大神 狼のペット

名前

狼は、さっきから「君」としか言っていなかった。
ちゃんとした名前が知りたいと思ったのだ
「名前…」
「うん。名前…」
「名前は…僕を飼う人が決めるんじゃあ…」

少年は、狼の質問に答えた
狼は、まさかの返答に驚き質問を変えて聞く
「僕がつける名前じゃなくて、君の両親がつけた名前」 
「母さんと父さんがつけた名前…」
「そう。あるでしょ？名前…」

少年は、頷いた。
そして、口を開いた。
「僕の名前は、ミラ…ミラ・ベイリー」

「ミラか。綺麗な名前だね。」
狼は、初めて聞いた名前は少年にピッタリだと思った。
狼は、少年の名前を知れて嬉しいと心の中でよろこぶ

ミラは、狼に名前を褒められ嬉しそうに口角が緩む
ミラにとって名前は、今何も持っていない自分に唯一の家族との繋がりそして、大切な贈り物だからだ。
「ミラ…」

突然名前を言われ反射的に狼の顔を見る。
狼は、クスッと笑う
「ご、ごめん。ただ名前を呼びたくなっただけ…」
「…」
「あぁ。嫌味とかじゃないよ。ほんとミラの名前しれたから嬉しくて…」
「…う、嬉しい？」
「嬉しい」

ミラは、不思議そに狼を見つめる
でも、自分の名前を大切そうに呼ぶ狼の姿を見てミラも少しづつ緊張感が溶けていく。

「ミラ。ミラは、お腹とか空いてない？」
「お腹。…」
「うん。無理はしなくていいよ。」

狼は、ミラの顔色を伺いながら聞いた。
ミラは、チラッと狼の顔を見るがお腹が減っているとは、答えない
「野菜スティックなら食べれるかな？」

狼は、優しく聞く
「…」　
「やっぱり…いらないか」 
「…や、野菜スティックなら…少し…」

思っていた返事とは違って狼は、びっくりする。断られるか無言かのどちらかだと思っていたぶんミラからの言葉に狼は、嬉しかった

「そ、そっか」 
「……。」
狼は、急いで野菜スティックを取りに行った。
野菜スティックの種類は、人参、キュウリ、大根
根野菜の定番が沢山入っている。

狼は、ミラに野菜スティックが入っている
皿を見せる。
ミラは、ゆっくり手を伸ばした。そして先に手に取った野菜は、キュウリだった。
「キュウリが好きなのか((ﾎﾞｿｯ))」

狼は、小さく呟いた。
三門は、少し躊躇ったように手を引っ込めようとしたがキュウリを手に取り
口に運ぶ
ポリッ

ミラは、小さな口でキュウリをかみきる。
「お、美味しい？」
狼は、聞く
ミラは、静かに頷いた。
狼は、嬉しくなって顔が緩んでしまい狼は、手で口を覆った。

「つ、次は何を食べる？」
「っ…」
ミラは、困ったように眉を下げる
狼は、ミラの表情に気づきとっさに謝る