必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 午後一時。

 美しい朝の露天風呂を満喫した後、一階で聖南が作った朝食を二人で食べた。

 フレンチトースト、生ハムと鴨のローストをのせたサラダ、野菜をふんだんに入れたコンソメスープとシンプルながら、葉璃はとても喜んで食べてくれた。

 朝は人並にしか食べないので、昨晩と比べると作り足りないと感じてしまい、慣れとは恐ろしいなと思う。

 その後、二階のベッドルームへ戻って聖南なりの休憩を挟みながら四時間ほど愛し合った。

 終盤ついに葉璃は声を枯らし、もう足を開けないと聖南の肩を叩いて怒り始め、ようやく逢瀬は終了を見た。

 繋がったまま、くたりと背中を向けている葉璃を抱き寄せて首筋を舐める。

 早朝に優雅な露天風呂で清くなったというのに、聖南と葉璃は全身が汗と精液と唾液まみれになっていた。


「なぁ、葉璃さぁ、……また痩せた?」
「んぁぁっ……って、えぇ、っ? 痩せてないですよ? 逆に体重増えたし。 なんで?」


 自身を引き抜いて枯れた嬌声を上げさせると、細過ぎる腰を撫で上げながら問うた。

 すると疲れて今にも寝てしまいそうだった葉璃が飛び起きて上体を起こし、ぺたんとベッドに座るがすぐにまた横になる。


「うわわわ、出てくる……」
「そりゃ出るだろ。 俺のと葉璃のとローションと」
「何ですか、昔の歌のタイトルみたいに言って」
「あはは……! よく知ってんなぁ!」


 座ると諸々が溢れ出てくるらしいので、聖南はその場で躊躇いなく穴に二本指を挿入し、中を掻き回す。

 笑いながらもぐちゅぐちゅと体液を掻き出して、お尻の下に敷いたタオルに落としていった。


「うぅぅっっ……っ俺、ほんとに痩せてないよ?」


 うつ伏せになった葉璃は、眉を顰めて聖南を振り返る。

 何時間も聖南のもので塞いでいたのに、少し離れただけでもう閉じかけているそこに自身をあてがう。


『こんなグチュグチュで美味しそうなとこ、男なら挿れたくなるよな~てか挿れなきゃ男じゃねぇよな』


「やっ、待って……っ、挿れ……!?」
「ごめん、すぐだから」
「聖南さんのすぐはあてにならな……ぁあっ……やっ、そこ、っ……気持ちぃ……!」


 広げすぎて骨盤と足が痛いと言っていた葉璃のために、聖南は後ろから腰を抱え上げて獣セックスを楽しんだ。

 長く保たせようとはせず、葉璃が締め付けてくる度に内壁を擦り上げて快楽を追った。

 気持ちいい、と掠れた声で何度も言ってくれて、聖南もご満悦で今回八度目の射精をする。

 せっかく掻き出したというのにまた中でイってしまったが、葉璃の反応がたまらなく可愛くて我慢出来なかった。


「前のイジイジ葉璃も好きだったけど、今の素直な葉璃はもーっと好きです♡」


 腰を小刻みに揺らしながら、背後から葉璃の小さな喉仏を擦る。

 猫にするように顎をコショコショしてやると、微笑んで聖南に腕を伸ばしてきた。


「あっ、それも聞いたことある……っ!」
「あはは……! CMな。 俺、三歳の時出てたんだよ、一年間」
「え!? ……YouTubeで探さなきゃ! 三歳の聖南さん……めちゃくちゃ可愛いんだろうなぁ~!」
「今もかわいーだろ?」
「ふふっ……今度は自分にヤキモチですか?」


 控えめに笑う葉璃から自身を引き抜き、今度こそきちんと後始末をしてやる。

 どうしても指に絡みついてくる内壁が聖南を誘うけれど、夕方までにここを出なければならないのでタイムリミットであった。


「ん~やっぱ葉璃ちゃん痩せたろ? 一昨日から思ってたんだよな。 体はそんな変わった感じしねぇんだけど……て事は顔か?」


 葉璃の唇に水を送り込んでやり、喉を鳴らす様を凝視する。


「……顔???」
「あー分かった。 ほっぺたのぷにぷにがちょっと減ってんだ」
「う、嘘っ? 減ってる?」
「あぁ、シュッとしてる。 歌聴きながら葉璃の写メまとめてたけど、去年と輪郭変わってるな。 すげぇ色っぽくなってやがる」


 なるほど、だから少し印象が変わったように見えていたのだ。

 こうして見ると痩せたというより、頬の子どもっぽさが削がれて大人びた輪郭になってきている。

 相変わらず柔らかくてすべすべで、頬擦りした時の感触が何も変わらないので気付かなかった。

 この一年で見事に蝶へと化けた葉璃は、「可愛い」よりも「綺麗」になりつつある。


「えぇぇ?? 写メ消して下さいって言ったのに!」
「消すわけねぇじゃん。 俺の大事な葉璃コレクションだ」
「いいもん、俺も聖南さんのコレクション作ろーっと」
「会えねぇ時は活躍すんぞー、それ」
「活躍って……! でも俺、聖南さんの顔も好きだけど匂いがこう……クラクラきちゃうんですよね……」
「んなかわいー事言っちゃって。 俺の香水持って帰ればいいじゃん」
「香水だけじゃないんです! 聖南さんの匂いと混ざってないと意味ない……」


 露天風呂へと運んで体を洗い上げていると、葉璃が上目遣いでそんな悶絶もののの台詞を言うので自身がピクッと反応してしまった。

 聖南が葉璃の匂いに安堵を覚えるように、香水だけでは「聖南の匂い」ではないなんて言われれば、目尻が下がってしょうがない。


「おい、今さら煽んなよ」
「あ、煽ってなんか……!」
「ホテル戻る前にあと一回しよ」
「えっ、もうダメ、むり……っ」


 何度果てても衰えない聖南の思いと同調した我が分身は、葉璃の上目遣いにコロッとやられて元気いっぱいだった。

 狼狽える葉璃をこちらに向かせて顔を寄せると、照れて俯く変わらない初々しさにまた煽られた。


「一週間会えねぇんだから、ワガママ聞いて」
「俺、誕生日だよ!」
「おぅ。 十八歳おめでとう、葉璃。 舌出して」
「ちょっ……聖南さんっ、俺もう無理だって! 聞いてます!?」
「聞いてない♡」


 即答で返事をすれば、葉璃は驚いて目を丸くしている。

 舌を絡ませて唾液を送り、葉璃に飲ませて恍惚とする。

 出会った頃よりも痩せた頬に触れると、見た目も中身も成長した葉璃と同じ時を過ごせていたと実感して、感慨深さを覚えていた。

 この先もずっと、葉璃と一緒に自分も成長していきたい。

 何にも代え難い愛しい存在を腕に抱いて、開放感溢れる念願のこの場所にて「無理っ」と可愛く泣き言を言う葉璃の体を再度貪った。

 抱き上げた葉璃の首元を彩るネックレスのトップを、聖南は意味深に見詰めながら腰を動かし、葉璃の唇にキスを落とした。




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