恋の魔法は欲張りで

ノアメロ

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ただいま。

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翔太は、仕事を終え帰路に着く。
時間は8時半すぎ外は街灯のあかりだけが照らされる。

いつもなら暗い自室の窓を見るが…今日は違う。
部屋の窓から光が漏れている。

「…カエデか」
翔太はボソリとつぶやき玄関へ向かう。

玄関をガチャりと開ける。
「…た、ただいま?」
いつも1人だと言うのか戸惑いながら帰りの挨拶をする。

「おかえり~翔ちゃん!」
お風呂上がりであろう。カエデに会う。
体は濡れており腰にはバスタオルを巻いているだけだ。

「お、お風呂入ってたのか…早く服着ろよ。」
「わかった。」

翔太の心臓はうるさくなっている。
マネキンだったとは言えずっと好きだった人にお出迎えされるのはすごく嬉しい

「恋人みたい…」ボソリとつぶやき

翔太は、スーツを脱ぐ
ハンガーにかけクローゼットにしまう。
「あっそうだ。カエデ、夜ご飯なんだけど。」
「ふふ。その事なんだけど!作った」

カエデはドヤ顔で言った。
翔太はまさかのことで驚く。今までマネキンだったのに料理ができるとは
「凄いな、で料理は?」
「卵焼きを作ってみた」

目の前に出されたのは焦げた卵焼き
お世辞にも美味しそうには見えない
「お、おいしそー」
カエデは嬉しそうにニコニコして笑う。

カエデは決して成功とは言えない料理を並べ翔太は机の前に座る。
手を合わせ
「「いただきます」」

翔太は作られたご飯口に運ぶ
「っ…」
見た目通り美味しいと言えるものではなかった。がカエデの指には絆創膏がはられている。今まで作ったことはないのにこのために頑張って作ってくれたかと思うと嬉しい

「美味しい…」
「嬉しい」
カエデは嬉しそうに笑う

翔太の心臓はまた脈を打つ
カエデの笑顔や自分のために頑張ってくれるところが嬉しくてまた目の前のマネキンに恋をする。
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