必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 社長とスタッフ二名は俺達とは対面する形で着席した。

 マネージャーの林さんも遅れて到着して、聖南の隣の席は気が引けるのかスタッフ側に腰掛けている。

 事務所へ寄ってほしいとだけしか聞いてなかったから、いきなり社長登場なんて驚いた。

 急遽みんなを集めるなんて、一体何の話なんだろう。


「早速だが、君達のプロデューサーであるこちら二人と、楽曲提供者のセナには前もって伝えておこうと思う。 お前たちのユニット名が決まった」
「おぉ、ついにか。 なになに?」


 俺と恭也よりも聖南の方が食い付きが良くて、ワクワクした面持ちで会議テーブルに身を乗り出した。

 そういう訳でここに聖南も呼ばれたんだって、ようやく理解して口を噤む。

 いよいよなんだ。

 俺と恭也がこっそりと気になっていた、これから長くお世話になるかもしれない「ユニット名」。

 俺達同様、緊張気味の社長が一つ咳払いをして、仰々しく皆を見回す。



「ETOILEだ」



 ……ん? 何? ……えとわーる?

 聞いたことがない単語に、その場に居た全員がポカンだ。 みんなが一様に「何それ?」の顔をしている。

 聖南も何度か復唱しようとしてみているけど、馴染みのない言葉はすんなりと頭に入っていかないみたいだ。


「あ? 何? えと……?」
「エトワール。 フランス語で星という意味だ。 本当はSTARにしたかったんだが、幹部連中にダサイと言われてな。 フランス語ならしっくりくるだろう?」
「あー……そうだな、STARはダサイ。 まぁCROWNもぶっちゃけ、最初はダサっと思ったけど、何年も経つと慣れるもんだしな。 ETOILEは語呂がいいから良いと思う」
「何? CROWNをダサイと思っていたのか?」
「え、ダサくない?」
「えっ……」
「えっ……」


 こちらを見て、きっとなんの気無しなんだろう聖南は社長の膨れっ面も意に介さず俺達に同意を求めてきた。

 そんな、絶対に社長が命名したんであろうCROWNという名を、ダサくない?なんて俺達に聞かないでほしい。

 ダサイなんて思ってもないし、もし思ってても同調できるはずない。

 社長はそっと、『ETOILE』と書かれた紙をテーブルに置いた。


「スペルはこれだ。 今は恭也と葉璃の二人ユニットだが、三年後にはあと三名加入させて、将来的には五人組ダンスユニットとして活動してもらおうと思っている」
「はぁっ? 五人組!? ……なるほど、それで星か」
「そうだ。 希望の星、というコンセプトでいくから、星にはこだわりたかったのだ」


 えっ? 将来的には五人組になるのっ?

 ───初めて聞かされた俺と恭也のユニットの今後。

 まさか三年後に三人も知らない人が加入してくるだなんて、そんなのまず最初に言っといてほしかった。

 ユニット名よりも、そっちの方が気になってくる。

 隣で珍しく難しい顔をした聖南が、長い足を組みながら社長を見た。


「てかさぁ、五人揃ってからデビューさせりゃ良かったんじゃないの? ……何もこんな急がなくても」
「元々五人組というのは決めてあったのだ。 だが基盤となるリーダー二人は君達で決まったが、三名はどうしても絞り込むほどの人材が居なかった」
「いや、それは分かんだけど、揃ってからじゃダメだったのかって聞いてんの」
「ダメではないが、話題にはなるだろう? 男性ユニットはあまり人数が増減しないものだからな。 二人が三年間でしっかりETOILEの骨組みを作ってくれさえすれば、加入する三名は大きな屋根となろう。 完成形は五年越しだ」


 社長は鼻息荒く俺達ETOILEの未来展望を熱く語った。

 初耳な俺と恭也と聖南は、心中ザワザワしっぱなしで、今社長が言った事を頭の中でもう一度冷静に振り返っていくしかなかった。




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