必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 ぴちゃぴちゃと唾液の混じる音が室内に響いていた。

 ついさっきまできらびやかな空間に居たとは思えないほどの無音の中、いやらしいその音だけが耳に入ってくるから恥ずかしくてたまらない。

 今日も聖南の舌は縦横無尽に俺の口の中を堪能しているようで、さっきから何度も顔の向きを変えている。

 聖南の高い鼻先がほっぺたに触れる度に、やらしいキスをしてるんだって興奮してゾクゾクした。

 微かに感じるアルコールの風味が大人の味を教えてくれている。

 パーティーの後だし、飲んでてもおかしくないから今日は訝しんだりしないんだ。


「…………ん……」
「……あーあ。 メシ頼んじまったよ。  ヤリたくなっちまうだろ。  なんで引き止めた」


 ルームサービスを頼んでしまった後だったから、聖南はフレンチキスで我慢してたんだってそこで初めて知った。

 最後に俺の下唇を甘噛みして離れた聖南が、腰に手をやって見下ろしてくる。

 そんな事言われても……。


「……もう少しキスしてたかったんですもん……」


 聖南がかっこいいから、聖南に触れていたかったから、今日は疲れたし早く聖南から元気を貰いたかったから、……引き止めた理由なんていくつもあった。


「葉璃、それ今言っちゃう?」
「だって……」
「ま、来たらそん時はそん時だな」
「え、……ぅわわっ」


 聖南はふっと八重歯を見せて笑うと、ベッドの端に腰掛けてた俺をひょいと抱え上げて、中央に寝かされた。

 聖南の家のベッドくらいかな。

 俺が大の字になって寝てもはみ出さないほど、広々としてる。

 ルームサービスが来るって聖南自身が言ってたのに、まさかする気なの?と、俺は慌ててまた端へ戻ろうとした。


「こーら、何で逃げるかな。  やるぞ」
「ダメですって!  ごはん来るんでしょ!  せめてその後にしましょうよっ」
「無理。  耐えられねー」


 駄々をこねる聖南は、すでに俺のベストとカッターシャツのボタンをすべて外し終えていた。


「俺が何時間我慢してたと思ってんの?  五時間だぞ、五時間」


 海賊に似つかわしくない今風なデザインの高そうな腕時計を確認して、パーティー開始直後からムラムラしていたと告げられても、どう返したらいいの。

 嬉しいけど、……ほんとは俺も始めてしまいたいけど、……。


「聖南さん、分かりましたから、とりあえずシャワーを……っ」
「今日はダメ」


 いつものように先に体を綺麗にしたいと思ったのに、聖南は真顔で俺の申し出を跳ね除けた。

 それがさも当然みたいに、有無を言わさない。


「なんでですか!  聖南さんの「ダメ」って言うの、今日何回聞いたか分かんないですよ!」
「頼むからこのまましよ。  葉璃のせいでコスプレ趣味がうつっちまった。 責任取って♡」
「なんで俺のせいに……!」


 そもそも俺のコスプレ趣味は聖南限定だし、かっこいいからドキドキしてしまうってだけだ。

 断じて、そういうエッチがしたいって意味じゃない。

 前はちょっとドキドキがムラムラに変わってしまった事もあったけど……。

 今はその時じゃないよと言おうとした俺に、聖南は魅力的な提案を持ち掛けてくる。


「俺もこのままやっから」
「…………!!  海賊眼帯聖南さんで、ですか……!」
「どうよ」
「…………っっ」


 気持ちが揺らいだ。 それは魅力的過ぎる提案だった。

 俺はベッドに押し倒されたまま、目の前の眼帯聖南を見上げて照れる。

 この勝ち誇った表情。 聖南は、不覚にもときめいてしまった俺の心を読んだ。

 いやらしく舌なめずりしてニヤリと笑い、悠々と俺を見下ろしている。

 単純な俺はその瞬間、呆気なくドキドキがムラムラへと変わってしまった。





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