316 / 541
48❥
48❥
しおりを挟む
─聖南─
聖南の可愛い恋人が、助手席で完全に寝入ってしまっている。
乗った瞬間から目を擦り始めたので、眠いのだろうと思ってはいたが、発進して数秒後には首を変な方向に向けて夢の世界へと旅立ってしまった。
聖南は一度ハザードを付けて路肩へ停め、キョロキョロと辺りを見回してマスコミが居ない事を確認すると、一旦降車し葉璃を後部座席へと運んだ。
『……アキラの匂いすんのだけは許せねぇけど』
運ぶ際に、葉璃からは学生の頃からアキラが愛用しているキャロライナヘレラの香水の香りがして、それがやけに鼻をついた。
やたらとアキラに懐いている葉璃は、先程も率先して散歩に連れ出していた。
葉璃にとってはとても聞いていられないような話をケイタとしていたのは悪かったが、それがたとえアキラ相手でも、他の男とのイチャイチャを目の前で見せられればムカつくのはしょうがなかった。
解せない。 非常に、解せない。
『……父親との事とかどうでもよくなっちまったよ……』
たった数時間前まで、過去の事をほじくり返してとどめを刺してきた父親に愕然とし、心の中ですべて終わったと嘆いていたはずなのに。
今は葉璃の事で頭がいっぱいだった。
葉璃の挙動一つ一つが、良くも悪くも聖南の心を乱す。
それもこれも、この先もこの人しか居ないと思える葉璃だからだ。
「よく寝てんな」
自宅駐車場に到着しても起きる気配のない葉璃を見ると、赤ん坊の寝顔で安らぐ親のような温かな心境になった。
しかしながら匂いが鼻に付く。
聖南の香りではない葉璃を抱えて、周囲に気を配りながら自宅へと入った。
その足でバスルームに行き、他の男の匂いにまみれた葉璃を全裸に剥いていると、ようやく愛しの恋人が目を覚ます。
「ん……さむっ……」
小さく呟いて葉璃は、全裸になったと同時に聖南に抱き付いた。
躊躇なく縋ってもらえて嬉しい反面、嫉妬心は抑えきれない。
「立てる? 俺も脱ぐから先にシャワー浴びてて」
「……あれ、いつの間に着いて……」
寝ぼけ眼で聖南をチラと見た葉璃が、「ん?」と首を傾げながらシャワーを浴び始めた事で聖南も急いで衣服を脱ぎ去った。
───早くその匂いを落とせ。
そう言ってしまわなかった自分を褒めてやりながら、寝起きであまり頭が働いていない葉璃の洗髪を見守る。
力なくワシャワシャと髪を洗っているが、先程からまったく意味のない行動を取っている。
出しっぱなしのシャワーの下、シャンプーが泡立ったそばからそれは温水で流れていき、はっきり言って何の意味もない。
『あー……かわいー』
毎回葉璃と会う度に思うが、葉璃は可愛いフェロモンでも体内に常備しているのだろうか。
行動一つ取っても可愛い。
小さくて華奢で、真っ白な素肌は未だに触れる事を躊躇うほどに危うげだ。
ゆっくり背後からその大好きな体を抱き締めた聖南は、少しだけシャワーからずれて葉璃を振り向かせ、唇を奪う。
「……んっ……」
「葉璃、舌」
「……ぁ……ん……ふっ……ん……っ」
もはや何の抵抗もなく舌を舐めさせてくれる。 聖南の舌を喜んで受け入れて、自身と絡ませて快感を共有しようとしてくれる。
甘い吐息を溢しながら聖南の舌で遊ぶ葉璃の表情は、とても高校生には見えないくらいに悩ましくていやらしい。
『かわいーの垂れ流しすんなっつの』
寝ぼけている葉璃は積極的に聖南の首元に腕を回し、もっと深い口付けを求めてきた。
色付いた頬が可愛い。
短い舌で頑張るいじらしさが可愛い。
キスの合間に漏らす甘過ぎる声が可愛い。
ピンと背伸びした姿を客観的に見たいと思いながら、聖南はしっかりと任務をこなした。
華奢な腰を抱いて悟られぬようにし、シャワーのお湯を葉璃の首と背中にかけ続ける。
聖南ではない匂いは消えてくれた事でようやく気持ちが落ち着いてきた聖南は、葉璃の口腔内を目一杯蹂躙する。
聖南のキスを受け入れる葉璃の唇の端から、どちらのものとも分からない唾液がとろりと溢れた。
それを舐め取って至近距離でニッと笑ってやると、たちまち色付いた頬の色味が増す事を知る聖南はこれ以上ないほど幸せだった。
聖南の可愛い恋人が、助手席で完全に寝入ってしまっている。
乗った瞬間から目を擦り始めたので、眠いのだろうと思ってはいたが、発進して数秒後には首を変な方向に向けて夢の世界へと旅立ってしまった。
聖南は一度ハザードを付けて路肩へ停め、キョロキョロと辺りを見回してマスコミが居ない事を確認すると、一旦降車し葉璃を後部座席へと運んだ。
『……アキラの匂いすんのだけは許せねぇけど』
運ぶ際に、葉璃からは学生の頃からアキラが愛用しているキャロライナヘレラの香水の香りがして、それがやけに鼻をついた。
やたらとアキラに懐いている葉璃は、先程も率先して散歩に連れ出していた。
葉璃にとってはとても聞いていられないような話をケイタとしていたのは悪かったが、それがたとえアキラ相手でも、他の男とのイチャイチャを目の前で見せられればムカつくのはしょうがなかった。
解せない。 非常に、解せない。
『……父親との事とかどうでもよくなっちまったよ……』
たった数時間前まで、過去の事をほじくり返してとどめを刺してきた父親に愕然とし、心の中ですべて終わったと嘆いていたはずなのに。
今は葉璃の事で頭がいっぱいだった。
葉璃の挙動一つ一つが、良くも悪くも聖南の心を乱す。
それもこれも、この先もこの人しか居ないと思える葉璃だからだ。
「よく寝てんな」
自宅駐車場に到着しても起きる気配のない葉璃を見ると、赤ん坊の寝顔で安らぐ親のような温かな心境になった。
しかしながら匂いが鼻に付く。
聖南の香りではない葉璃を抱えて、周囲に気を配りながら自宅へと入った。
その足でバスルームに行き、他の男の匂いにまみれた葉璃を全裸に剥いていると、ようやく愛しの恋人が目を覚ます。
「ん……さむっ……」
小さく呟いて葉璃は、全裸になったと同時に聖南に抱き付いた。
躊躇なく縋ってもらえて嬉しい反面、嫉妬心は抑えきれない。
「立てる? 俺も脱ぐから先にシャワー浴びてて」
「……あれ、いつの間に着いて……」
寝ぼけ眼で聖南をチラと見た葉璃が、「ん?」と首を傾げながらシャワーを浴び始めた事で聖南も急いで衣服を脱ぎ去った。
───早くその匂いを落とせ。
そう言ってしまわなかった自分を褒めてやりながら、寝起きであまり頭が働いていない葉璃の洗髪を見守る。
力なくワシャワシャと髪を洗っているが、先程からまったく意味のない行動を取っている。
出しっぱなしのシャワーの下、シャンプーが泡立ったそばからそれは温水で流れていき、はっきり言って何の意味もない。
『あー……かわいー』
毎回葉璃と会う度に思うが、葉璃は可愛いフェロモンでも体内に常備しているのだろうか。
行動一つ取っても可愛い。
小さくて華奢で、真っ白な素肌は未だに触れる事を躊躇うほどに危うげだ。
ゆっくり背後からその大好きな体を抱き締めた聖南は、少しだけシャワーからずれて葉璃を振り向かせ、唇を奪う。
「……んっ……」
「葉璃、舌」
「……ぁ……ん……ふっ……ん……っ」
もはや何の抵抗もなく舌を舐めさせてくれる。 聖南の舌を喜んで受け入れて、自身と絡ませて快感を共有しようとしてくれる。
甘い吐息を溢しながら聖南の舌で遊ぶ葉璃の表情は、とても高校生には見えないくらいに悩ましくていやらしい。
『かわいーの垂れ流しすんなっつの』
寝ぼけている葉璃は積極的に聖南の首元に腕を回し、もっと深い口付けを求めてきた。
色付いた頬が可愛い。
短い舌で頑張るいじらしさが可愛い。
キスの合間に漏らす甘過ぎる声が可愛い。
ピンと背伸びした姿を客観的に見たいと思いながら、聖南はしっかりと任務をこなした。
華奢な腰を抱いて悟られぬようにし、シャワーのお湯を葉璃の首と背中にかけ続ける。
聖南ではない匂いは消えてくれた事でようやく気持ちが落ち着いてきた聖南は、葉璃の口腔内を目一杯蹂躙する。
聖南のキスを受け入れる葉璃の唇の端から、どちらのものとも分からない唾液がとろりと溢れた。
それを舐め取って至近距離でニッと笑ってやると、たちまち色付いた頬の色味が増す事を知る聖南はこれ以上ないほど幸せだった。
3
お気に入りに追加
302
あなたにおすすめの小説
潜入した僕、専属メイドとしてラブラブセックスしまくる話
ずー子
BL
敵陣にスパイ潜入した美少年がそのままボスに気に入られて女装でラブラブセックスしまくる話です。冒頭とエピローグだけ載せました。
悪のイケオジ×スパイ美少年。魔王×勇者がお好きな方は多分好きだと思います。女装シーン書くのとっても楽しかったです。可愛い男の娘、最強。
本編気になる方はPixivのページをチェックしてみてくださいませ!
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21381209
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
EDEN ―孕ませ―
豆たん
BL
目覚めた所は、地獄(エデン)だった―――。
平凡な大学生だった主人公が、拉致監禁され、不特定多数の男にひたすら孕ませられるお話です。
【ご注意】
※この物語の世界には、「男子」と呼ばれる妊娠可能な少数の男性が存在しますが、オメガバースのような発情期・フェロモンなどはありません。女性の妊娠・出産とは全く異なるサイクル・仕組みになっており、作者の都合のいいように作られた独自の世界観による、倫理観ゼロのフィクションです。その点ご了承の上お読み下さい。
※近親・出産シーンあり。女性蔑視のような発言が出る箇所があります。気になる方はお読みにならないことをお勧め致します。
※前半はほとんどがエロシーンです。
αなのに、αの親友とできてしまった話。
おはぎ
BL
何となく気持ち悪さが続いた大学生の市ヶ谷 春。
嫌な予感を感じながらも、恐る恐る妊娠検査薬の表示を覗き込んだら、できてました。
魔が差して、1度寝ただけ、それだけだったはずの親友のα、葛城 海斗との間にできてしまっていたらしい。
だけれど、春はαだった。
オメガバースです。苦手な人は注意。
α×α
誤字脱字多いかと思われますが、すみません。
【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】
NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生
SNSを開設すれば即10万人フォロワー。
町を歩けばスカウトの嵐。
超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。
そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。
愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
短編エロ
黒弧 追兎
BL
ハードでもうらめぇ、ってなってる受けが大好きです。基本愛ゆえの鬼畜です。痛いのはしません。
前立腺責め、乳首責め、玩具責め、放置、耐久、触手、スライム、研究 治験、溺愛、機械姦、などなど気分に合わせて色々書いてます。リバは無いです。
挿入ありは.が付きます
よろしければどうぞ。
リクエスト募集中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる