必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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─聖南─



 聖南は、これがあまり好きじゃなかった。

  自分のものを咥えた者が視線だけを聖南に向けてくるが、全然気持ちよくも無ければ興奮もしない。

  男は誰でもフェラ好きらしいから、思春期の頃友人と下ネタで盛り上がった時も聖南はこの事を誰にも言わなかった。

  言ったところで驚かれるだけだからだ。

  以前葉璃へのお仕置きに咥えさせようとチラと考えた事もあったが、それは経験のない葉璃にとっては意地悪になるからやめたと思っていたけれど、それは聖南自身のお仕置きにもなってしまうというのも多分にあった。

  そう、好きじゃないのだ。

  好きじゃない、はずなのに……。


「…………ッッ……」


 かつてされていた時より遥かに拙い舌遣いだが、葉璃が小さな口を目一杯開けて咥えているそれを見ているだけでイってしまいそうだった。

 温かい口内と、握られている感触、たどたどしく動く舌に聖南は興奮を抑えられない。


『なんだこれ……めちゃめちゃ気持ちいーじゃん……』


 葉璃は自分が下手だから嫌なんでしょ、と涙を浮かべていたけれど、聖南からすると上手いヘタは関係なかった。

 息を呑むと、頬張ったままの葉璃が上目遣いに見上げてきて、その可愛さにさらに自身が膨張したのが分かる。


「葉璃、も、もういい」
「んっ……んんっ」


 濡れた瞳でそんなに見詰めないでほしい。

 小さな掌でゆっくり可愛く扱かないでくれ。

 聖南はあっという間に昇り詰めてしまいそうで、葉璃の肩を優しく押すけれど嫌だというように首を振って離れてくれなかった。

 その動きでまた刺激されて、聖南は口では例えられないほど本当にヤバかった。


「葉璃、ヤバい、出そうだから……離れろってマジで」


 離れるようそう懇願すると、葉璃は何を思ったかより扱く手を早めて、舌を巧みに使い始めた。


『ヤバっ……』


 決してうまいわけじゃない。 だが葉璃にしてもらっているという現実と上目遣い、それだけで聖南の腰は震えた。


「葉璃、……葉璃、イきそっ、おい、……離れろ!」
「…………っ」
「…………ッッ」


 絶頂を感じた聖南は必死で葉璃の肩を押す手に力を込めたが、無知なりに射精を促そうと夢中の葉璃は、とうとう最後まで離れてくれなかった。

 結局我慢出来ずに葉璃の口の中で射精してしまい、聖南はこれ以上ないほど慌てた。


「葉璃、出せ! 早く!」


 両手でお椀を作って葉璃の口の前に持っていくが、微妙な顔をした葉璃は聖南のものを喉を鳴らして飲み下す。

 その様を間近で見ていた聖南は背中に冷や汗がたらりと伝った。


「……ん……、聖南さんのだから美味しいかなって思ったけど、やっぱ美味しいもんではないですね」
「当たり前だろ、っつーか何やってんだ! 飲むなよ!」
「聖南さんいっつも俺の飲んでるじゃないですか。 だからおあいこ」
「おあいこって……あ、こら! 葉璃! もういいって!」


 葉璃が聖南のものを平気で飲んだ衝撃で固まっていると、葉璃はまたしても後処理の如く聖南のものをペロペロと舐め始めた。

 ……今日は一体どうしたというのか。

 いつもは聖南に流されているだけに見えるのに、今日の葉璃は積極的過ぎて少々戸惑う。

 可愛いが、あまり心臓に悪い事はしてほしくない。

 一回射精したくらいでは聖南のものは衰えないので、葉璃はいかにも飴でも舐めているように美味しいと言いたげにペロペロし続けている。




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