘、最強。 本編気になる方はPixivのページをチェックしてみてくださいませ! https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21381209

新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~

焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。 美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。 スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。 これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語… ※DLsite様でCG集販売の予定あり

【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】

NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生 SNSを開設すれば即10万人フォロワー。 町を歩けばスカウトの嵐。 超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。 そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。 愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。

白バイ隊員への強淫

熊次郎
BL
浅野拓哉は28歳の白バイ隊員だ。バイクを乗り回し、日々任務を遂行している。白いヘルメットとスカイブルーの制服が奮い立たせるは、仕事への情熱だけのはずたった、、、

【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】

海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。 発情期はあるのに妊娠ができない。 番を作ることさえ叶わない。 そんなΩとして生まれた少年の生活は 荒んだものでした。 親には疎まれ味方なんて居ない。 「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」 少年達はそう言って玩具にしました。 誰も救えない 誰も救ってくれない いっそ消えてしまった方が楽だ。 旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは 「噂の玩具君だろ?」 陽キャの三年生でした。

EDEN ―孕ませ―

豆たん
BL
目覚めた所は、地獄(エデン)だった―――。 平凡な大学生だった主人公が、拉致監禁され、不特定多数の男にひたすら孕ませられるお話です。 【ご注意】 ※この物語の世界には、「男子」と呼ばれる妊娠可能な少数の男性が存在しますが、オメガバースのような発情期・フェロモンなどはありません。女性の妊娠・出産とは全く異なるサイクル・仕組みになっており、作者の都合のいいように作られた独自の世界観による、倫理観ゼロのフィクションです。その点ご了承の上お読み下さい。 ※近親・出産シーンあり。女性蔑視のような発言が出る箇所があります。気になる方はお読みにならないことをお勧め致します。 ※前半はほとんどがエロシーンです。

αなのに、αの親友とできてしまった話。

おはぎ
BL
何となく気持ち悪さが続いた大学生の市ヶ谷 春。 嫌な予感を感じながらも、恐る恐る妊娠検査薬の表示を覗き込んだら、できてました。 魔が差して、1度寝ただけ、それだけだったはずの親友のα、葛城 海斗との間にできてしまっていたらしい。 だけれど、春はαだった。 オメガバースです。苦手な人は注意。 α×α 誤字脱字多いかと思われますが、すみません。

処理中です...