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─聖南─
今年は最高の一年になりそうだ。
二十四歳になった聖南の胸中は、今までにないほどキラキラと輝いていてとても満ち足りている。
毎分毎秒愛を囁きたい恋人から、素晴らしい誕生日プレゼントをこれでもかと貰ってニヤニヤが止まらない。
興奮しっぱなしで、葉璃に隠れて垂れてもいない鼻血を何度気にした事か。
「焦っても時間は早くは進まねぇよ」
「大丈夫だって。 収録もジッと見てたし、今頃楽屋でお菓子食べて待ってくれてるよ」
「でも今この瞬間にもデザート求めてウロウロしてたらどうすんだよ……っ」
聖南達は収録後、次回のおおよその出演日の決定を番組スタッフと話し合わなければならなかった。
CROWN三人としては二ヶ月に一度ほど、ピンでは一週間交代で出演している準レギュラーのようなものなので、ツアー日程と照らし合わせての話し合いは少し時間を要しそうで、聖南は時計を睨んだ。
成田が来ていればすべて任せるのに、新人タレントに付いて回っている彼も多忙のようで「全部セナ達に一任してるからよろしくな!」と電話越しに言っていた。
スタッフがなかなかやって来ないので、話し合いをしようにもそれも出来ずにイライラが募る。
弁当を三つ平らげた後にデザートが食べたいと言い出した葉璃が、我慢出来ずに万が一局から出てしまったらと思うと気が気ではない。
「他人がうじゃうじゃいるんだから、楽屋から出ねぇと思うけどな」
「そうだよ。 カフェも客が少ないとこ、とか言ってたし」
アキラとケイタは、焦れた聖南が腕時計をジーッと見詰めて不機嫌を顕にしている様を見て苦笑していた。
いつ誰が聞いているか分からないので、二人とも葉璃の名前は出さずに居てくれているところは流石だ。
「あ、そうそう。 昨日のライブってセナは知らなかったんだろ? なんで出演する事になったのか聞いた?」
「セナにも黙ってたってのが気になるよな」
はじめは「俺に内緒にするなんて!」と憤っていた聖南も、事態を飲み込めないままに大興奮だった事が思い起こされる。
たった数分で振りを覚え、オペラグラス片手に一緒になって踊って葉璃の名前を叫んでいたが、あれはどういう経緯だったのだろうと二人は気になっていた。
腕時計から壁掛けの時計に視線を移した聖南が、昨日の興奮を蘇らせてニヤつく。
「あー。 あれな、俺へのプレゼントだったらしい」
「プレゼント?」
「あぁ。 あの二曲の歌詞聞いただろ? 想いを伝えたかったんだと」
「へぇ~! 可愛い事するじゃん!」
「なるほどな。 それでセナに黙ってたのか。 サプライズ的な?」
葉璃のダンスは見事だったし、歌詞を口ずさんで視線を寄越された時など、アキラとケイタもついドキッとしてしまいそうなほど色っぽかった。
それがすべて聖南のためのものだったとは、感激してニヤついてしまうのは無理もない。
「だろ? 帰ったらケーキまで用意してくれてたし。 感動で泣いちまったよ」
「……え、……そっか、……セナ泣いたのか」
「セナもしかして初めてなんじゃない? 家で誕生日祝うのって」
「そうなんだよな。 現場で祝われる事はあっても、家では無かった。 嬉しい事たくさん言ってくれたし、コスプレしてヤれたし、最高だったぜマジで……!」
葉璃の可愛い姿に感化されて、ついつい聖南も盛り上がって高校時代の制服を持ち出してきたが、あれは本当に素晴らしかった。
コスプレでセックスするなど、気恥ずかしいかと思ったが逆に燃えた。
二回じゃとても足りなかった。
だが、ライブ前のリハーサル時から体をフルに動かしていたであろう葉璃をクタクタにさせる事は出来ずに、聖南なりに我慢したのだ。
足腰立たなくさせてしまったけれど、あれは駅弁体位がよくなかった。 下からガンガン突きまくったせいで、葉璃の骨盤を疲弊させたのが主な原因だろう。
朝から可愛い事を言って膨れていた葉璃を抱いた時は、寝て回復したのか痛がらなかったから良かった。
夜にも啼かせて、朝にも啼かせて、アンコールに次ぐアンコールを見せてくれたな……と聖南はついに時計から意識を逸らせていた。
葉璃の力は偉大である。
「うーわ、また惚気てんじゃん」
アキラが溜め息を吐くと、この手の聖南の話が大好物なケイタが身を乗り出す。
「コスプレでヤったって言った? そこんとこ詳しく聞かせてよ」
「ケイタ、お前また……。 セナ、話さなくていいぞ」
「なんで! いいじゃん! 今うさぎちゃん居ないんだし!」
「……うさぎちゃんか……かわいーな、それ」
弁当をもぐもぐしていた葉璃を見てつい「耳垂れうさぎ」と呼んでしまったが、ことの外ケイタも気に入っている様子で笑みを濃くする。
仮装パーティーでうさ耳を付けたままセックスした時の事まで思い出し、聖南は葉璃の残像に思いを馳せた。
もう会いたい。
たった二時間葉璃がそばに居ないだけで、こんなにも想いが募る。
「なぁなぁ、どんなコスプレしたんだ?」
瞳を閉じていやらしい妄想をしてニヤついていた聖南は、ケイタの興味津々な問いに現実へと引き戻された。
一方、聖南の隣でニヤつく横顔を眺めていたアキラは、「妄想中だったな、これは」と苦笑が止まらない。
前回もこの二人の下ネタにアキラと葉璃はわなわなしたのだ。
ここに葉璃が居ないからと言って、明け透けにプライベートな話をするのはどうかと思ったアキラだったが、興味はある。
窘めたのは一度だけで、二人の会話を黙って聞いた。
今年は最高の一年になりそうだ。
二十四歳になった聖南の胸中は、今までにないほどキラキラと輝いていてとても満ち足りている。
毎分毎秒愛を囁きたい恋人から、素晴らしい誕生日プレゼントをこれでもかと貰ってニヤニヤが止まらない。
興奮しっぱなしで、葉璃に隠れて垂れてもいない鼻血を何度気にした事か。
「焦っても時間は早くは進まねぇよ」
「大丈夫だって。 収録もジッと見てたし、今頃楽屋でお菓子食べて待ってくれてるよ」
「でも今この瞬間にもデザート求めてウロウロしてたらどうすんだよ……っ」
聖南達は収録後、次回のおおよその出演日の決定を番組スタッフと話し合わなければならなかった。
CROWN三人としては二ヶ月に一度ほど、ピンでは一週間交代で出演している準レギュラーのようなものなので、ツアー日程と照らし合わせての話し合いは少し時間を要しそうで、聖南は時計を睨んだ。
成田が来ていればすべて任せるのに、新人タレントに付いて回っている彼も多忙のようで「全部セナ達に一任してるからよろしくな!」と電話越しに言っていた。
スタッフがなかなかやって来ないので、話し合いをしようにもそれも出来ずにイライラが募る。
弁当を三つ平らげた後にデザートが食べたいと言い出した葉璃が、我慢出来ずに万が一局から出てしまったらと思うと気が気ではない。
「他人がうじゃうじゃいるんだから、楽屋から出ねぇと思うけどな」
「そうだよ。 カフェも客が少ないとこ、とか言ってたし」
アキラとケイタは、焦れた聖南が腕時計をジーッと見詰めて不機嫌を顕にしている様を見て苦笑していた。
いつ誰が聞いているか分からないので、二人とも葉璃の名前は出さずに居てくれているところは流石だ。
「あ、そうそう。 昨日のライブってセナは知らなかったんだろ? なんで出演する事になったのか聞いた?」
「セナにも黙ってたってのが気になるよな」
はじめは「俺に内緒にするなんて!」と憤っていた聖南も、事態を飲み込めないままに大興奮だった事が思い起こされる。
たった数分で振りを覚え、オペラグラス片手に一緒になって踊って葉璃の名前を叫んでいたが、あれはどういう経緯だったのだろうと二人は気になっていた。
腕時計から壁掛けの時計に視線を移した聖南が、昨日の興奮を蘇らせてニヤつく。
「あー。 あれな、俺へのプレゼントだったらしい」
「プレゼント?」
「あぁ。 あの二曲の歌詞聞いただろ? 想いを伝えたかったんだと」
「へぇ~! 可愛い事するじゃん!」
「なるほどな。 それでセナに黙ってたのか。 サプライズ的な?」
葉璃のダンスは見事だったし、歌詞を口ずさんで視線を寄越された時など、アキラとケイタもついドキッとしてしまいそうなほど色っぽかった。
それがすべて聖南のためのものだったとは、感激してニヤついてしまうのは無理もない。
「だろ? 帰ったらケーキまで用意してくれてたし。 感動で泣いちまったよ」
「……え、……そっか、……セナ泣いたのか」
「セナもしかして初めてなんじゃない? 家で誕生日祝うのって」
「そうなんだよな。 現場で祝われる事はあっても、家では無かった。 嬉しい事たくさん言ってくれたし、コスプレしてヤれたし、最高だったぜマジで……!」
葉璃の可愛い姿に感化されて、ついつい聖南も盛り上がって高校時代の制服を持ち出してきたが、あれは本当に素晴らしかった。
コスプレでセックスするなど、気恥ずかしいかと思ったが逆に燃えた。
二回じゃとても足りなかった。
だが、ライブ前のリハーサル時から体をフルに動かしていたであろう葉璃をクタクタにさせる事は出来ずに、聖南なりに我慢したのだ。
足腰立たなくさせてしまったけれど、あれは駅弁体位がよくなかった。 下からガンガン突きまくったせいで、葉璃の骨盤を疲弊させたのが主な原因だろう。
朝から可愛い事を言って膨れていた葉璃を抱いた時は、寝て回復したのか痛がらなかったから良かった。
夜にも啼かせて、朝にも啼かせて、アンコールに次ぐアンコールを見せてくれたな……と聖南はついに時計から意識を逸らせていた。
葉璃の力は偉大である。
「うーわ、また惚気てんじゃん」
アキラが溜め息を吐くと、この手の聖南の話が大好物なケイタが身を乗り出す。
「コスプレでヤったって言った? そこんとこ詳しく聞かせてよ」
「ケイタ、お前また……。 セナ、話さなくていいぞ」
「なんで! いいじゃん! 今うさぎちゃん居ないんだし!」
「……うさぎちゃんか……かわいーな、それ」
弁当をもぐもぐしていた葉璃を見てつい「耳垂れうさぎ」と呼んでしまったが、ことの外ケイタも気に入っている様子で笑みを濃くする。
仮装パーティーでうさ耳を付けたままセックスした時の事まで思い出し、聖南は葉璃の残像に思いを馳せた。
もう会いたい。
たった二時間葉璃がそばに居ないだけで、こんなにも想いが募る。
「なぁなぁ、どんなコスプレしたんだ?」
瞳を閉じていやらしい妄想をしてニヤついていた聖南は、ケイタの興味津々な問いに現実へと引き戻された。
一方、聖南の隣でニヤつく横顔を眺めていたアキラは、「妄想中だったな、これは」と苦笑が止まらない。
前回もこの二人の下ネタにアキラと葉璃はわなわなしたのだ。
ここに葉璃が居ないからと言って、明け透けにプライベートな話をするのはどうかと思ったアキラだったが、興味はある。
窘めたのは一度だけで、二人の会話を黙って聞いた。
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