必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 頭を洗い、体を洗い合うまで、俺は完璧に油断してたんだ。

 聖南はずーっと雄の目をした事を、うっかり見逃していた。


「聖南さん、……ちょっ、手付きが……」
「んー?」


 上半身も何となくいやらしい感じで洗われてたけど、聖南の外見もエロくなってるからそのせいかなって気にしないようにしてた。

 髪型が変わっただけでガラッと印象が変わった聖南は、すごく変な言い方だけど「さすが芸能人だな」と思った。

 悪戯な手のひらが下半身へと伸びていくと、俺の半勃ちのモノをさわさわと撫でてもう片方の手のひらはお尻をもみもみし始めた。


「ヤバイです、やらしいです、触り方……あっ……」
「せっかくだし慣らしちゃおーと思って」
「うっ……あっ、ちょ、……聖南さんっ」


 もみもみやめて……と見上げると、脈絡なく穴へ指をズプッと入れられて、思わず声が出てしまう。

 優しく、だがハッキリと拡げようという意思を持って指を入れたり出したりしていて、膝に力が入らなくなってきた。


「どう? 痛い?」
「……痛くない、です……けど、やぁっ、変な感じです……」
「あの時は大丈夫だった? 終わってすぐ帰った日」


 それを今言わなきゃですか!と思ったけど、どうやら二本に増やされた指が何かを探すように動き出して、反論はおろかいよいよ立ってられなくなった。

 完全に聖南にもたれ掛かる格好になり、シャワーのお湯が腰辺りに当たって体についた泡を流し切ろうとしている。


「おっと。 お湯だと滑り悪くなっから抱っこするぞー」
「……? わっっ」


 抱っこ?と首を傾げると、すぐに聖南から抱え上げられ、流れてしまったボディーソープの泡を新たに穴に塗りたくられた。

 いくら体格差があるとは言え、軽々と俺を抱っこ出来るなんて凄すぎる。

 聖南の負担を少しでも軽くしようと両足で聖南の体にしがみついたのはいいけど、そうすると俺の穴は完全にいじって下さいと言わんばかりに拡がるようで、目の前にある聖南がニヤリと笑った。


「興奮すんなって方が無理じゃね? この体勢……」
「やっ……そこっ、……当たってる! ……あっやめて……ん」


 二本の指がついに俺のいいところを探り当ててしまい、背筋がゾワゾワっとする強烈な快感が全身を走り抜けた。
 
体が仰け反りそうになり、思わず悲鳴に近い声を上げていると、しっかり抱き留めてくれてる聖南から唇を吸い上げられてしまう。

 聖南もめちゃくちゃ興奮してるのが伝わってくるほど、荒々しい口付けだ。

 舌を吸われ、甘噛みされ、また吸われ、そうしてひっきりなしに舌をぶつけ合っていても、その間も聖南は器用に孔への挿入を繰り返していて、すでに弾けそうに反り立った俺のモノはすぐにでもイッてしまいそうだった。

 ちゅ、ちゅ、と首筋や胸元への愛撫も忘れない聖南の唇が……熱い。


「ふ……んっっ……んん……ぅぅっ……」
「しっかり掴まってろよ」
「……っ……やっ、お、しり……やめ……っ」
「やめるわけないでしょ~。 気持ちいい?」
「……あっ……やぁ……分かんな、……いっ……」


 自分でも拡がってるのが分かるほど、聖南の指の動きに合わせてくちゅくちゅといやらしい音を立てているそこが、だんだんとムズ痒くなってきて落ち着かない。

 気持ちいいのか何なのか、そんな事どうでもよくなってきた。

 あの日以来の強い快感は、離れてた間にすっかり遠い記憶になっていて、体内から得体の知れない温かいものが溢れ出してきそうだ。

 聖南の声や視線も、一層の興奮を駆り立てる。

 朦朧としかけた俺は聖南の肩に掴まって荒く息を吐くしか出来なくて、情けなくも意識が飛びそうになっていた。


「はー……かわい。 挿れてぇ……」


 夢中で吐息を漏らしていると、聖南が耳元でいやらしくそう囁いてきて意識を飛ばせなかった。

 心臓辺りがきゅっとなる。

 待ち望んだ聖南の存在をたっぷり感じたかったのに、獣化した雄のギラついたオーラはドキドキしか生まなくて、堪能する前に力尽きてしまいそうだ。

 少しだけ俺の体を落とした聖南は囁きの通り、本当に先っぽを押し当て始めてヒッと喉が鳴ってしまう。


「……え、待って……ここで……? あっ……う、うそ……っ? んんん───っ」


 ギチ、ギチ、と侵入してきたのは、あの日と同じ聖南の昂ぶり。

 ものすごく熱くて、かたくて、うつろな耳に届くセクシーな吐息と口付けが、強烈な快感をもたらしたあの日の記憶を呼び起こす。

 掴まって、ともう一度言われてその通りにすると、両手でお尻を鷲掴まれてじわじわと内側に挿入された。

 シャワーから落ちてくる温水だけでのぼせてしまうくらい、聖南は今日もたくさん慣らしてくれてたおかげで痛くはない。

 でもやっぱりとてつもない異物感だ。

 うーっと呻きながら必死に聖南に抱きついて、昂ぶったそれの形に孔が拡がっていく感覚に眉間が狭まった。

 あの日のように半分だけ挿入されたところで、突然繋がったままくるりと反対を向かされ、じわっと床に下ろされる。


「あっ……ん……なに、聖南さん……」
「葉璃、そこに手付いて」


 言われるがままに目の前の壁に手を付き、浴室内の熱気に視界を奪われながら振り返ると、悠然と笑んだ気高い獣からチュッと唇にキスされた。

 これだけで、照れてしまう。

 二人とも生まれたままの姿で、しかもいやらしく繋がってるっていうのに、唐突な優しいキスに異常にドキドキした。

 俺は咄嗟に壁を睨む。

 すると聖南は、俺の腰を持ち我慢できないとばかりに熱い欲を根元まで突き入れてきた。





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