必然ラヴァーズ

須藤慎弥

文字の大きさ
上 下
103 / 541
21♡

21♡6※

しおりを挟む



 頭を洗い、体を洗い合うまで、俺は完璧に油断してたんだ。

 聖南はずーっと雄の目をした事を、うっかり見逃していた。


「聖南さん、……ちょっ、手付きが……」
「んー?」


 上半身も何となくいやらしい感じで洗われてたけど、聖南の外見もエロくなってるからそのせいかなって気にしないようにしてた。

 髪型が変わっただけでガラッと印象が変わった聖南は、すごく変な言い方だけど「さすが芸能人だな」と思った。

 悪戯な手のひらが下半身へと伸びていくと、俺の半勃ちのモノをさわさわと撫でてもう片方の手のひらはお尻をもみもみし始めた。


「ヤバイです、やらしいです、触り方……あっ……」
「せっかくだし慣らしちゃおーと思って」
「うっ……あっ、ちょ、……聖南さんっ」


 もみもみやめて……と見上げると、脈絡なく穴へ指をズプッと入れられて、思わず声が出てしまう。

 優しく、だがハッキリと拡げようという意思を持って指を入れたり出したりしていて、膝に力が入らなくなってきた。


「どう? 痛い?」
「……痛くない、です……けど、やぁっ、変な感じです……」
「あの時は大丈夫だった? 終わってすぐ帰った日」


 それを今言わなきゃですか!と思ったけど、どうやら二本に増やされた指が何かを探すように動き出して、反論はおろかいよいよ立ってられなくなった。

 完全に聖南にもたれ掛かる格好になり、シャワーのお湯が腰辺りに当たって体についた泡を流し切ろうとしている。


「おっと。 お湯だと滑り悪くなっから抱っこするぞー」
「……? わっっ」


 抱っこ?と首を傾げると、すぐに聖南から抱え上げられ、流れてしまったボディーソープの泡を新たに穴に塗りたくられた。

 いくら体格差があるとは言え、軽々と俺を抱っこ出来るなんて凄すぎる。

 聖南の負担を少しでも軽くしようと両足で聖南の体にしがみついたのはいいけど、そうすると俺の穴は完全にいじって下さいと言わんばかりに拡がるようで、目の前にある聖南がニヤリと笑った。


「興奮すんなって方が無理じゃね? この体勢……」
「やっ……そこっ、……当たってる! ……あっやめて……ん」


 二本の指がついに俺のいいところを探り当ててしまい、背筋がゾワゾワっとする強烈な快感が全身を走り抜けた。
 
体が仰け反りそうになり、思わず悲鳴に近い声を上げていると、しっかり抱き留めてくれてる聖南から唇を吸い上げられてしまう。

 聖南もめちゃくちゃ興奮してるのが伝わってくるほど、荒々しい口付けだ。

 舌を吸われ、甘噛みされ、また吸われ、そうしてひっきりなしに舌をぶつけ合っていても、その間も聖南は器用に孔への挿入を繰り返していて、すでに弾けそうに反り立った俺のモノはすぐにでもイッてしまいそうだった。

 ちゅ、ちゅ、と首筋や胸元への愛撫も忘れない聖南の唇が……熱い。


「ふ……んっっ……んん……ぅぅっ……」
「しっかり掴まってろよ」
「……っ……やっ、お、しり……やめ……っ」
「やめるわけないでしょ~。 気持ちいい?」
「……あっ……やぁ……分かんな、……いっ……」


 自分でも拡がってるのが分かるほど、聖南の指の動きに合わせてくちゅくちゅといやらしい音を立てているそこが、だんだんとムズ痒くなってきて落ち着かない。

 気持ちいいのか何なのか、そんな事どうでもよくなってきた。

 あの日以来の強い快感は、離れてた間にすっかり遠い記憶になっていて、体内から得体の知れない温かいものが溢れ出してきそうだ。

 聖南の声や視線も、一層の興奮を駆り立てる。

 朦朧としかけた俺は聖南の肩に掴まって荒く息を吐くしか出来なくて、情けなくも意識が飛びそうになっていた。


「はー……かわい。 挿れてぇ……」


 夢中で吐息を漏らしていると、聖南が耳元でいやらしくそう囁いてきて意識を飛ばせなかった。

 心臓辺りがきゅっとなる。

 待ち望んだ聖南の存在をたっぷり感じたかったのに、獣化した雄のギラついたオーラはドキドキしか生まなくて、堪能する前に力尽きてしまいそうだ。

 少しだけ俺の体を落とした聖南は囁きの通り、本当に先っぽを押し当て始めてヒッと喉が鳴ってしまう。


「……え、待って……ここで……? あっ……う、うそ……っ? んんん───っ」


 ギチ、ギチ、と侵入してきたのは、あの日と同じ聖南の昂ぶり。

 ものすごく熱くて、かたくて、うつろな耳に届くセクシーな吐息と口付けが、強烈な快感をもたらしたあの日の記憶を呼び起こす。

 掴まって、ともう一度言われてその通りにすると、両手でお尻を鷲掴まれてじわじわと内側に挿入された。

 シャワーから落ちてくる温水だけでのぼせてしまうくらい、聖南は今日もたくさん慣らしてくれてたおかげで痛くはない。

 でもやっぱりとてつもない異物感だ。

 うーっと呻きながら必死に聖南に抱きついて、昂ぶったそれの形に孔が拡がっていく感覚に眉間が狭まった。

 あの日のように半分だけ挿入されたところで、突然繋がったままくるりと反対を向かされ、じわっと床に下ろされる。


「あっ……ん……なに、聖南さん……」
「葉璃、そこに手付いて」


 言われるがままに目の前の壁に手を付き、浴室内の熱気に視界を奪われながら振り返ると、悠然と笑んだ気高い獣からチュッと唇にキスされた。

 これだけで、照れてしまう。

 二人とも生まれたままの姿で、しかもいやらしく繋がってるっていうのに、唐突な優しいキスに異常にドキドキした。

 俺は咄嗟に壁を睨む。

 すると聖南は、俺の腰を持ち我慢できないとばかりに熱い欲を根元まで突き入れてきた。





しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】嘘はBLの始まり

紫紺
BL
現在売り出し中の若手俳優、三條伊織。 突然のオファーは、話題のBL小説『最初で最後のボーイズラブ』の主演!しかもW主演の相手役は彼がずっと憧れていたイケメン俳優の越前享祐だった! 衝撃のBLドラマと現実が同時進行! 俳優同士、秘密のBLストーリーが始まった♡ ※番外編を追加しました!(1/3)  4話追加しますのでよろしくお願いします。

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。

Sweet☆Sweet~蜂蜜よりも甘い彼氏ができました

葉月めいこ
BL
紳士系ヤクザ×ツンデレ大学生の年の差ラブストーリー 最悪な展開からの運命的な出会い 年の瀬――あとひと月もすれば今年も終わる。 そんな時、新庄天希(しんじょうあまき)はなぜかヤクザの車に乗せられていた。 人生最悪の展開、と思ったけれど。 思いがけずに運命的な出会いをしました。

幸せの温度

本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。 まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。 俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。 陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。 俺にあんまり触らないで。 俺の気持ちに気付かないで。 ……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。 俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。 家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。 そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話

タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。 「優成、お前明樹のこと好きだろ」 高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。 メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

処理中です...