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しおりを挟む完成したパズル上には、海翔の遠慮がちな笑顔があった。
知らなかった事実、いや、月光に囚われ過ぎて知ろうとしなかった事実を目の前に、乃蒼の心が驚きに震え、そして───。
堕ちた。
「ふふ……っ、乃蒼、それでもいいって顔してくれた」
「……っ、んぁぁぁっ……!」
笑顔で唇を舐めてきた海翔から、一気に突き立てられて内臓を押し上げられた。
ぎちぎちに腹内部に嵌った海翔の性器が、乃蒼の中で熱く脈打っている。
拡がったそこはゼリーのおかげで痛みはなかったが、海翔が擦り上げる度に熱を持ち続けた。
「ん……っ、んっ……はぁ、っ……っ……」
「愛してあげる。 乃蒼が欲しかった愛情は、俺が一生かけて注いであげる」
「……っ! ……かい、と……っ、海翔……っ、好き……、好き……っ」
「…………っ……」
「海翔は……っ? 言って、くんない……っ?」
海翔の想いの深さに堕ちた乃蒼のタガが外れていた。
───愛して。 好きだと言って。 もっと愛して。
滲み出る海翔の愛よりも、まだまだ深くそれを欲していた。
乃蒼の左足を抱えた海翔は、我が額を流れる汗を感じながら溜め息を吐く。
そして、乃蒼に向かって「そのギャップどうにかしてよ……」と苦笑した。
「好きだよ、乃蒼。 愛してる。 ……愛してるよ、乃蒼」
「あい、して……っ? 愛してる……っ?」
「一途な俺を信じて。 何年乃蒼だけを想ってたと思うの?」
「……っ……海翔……っ、好きっ……好き…っ……好き……っ」
乃蒼が告白する毎に、内外の腹部が熱くなる。
絶え間なく押し寄せる情欲によって、海翔が擦り上げてくる内壁も、雫が止まらない己自身も、どろどろに濡れきっていた。
こんなに満たされた事はない。
様々な感情が溢れ出て、海翔の背中に指跡が残るほど抱き締めてしまう。
愛されていると実感すると、乃蒼の内から湧き上がる海翔への愛が止まらなかった。
激しく腰を打ち付けていた海翔が、思わず動きをストップさせて乃蒼の髪をかき上げる。
海翔の腰に巻き付けた乃蒼の両脚、そして着痩せするガッシリとした体躯を抱き締めていた乃蒼の腕の力が、想像以上に強かった。
「すごい……乃蒼ってそうなるんだ。 ……嬉しい発見」
「……もっ、と、ぎゅって……して……っ、海翔っ」
「ん。 そんなにしがみついてたら動けないよ? 少しだけ離れて?」
「嫌だ……っ、離れたくない……! なんで離れなきゃ……なんないんだ!」
「乃蒼の中、まだ擦りきれてないからだよ」
「…………っっ」
耳たぶを食まれてそんな事を囁かれたら、離れないわけにいかない。
離れたくないけれど、心ゆくまで乱れたい乃蒼は渋々と力を緩めた。
ふてくされた赤みの強い唇にキスをした海翔が、じわじわと動きを再開する。
湿った肌に互いの唾液や汗が飛び散り、儚い熱を帯びていた。
腹部は乃蒼の先走りと精液にまみれ、それでも尚まだ足りないとばかりに勃ち上がって海翔からの愛を欲する。
肌がぶつかり合う音と、たっぷりの潤滑ゼリーによる滑らかで卑猥な粘膜音が、乃蒼の嬌声と海翔の吐息と共に室内に響き渡った。
乃蒼の欲情しきった潤んだ瞳は、海翔の表情を一つも見逃すまいと薄く開いたままである。
頬や髪に触れてくる優しい指先と、乳首を意地悪に摘む相反する指先は両極端で、何とも恍惚とした。
「んっ……、んぁっ、……気持ちい、それ、好きっ、……気持ちい……っ」
「一緒にされるの気持ちいいから好きだよね。 痛いのは嫌だよね」
「ぅん、……っ、嫌、痛いの、嫌……っ! 気持ちい、……っ……かい、と……っ……っ」
「……酔っ払って出てた甘えたは、乃蒼の本性だったんだ……。 本当に禁酒させなきゃ」
いやらしく乃蒼の胸元を弄っていた綺麗な指先が、呟きと同時に離れていく。
まだ抱き締めてはいけないのかと不満たらたらで海翔を見ても、彼の意識は違う方へいっている。
絶えず涙を零す乃蒼の性器がバレてしまい、ルーズにかつ素早く腰を動かされながらそれをギュッと握られた。
「んあぁっ……っっ……、早っ、早……っ、出る、……また、出る、……っ」
「もう出ないんじゃない? 扱いてみよっか。 …………あ、出たね」
「あっあっあっ……───っっ! で、出るって、言ったじゃん……! んっ、も、触るの、だめ、……っ……気持ちぃから……っ」
「気持ちいいのは良いことだよ。 乃蒼がこんなに感じてくれてるの初めて見るから嬉しい。 俺も気持ちいいよ」
何度果てたか分からない性器は、海翔に上手く扱かれてついに萎れている。
息が続かない乃蒼は、ふと笑顔を浮かべた海翔に繋がったまま抱き上げられた。
慌てて海翔の首にしがみつくと胡座の上にぺたんと座らされて、ギチギチに嵌っていると思っていた海翔の性器が乃蒼の最奥を一段と刺激する。
「……わっ……、あぁっ……んんん……っ! こ、これでするの……っ?」
「うん。 乃蒼の顔見ながらしたかった」
「……お腹、くるしい……っ」
「乃蒼も気持ちいいと思うよ。 いっぱい奥突いてあげる」
「……ふっ……、ぅぅっ……っ……! んんっ……、」
「愛してるよ、乃蒼。 ……俺の乃蒼……」
乃蒼の腰を抱く海翔から、たくさんのキスと愛の言葉が降らされた。
上下に激しく揺さぶられて涙を溢した乃蒼は、とてつもない後悔に身を切られる思いだった。
与え、与えられる愛が、こんなにも心を満たすのだという事を知らずにいた今日までの日々を、───激しく後悔した。
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