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初体験から数日。
二人の関係は、確実に友達という枠をグーンと飛び越えていた。
「……あっ……んんっ……」
「あー……イキそう~」
「な、中はダメだからな!」
「妊娠するわけじゃないしいいじゃ~ん」
言いながら、すでにラストスパートをかけた月光はそのまま乃蒼の中に勢い良く発射した。
衰えないそれは射精した事も忘れさせるほどの強度を保っていて、乃蒼の静止も聞かず二回目へと突入する。
内側から、放たれた月光の欲がぶちゅっと弾け出た。
背中から脇腹にかけてをいくつも噛まれて、痛みを避けたくてもそれさえ月光は許さない。
あれから月光は、乃蒼とのセックスは最高だ!と飽きる事なくほぼ毎日のように乃蒼との逢瀬を楽しんだ。
案の定、三股騒動の翌日には月光の隣には知らない女性が居て、以来乃蒼は浮気という形で月光とやってしまっている。
月光はとにかく、節操も無ければ堪え性もなく、授業中だろうが何だろうがムラムラするとこうして乃蒼を空き教室に引っ張り込み、獣のように抱く。
セックス上手いから、と鼻高々に豪語していただけあった。
浮気は流石に後ろめたく、最初は頑張って突っぱねる。
だがほんの数分乳首を愛撫されると、それだけで乃蒼もたちまち快楽に負けてしまい、なし崩し的に月光との微妙な関係を続けていた。
「あ~……さいこー。 やっぱ乃蒼とのセックスが一番だわ~」
「……中で出すなって言ったのに……」
冷たい床にゴロンと二人で横になると、明るい陽射しが入ってきて急に夢から覚めたような気持ちになる。
それは毎回だった。
「俺には理解できないよ。 準備もいらないし、濡れるし、体のあちこち柔らかいんだろうし、ゴムさえ付ければ女の方がいいだろ。 今の彼女はここの生徒なんだから、彼女とやればいいじゃん」
「そういう事じゃなくて~。 乃蒼もさ、気持ちいいだろ?」
「…………まぁそうだけど」
「なら良し! 乃蒼も気持ちいいなら、それでいいじゃん~」
月光は本当に、細かい事は気にしない質だ。
常々そう思うが、この下半身の緩さはいつか大事になりやしないかと不安になってくる。
そんな気楽な月光との危なくも微妙な関係は、一年経ち、二年が経って卒業間近になっても続いた。
生粋の女好きなのだから、男の体などいつか飽きるだろうと思っていた乃蒼の考えは見事に裏切られた。
乃蒼とのセックスの回数は変わらずだったが、その間も月光の隣には必ず彼女や別のセフレが居て、こいつはとんでもない絶倫だと呆れたものである。
日中は乃蒼として「最高だった」と感想をもらっても、それを覆させるかのようにその晩は別の女を抱く事を乃蒼は知っている。
さすがにこうも求められると情も湧いて、乃蒼の中で月光への気持ちが膨らみかけていた。
だがそれを躊躇させるのは、月光のその節操の無さが原因だった。
たとえ乃蒼一人に絞ってくれたところで、月光の浮気性は治らない。
後になって傷付くくらいなら、もういっその事、こんな関係はやめてしまいたい。
乃蒼は間近に迫った卒業を機にそう申し出ようとタイミングを図っていたけれど、月光は行為が終わるととてもスッキリしたと言わんばかりに早々と教室をあとにする。
何の罪悪感も抱いていない爽やかな笑顔で、じゃまたね~と乃蒼を置いていくことに、月光は躊躇いが一切無い。
その派手な後ろ姿を見る度、トイレで月光に出されたものを自分で掻き出す度、乃蒼の中で何かが失われていくようだった。
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