必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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40♡7※

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 さっきの行為のおかげって言うのも変だけど、あんまり前戯しなくても痛みはほとんどなくて、多少の圧迫感だけが俺の顔を歪ませる。

 聖南はキスを仕掛けてきながらベッドへ俺を押し倒すと、指先でくるくると孔を弄ったあとすぐにゴム無しで挿入してきた。

 聖南はコンドームを付ける時と付けない時がある。

 気分によってなのか、何か他に理由があるのかはちょっと分からない。

 不慣れな俺でも気持ちよくなれるように、聖南は毎回たっぷりと汗をかきながら傷付けないよう慣らしてくれる。

 中の洗い方も、解し方も、俺は聖南からぜんぶ体で教わった。

 「俺以外の男にここ触らせたら相手殺すから♡」なんて怖い笑顔を浮かべて、架空の浮気相手に嫉妬する聖南の愛が、俺には恐ろしくて愛おしい。


「早く入りたくてたまんなかったー……。  さいこー」


 あの大量の料理達は、綺麗に二人の胃袋に収まって、すぐさまこんな事になってる。

 俺も結構食べたけど、今日は聖南もかなり食べてくれててほんとに安心した。 いつも食が細くて心配してたから、ちゃんと食べる時は食べるんだ……って。

 眼帯のせいで料理を取りづらそうに、食べづらそうにしてたのはちょっと可愛くて癒やされた。


「聖南さん、……さっきのお酒、……あっ……美味しそうでしたね」


 シュワシュワした綺麗な色のジュースみたいな飲み物を、聖南は無表情でグラス一杯だけ飲んでいた。

 キスをした時にその甘いお酒の味がして、ビールよりも美味しそうな風味に何度も聖南の舌を追ったくらいだ。


「あれ?  スパークリングだから飲みやすいけど、やっぱ美味いとは思わねぇな。  葉璃もハタチになったら飲んだらいい。  美味い酒たくさん用意してやるから」
「楽しみです、聖南さんと飲むの」
「……俺は飲まねぇけど」
「……あっ、……そんな、……っ……付き合ってよ……っ!」
「かわいー葉璃のお願いでも、それだけはイヤ」


 聖南は飲めないのに、美味い酒をどうやって判断するんだろって考えたら可笑しくて、揺さぶられてる最中なのに笑いが溢れてしまった。

 甘やかすようにちゅっと喉に吸い付かれながら、少しずつ俺の中への侵入を進めている。


「お、葉璃ちゃん余裕じゃん。  かわいー顔してどしたの」
「……いえ、なんでもな……あぁっ……いま、意地悪な顔した……!」
「痛てっ!  締めるなよ」


 何故かニヤリと笑った顔が、とっても意地悪なのにかっこよく見えて、憎らしくなった俺は少し孔に力を込めてみたらうまく締まったみたいだ。

 余裕ぶった表情が消えた事に、俺も少しは聖南を気持ち良くしてあげられるかもって嬉しくなった。


「ふふっ……ちょっと感覚分かってきた」
「やめろって。  いくら酒飲んでも保たなくなるじゃん。  んな事覚えるな」
「……あっ……だからってそんな……んんっ……やっ……あっ…」
「煽った葉璃が悪い」


 聖南を気持ち良くしてあげられると喜んだ矢先、ゆっくりと挿入してくれていた聖南の腰付きが荒くなる。

 試しに締めてみたそれが煽った事になったらしいと分かって、急いでガッシリとした肩にしがみついた。

 意図せず聖南の中の雄のスイッチを押してしまった俺は、その後朝まで啼かされる羽目になった。

 俺の思う休憩なんか、やっぱり無かった。




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