必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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53♡2※

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 ベッドに座ってたら、無表情の聖南がローションをボトルごと持って現れた。

 俺にとっては卑猥そのものなそれを持ってる姿すら、見惚れるほどカッコイイから意識がブレちゃって困る。


「バンザイして」
「……んっ」


 え、と戸惑うと、ベッドに片膝を付いた聖南は俺の動きよりも早くいつものパーカーと下着を脱がしにかかった。

 裸になるとグッと緊張が増す。

 この最初の気恥ずかしさはいつまで経っても慣れないから、聖南に呆れられないかなって思うけど、聖南は今それどころじゃなさそうだ。

 優しく俺を抱き締めて寝かせると、人肌に温めたローションを今日はなぜか俺の全身に塗りたくり始めた。

 ヌルヌルしてて程よく温かいから、撫でられてるだけで感じてしまう。


「……んっ……あ……ちょっ、聖南さんっ?」
「何?」
「なんでそんな……塗るの?」
「キスマーク付けたくなるから」
「は?」
「こんだけ塗っときゃ吸えねぇ。 しかも気持ちーだろ?」


 大きな両手のひらを使ってまんべんなく塗りまくりながら、さり気なく乳首をサワサワと擦られて腰が疼いた。

 確かに気持ちいい、気持ちいいけどっ。


「あっ……やめ、っ……ぁ、もっ……」
「もう何? イきそ?」
「……っっ……ん、ぁんんっ……やっ……」


 しょうがないじゃん!

 温かいローションと優しくいやらしい手付きは、どう考えても俺の射精を促してる。

 何とか腰をモゾモゾさせてこらえていると、二重の薄茶の瞳が少しだけ細められた。


「まだキスもしてねぇじゃん。 葉璃、舌出して」
「やっ、……いやっ……! 出ちゃうもん!」
「嫌じゃない。 ほら、べーして」
「んむっ……! んんんっ……ふ、ん……っ……」


 渋る俺の下唇を舐めて舌を誘い出すと、思いっきり絡ませてきた。

 聖南の舌が歯列をなぞる度に、指先に力がこもる。

 上顎をチロチロと舐められるとくすぐったいのに、抗えないほど気持ちが良くて聖南の背中を夢中でかき抱いた。

 俺の口腔内の唾液を吸い上げた聖南は嬉しそうに飲み下し、お返しとばかりに俺にも唾液を寄越してくる。

 最中もずっと舌を絡ませてくるから溺れそうになって、それでも全部飲み干すとさらにまた嬉しそうに聖南が微笑んだ。


「葉璃かわい。 ……好き、……好き」
「……んっんんっ、……んぁッ……ふっ……っ……」


 切なく甘く伝えてくれる「好き」って言葉と声に、俺の背中はゾクゾクした。

 言わせて、俺にも、好きって言わせて。

 キスをやめない聖南の髪を乱しながら、俺はそのキスに応える事で返事をするしかない。

 口の周りに唾液が溢れるほどのキスをしていると、体を這い回っていた聖南の右手から乳首をきゅっと摘まれてしまった。


「んんんッッ……! ……んむっ……ん、ん……」


 刹那、快感が足先に力を込めさせて腰がのけ反り、ポタポタっと俺の腹部が濡れたのが分かった。

 ……キスと乳首だけでイっちゃった……。


「……美味しー。 ……ん、葉璃イったの?」
「………………」
「恥ずかしがってる。 ……かわい」


 まだ直接触れてもいないのに、甘過ぎる手のひらと濃厚なキスにすべてを持っていかれたみたいだ。

 愛おしげに見詰めてくる聖南からの視線が熱過ぎて、俺は両手で顔を覆った。

 恥ずかしいなんてもんじゃない。

 ヌルヌルした体が火照ってるのが自分でも分かって、射精したのに衰えない俺のものは聖南の愛撫をまだ物欲しそうに待ってる。


「顔見せて」
「…………イヤ」
「なんで。 隠してたらキスできねぇじゃん」
「……恥ずかしい、……もうヤダ……」
「あ? 俺まだまだ葉璃が足んねぇんだけど。 ……でもなぁ、ヤダって言われるとなぁ……挿れらんねぇなぁ……」


 頑なに顔を出さない俺に、聖南が落胆の溜め息を吐いて離れていく気配がした。

 え、なんでっ?

 いつもなら「そんなの知らねぇ」って言って力いっぱい抱き締めてくれるのに……!

 離れないでよ!

 俺は慌てて、離れようとした聖南を抱き寄せた。


「ヤダ! ……イヤ!」
「何が。 葉璃が嫌がる事はしたくねぇもん」


 それ本気で言ってる!?ってくらい、落ち込んだ声でそんな弱気な事を言う聖南をソーッと見てみると、ちょっとだけ唇の端が上がってた。

 これは……。


「……聖南さん意地悪な時の顔してる。 ……い、……挿れて……お願い……」


 俺が「嫌」ってばっかり言うから、聖南はまた俺を試そうとしてるんだ。

 もう俺は大好きな聖南のものを受け入れないと満足出来ない体になってしまってるから、今やめるなんて無理だよ。

 勇気を振り絞って言ってみると、俺の予想は大当たりだった。


「……喜んで♡」


 ニコッと満面の笑みを浮かべた聖南は、ヌルヌルした指先を窄んだ穴に走らせた。

 間近に迫る聖南の整った顔を見ると、意地悪されてもそんなに嫌じゃないって事に気付いてしまう。


「……あっ……ん……っ」


 指先が入ってくると俺が息を詰めるから、優しく舌を誘い出してくれてまた長い長いキスをした。

 聖南の指が、俺の中に入ってる………。

 解すための抜き差しをされると、襞全体が性感帯なんじゃないかってくらい、声が抑えられない。


「……っ……んぁっ……あっ……んんっ、ふっ……」
「どしたの、ちょっとだけ力抜いて。 今日疲れてるからそんな力入んの?」
「んっ? ……わかんな、……っ……」
「無茶はしねぇから。 ……葉璃を感じさせて」


 そう言われても、意識すると余計に力が入ってしまう。

 指が二本に増えてるのが感触として分かるくらい強く締め付けてしまっていて、聖南は指先で感じる力みに眉を顰めた。




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