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9一3※
しおりを挟む──橘は、優しい。
キスをしてくる説明不足な行為も引っくるめて、もしかして橘は由宇をそういう意味で気に入ってくれているのかもしれないと思ってしまうほど。
下心の対象になっているかもと分かっても、全然イヤじゃない。
いかにもモテそうで経験豊富そうな橘が、なぜ自分なんかに???と不思議に思いはしても、むしろ色々な事を教えてくれそうだからか由宇も拒まずにいる。
さっきはドキドキが通常の三割増しだったので押し戻してしまったが、結局彼の胸に飛び込んだのであまりその意味は無かった。
(あの目でジーッと見てきたら……なーんか体が動かなくなっちゃうんだよね……)
瞳を瞑ると、瞼の裏に橘のイケメン面が蘇ってくる。
キスを迫ってくる顔は大人で、色気がすごくて、悪魔だなどとはとても思えなくて。
セクシーな顔立ちが尚更、いやらしい空気を増長させていた。
(眠れない……。 だって先生……ずっと触ってくるんだもん……!)
由宇が寝るまで傍に居ると言っていたのは本当のようで、橘は由宇の顔のどこかしらを触って撫でてを繰り返している。
「…………これ俺の入んのか?」
何やら呟かれながら、口元に触れられた。
親指で唇をふにふにと触られた後、橘がそんな事を言う意味などさっぱり分からなかった。
本当に熱でもあったら大変だし、と自分に言い訳をしながら寝たフリを続行する。
どのくらいの時間が経ったのか、ほんの少しだけ睡魔に襲われ始めているものの、橘がしきりに顔や髪を触ってくるのでその度に覚醒して眠れない。
触れてくる指先の温度が、ひんやりしなくなってきた。
瞳を瞑っているせいで触られている感触がやけに生々しく感じ、規則正しい寝息を生み出そうとしてもうまく出来ていないような気がする。
由宇はされるがままで、完全に油断していた。
(…………ッッッ!?! ま、またチューしてきた!!)
触るのをやめてほしいなと思っていたら、唇を塞がれてしまっている。
しかも今回のは初めてのやつだ。
(べ、ベロが……っっ!? ベロがーー!!)
いわゆるディープキスというやつを仕掛けられていた。
慌てた由宇は飛び起きようとしたのだが、今は寝ている体なのだから無防備なフリをしておかないといけないと思い、橘に気付かれないように足の指だけをピクピク動かす。
侵入してきた橘の舌が由宇の舌を見付けて捕まえると、しばらく先っぽで遊ばれた。
唇を合わせるだけの子供じみたキスでは到底無いそれに、由宇の頬と下腹部は徐々に熱を持ち始める。
(何、何これ……!? 気持ちいい……っ)
口移しで貰ったガムキスの時より何倍も何十倍も濃くて、温かい舌が絡み合ういやらしい粘膜の愛撫は、由宇にとっては衝撃しかないはずだった。
だが、ぬるっとした感触と合わさった唇から橘の吐息を感じてしまうと、衝撃を上回る気持ち良さに不覚にもうっとりしてしまった。
これがキスだという事は理解できる。
できるけれど、何故これを橘が自分にしてくるのか分からなくて、ぐるぐる巻きにされていた毛布から腕を出して橘の肩を押した。
もう、寝ているフリなど、出来なかった。
「せん、せっ……やめ……っ」
「俺だってやめてーよ。 でも止まんねーんだもん」
「んッ……ふっ……せんせぇ……っ」
止まらないなんて事があるのだろうか。
由宇が狸寝入りをしていると分かっていて仕掛けてきたのだと気付いて、またはぐらかされるのは嫌だと「やめて」を繰り返した。
抵抗の声を上げる度に口を開く事になって、それは皮肉にも橘を容易く受け入れようと積極的なようでもある。
「抜いてやろっか」
ニヤッと笑った橘に、浴衣の上から小さな由宇の反応したものをさらりと撫でられた。
着替えを持って来ていない由宇は、昨日も今日も風呂上がりはノーパンだ。
例によって、橘も。
「……ひゃっ……や、やだぁぁ! ……まだ……っ? まだ何かすんの……ッ?」
「俺も抜かせてもらう」
「嫌っ、待って、待ってよ! 俺具合悪いって……!!」
「俺のせいでな。 治してやるよ、その熱」
はだけた浴衣の隙間からお尻を揉みしだかれ、手早い動作でコロンと体をうつ伏せにされる。
掛け布団も毛布も脇に追いやって、躊躇なく由宇の浴衣を捲し上げる橘の腕を取った。
何が起ころうとしているのか、「俺のせい」とは何の事を言っているのか、一からではなくゼロから説明してくれと由宇は半泣きである。
「何っ? 何して……っ!? 待ってってば! ふーすけ先生っ!」
「すげ。 超ピンクじゃん。 ……そのまま膝ついて足閉じろ」
ノーパンなのが災いし、腰を持たれた由宇のお尻を橘が凝視して鼻息を荒くした。
由宇が逃げられないようになのか、背中を押さえつけてくる橘の腕に僅かに力がこもる。
「お前の体調不良は今日一日じゃ治んねーかもな」
「……はっ? あっ……何っ? 嫌……嫌だ、熱いよぉぉ……っ」
枕に顔を埋めて嫌だと首を振っていると、太ももの付け根辺りに何かとても熱いものがにゅるっと由宇の肌を擦った。
それが橘の猛ったものだと分かるまで、そう時間は掛からなかった。
「レイプしてる気になるからあんま叫ぶなよ」
「これは立派にそうだと思うけど!?!」
「は? お前ガン勃ちさせといてよく言う。 挿れてねーからレイプになんねーし。 オラオラ、足もっと閉じろ。 お前細過ぎんだから力いっぱい閉じてろよ」
「やっ……嫌! なん、でっ、先生! ……なんでこんな……ッッ!?」
膝立ちした由宇の太ももの付け根の間を割って、橘が自身のものを擦り付けてくる。
お尻を両サイドからギュッと窄めさせられて、それと同時に太ももにも力が入った。
「素股なんて始めてだわ。 案外気持ちいいな」
「……ッッす、素股っ?」
(なんでっ? なんでこんなエッチな事してんの!? 俺、先生の何なんだよーーっ!!)
橘が容赦なく動き始めた事で、嫌だと嘆いたところで由宇の体も同じだけ揺れ動いてしまう。
差し込まれる度に由宇のものと橘のものが触れ合ういやらしい感触に、自身は萎えるどころかどんどん先走りを溢れさせていた。
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