必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 美味しい料理を食べて、聖南が淹れてくれた温かくて美味しい紅茶を飲んでほっこりしていたら、いつの間にか俺はベッドの上だった。

 俺は今、気持ち良く寝てる。

 そう、確かに、夢うつつで覚えているのは、聖南の腕の中に抱き込まれて、幸せだな~って思いながら深い眠りに付いたはず。

 だからこの、もぞもぞと肌を這う大きな掌の感触は、夢なのか現実なのかよく分からない。

 やがて掌は俺の左乳首を弄くりだして、ちょっと強めにキュッと摘まれた瞬間、下腹部が反応したのが分かった。


「んっ……」


 瞳を閉じたまま思わず声を漏らすと、隣で一緒に寝ていると思っていた聖南がガバッと上体を起こした。

 そして毛布の中に潜って、聖南から借りた俺が着てるパーカー(下はパンツだけだ!)の中にまで入り込んで乳首を舐め始めてしまった。


「んっ……んっ……」


 右を舐められながら左は強く摘まれてしまい、無防備だった俺は声が抑えられない。

 夢じゃない!ってさすがの俺も完全に目が覚めて、巧みな舌と指遣いにゆらゆらと腰が浮く。

 毛布の中からチラッと瞳だけを寄越してくる聖南と目が合うと、彼は悪びれもせず、


「ごめん、起こしたか?」


と笑みを滲ませていた。

 絶対に、ごめんだなんて思ってない顔だ。


「そ、そりゃ起きますよ……」
「ヤるぞ。 ヤッてから寝よ」


 さっきもバスルームで思いっきりしたじゃないですか…と言いたくても、ギラついた目をした時の聖南は何を言っても聞いてくれないのはもう分かってるから、返事はしないでおいた。

 俺に乗っかってきた体は見た目以上にズッシリと重く、しなやかで綺麗な筋肉を纏った体だから、あんなに軽々と俺を抱えられたんだと変なとこで納得してしまう。


「待って、……んっ……聖南さ、ん……っ……あっ……」
「葉璃、細過ぎだな。 今からもっと太んねぇと」
「えっ……何、? ……やっ……あっ……」


 腰をサラッと撫でられてそんな事を言われても、器用に乳首を舐めながらだからいちいち歯が当たってむず痒い。

 乳首だけでこんなに感じてしまうなんて、自分で自分が恥ずかしくなって、両手で顔を覆った。

 今どんな顔をしてるのかなんて、想像もしたくない。


「手離せ、顔見えねぇじゃん」
「やだっ、……それ、……やめて……聖南さん……」
「それって何?」
「何って……分かってる、くせに……んっ……」
「言わなきゃ分かんねぇよ」


 意地悪な聖南の問いに答えられるほど、俺は経験値が高くない。

 散々乳首を弄んで満足したのか、やっと解放してくれてホッとしたのも束の間、聖南は答えない俺に向かってフフッと不気味に笑うと、元気よく立ち上がった俺のモノを躊躇なく口に咥えてしまった。


「……ちょっ!? やだ、聖南さん! ……ダメ、きたない……あぁっ……」


 生温かい聖南の口腔内に含まれた瞬間、感じた事のない温かな温度に全身がピリピリした。

 口でされるなんて思ってもみなくて、俺はあまりの衝撃と興奮で聖南の髪をかき乱してしまう。


「あっ……あぁっ……聖南、さんっ……ダメ、ヤダ……っ、待って……んっ……」


 根元を擦られ、何度か聖南の唇で往復されると、すぐに俺は絶頂へと達した。

 ぶるぶるっと腰が震えて、精液を飛ばしてしまった先が聖南の口の中だったとしても、俺の目の前はチカチカと星が舞っていて思考が一旦停止していて使いものにならない。

 オナニーとは全く違った気持ち良さに、フワフワと宙に漂っているかのような爽快感を覚えていた。


「さっき何回出たっけ? 他知らねぇから分かんないけど薄い気がする」
「…………?」
「あ、目飛んでる。 葉璃ー戻ってこーい」


 薄いって何が?と、働かない頭でなんの事を言ってるのかなって考えてると、聖南が顔を覗き込んで来た。

 急に視界に現れたイケメンに、ハッとする。


「カッコいい……」
「あ?」


 何て綺麗な顔なんだろう。

 俺も次に生まれ変わるなら、こんな顔がいいなぁ。

 覗き込んで来た聖南の顔の造作に見惚れてしまい、俺はさぞトボけた顔をしてたに違いない。

 眉間に皺を寄せた目の前の聖南は、男から見ても抜群の容姿で、どんなにギラついていても素晴らしくカッコいい。


「それ煽ってる?」
「聖南さん……ほんっっとにカッコいいね……!」
「聞いてねぇし……。 なぁ、葉璃、お前マジで危ねぇよ。 男たぶらかすのうま過ぎ」


 話が噛み合わなくてイライラしてるのか、怒ってるみたいな聖南の反応に、ついうっかりカッコいいを連呼し過ぎたみたいだ。

 聖南の不機嫌な様子にようやく意識がハッキリし始めて、今しがた射精した俺のものは一体どこへ行ったのか、急に頭が冷えてきた。


「あっ、聖南さん、俺の……ちゃんと出しました、よね……?」
「葉璃の? 出してねぇよ、飲んだ」
「飲んだ!? ダメですよ! 出して下さい!」
「無理だって。 もう飲んじまったもん」


 そんな何でもない事のように言われてしまっては、ヒェ~と慄く俺の方がおかしいみたいじゃん。

 やっぱり大人は違う、と、俺はさらにまた一つ学んだ。 知っておいたらいつか役に立つかもしれない。

 ……精液は飲んでも大丈夫なんだって、……そんな事を知っても意味があるかは疑問だけど。





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