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いとしいこどもたち
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王座の間という物は本来であれば国の象徴として威厳と威圧感がたっぷりと満ちているべき物である
そして国の象徴と言えば王もまた玉座へと座り国政や民の行く末を見守っているべき偉大な存在であるのだ
……のだが、今は5人の人々により混沌を極めていた。
「言うべき事はあるかい?イズルメ、アルスリヤちゃん。」
「「コイツ(そっち)が悪い!アンタが悪いんでしょ!!真似するな(しないで)!!!いっだぁぁ?!」」
浮遊島、【スフィアガルズ】その現国王たるイズルメの父、ズンド・アスフィーリヤの視線は目の前でお互いに悪いと言い合っては隣にいた母親達からゲンコツを食らって目の端から涙を浮かべている2人の少女達へと向けられていた。
2人はつい先日20歳を迎え立派な我等大人の仲間入りを果たした筈であるが、成人の義にて騒ぎを起こした末に罰として言い付けられた我がアスフィーリヤの大事な物が収められた物置小屋を数時間も経たずに言い争いから発展した大喧嘩で破壊せしめたのだ。
当然、流石に叱り付けてやろうと二人を呼び寄せたのだが我が妻バラギリヤとアルスリヤの母親であるクリヤが顔面を真っ赤に腫らし眼窩に青アザを浮かべたボロボロの二人を引き連れて来て何かを言う度にゲンコツが飛来していると言う何とも言えない光景が広がっているのである。
いやまぁ事の経緯を聞いた時は呆れたと言うより怒りが勝り直々に雷を落とそうと呼び付けたのだが連れて来られた二人はバラギリヤとクリヤによって既に相当絞られている様子であった。
「あの……クリヤ殿、それまでに……?アルスリヤちゃんもほら反省してる様だし?」
「アルスリヤが本っ当に申し訳ありません!」
アルスリヤの母、クリヤは申し訳なさそうに謝罪をするとアルスリヤの頭を引っ掴んで頭を下げさせると小声で「ごめんなさい」と言う声が聞こえて来た
「私に負けて謝らされてるとか無様ねぇアルスいだぁ?!」
「貴女もアルスリヤちゃんを見習って謝ったらどうですか!」
うちの娘は……うん、当然と言うかなんというか…
「まぁやってしまった物は仕方ないとして、あの物置小屋は一応それなりの頑丈な造りをしてたんだけど……物は何時かは壊れるって言うけど困ったなぁ……」
2人に掃除を言い付けた物置小屋は大事な物と言っても変えが効く様な代物があるとは言え許すよ、なんて言っちゃうと周りから「バカ親」とか「親バカ王」とか「女に優しすぎる」とか散々な言われ目にあってしまうしなぁ……
いやね?大事な娘と娘の唯一のお友達だから大目に見るし許すしかないじゃん?
「とまれ、成人した大人が問題を起こしたのなら罰は受けてもらわないと示しが付かないのはアルスリヤちゃんもイズルメも理解してるよね?」
そう、二人は今日から立派な成人なのである
ここは心を鬼にして厳しい処罰を与えなければ行けないのだ。
「パッパ?!今回の1件って処罰とか受ける要素ないと思うんだけど?!寧ろサボって本を読んでたアルスリヤの方が処罰を受けるべきじゃない!?それにアルスリヤは一応、決闘と言うか模擬戦で私に負けたのよ?すべての責任は敗者が追うべきだと思うんですけど?」
「はぁ?アンタが人の羽を毟ったり殴ったりしたから大事になったんでしょうが火種のアンタが処罰を受けるべきよ。知ってる?浮遊島では最初に手を出した方が負けなのよ、つまりあんたの負けってわけ。馬鹿な頭でもお分かり?」
そして母親達からまたゲンコツを落とされる
「うんうん。そうだね確かに今回の一件は決闘に当たるから敗者であるアルスリヤちゃんには責任を追う義務が生じるよね。」
ニンマリとアルスリヤの脇腹を小突いているイズルメを尻目に「だけど」と続ける
「だけど、決闘の前に先に手を出したのはイズルメだよね?浮遊島の法律には正当な理由が無い場合、先に手を出した者は厳しく罰するって俺の娘なら理解してると思うんだけど……な?」
言われてイズルメが気まずそうに頬を掻く
「いや……まぁ…それはそうだけど……バカスリヤは友達って言うか特別って言うか……」
「仕方ないなぁ。アホルメは特別な友達だから許して上げるわよ。」
「ばっか言わないでよ私が許してあげるってんの。」
これは……世に聞く友情って奴かな?父さん箱入りで友達なんて少なかったから、そうやってお互いに顔真っ赤にしていじくり会える仲って羨ましいなぁ……ほらバラギリヤとクリヤも昔の事思い出して微笑んでるし、やっぱり許そうか……
いや、何絆されかけてるんだ。
違う!違うよ!確かに友情は大切だけどね?!物置小屋を壊した責任を取ってもらわないと困るんだよ!!
いや、けどなぁ……うーん……イズルメとアルスリヤちゃんには仲良くしてもらいたいしなぁ……
よし、やっぱり許そう。バカ親で良いさ。
「うん。2人とも友情って大事だけど物置小屋の件は別だからね?取り敢えず今回は特別に許して上げるから外に出たら「こっぴどく怒られた」とか言っててくれるかな?」
すると2人の母親、バラギリヤとクリヤは一瞬キョトンとした顔をすると呆れた様に肩を竦めてゲンコツを、しかし先程の勢いの強いゲンコツではなく優しいゲンコツをコツンと話を聞かずに2人で盛り上がっている自分の娘にぶつけたのである。
彼女達は大人とは言え我々からしたら子供なのだ
子供のした事は笑って許してあげるしか無いだろう。
…………と2日後に起きた乱闘騒ぎまでは思っていたのだった。
そして国の象徴と言えば王もまた玉座へと座り国政や民の行く末を見守っているべき偉大な存在であるのだ
……のだが、今は5人の人々により混沌を極めていた。
「言うべき事はあるかい?イズルメ、アルスリヤちゃん。」
「「コイツ(そっち)が悪い!アンタが悪いんでしょ!!真似するな(しないで)!!!いっだぁぁ?!」」
浮遊島、【スフィアガルズ】その現国王たるイズルメの父、ズンド・アスフィーリヤの視線は目の前でお互いに悪いと言い合っては隣にいた母親達からゲンコツを食らって目の端から涙を浮かべている2人の少女達へと向けられていた。
2人はつい先日20歳を迎え立派な我等大人の仲間入りを果たした筈であるが、成人の義にて騒ぎを起こした末に罰として言い付けられた我がアスフィーリヤの大事な物が収められた物置小屋を数時間も経たずに言い争いから発展した大喧嘩で破壊せしめたのだ。
当然、流石に叱り付けてやろうと二人を呼び寄せたのだが我が妻バラギリヤとアルスリヤの母親であるクリヤが顔面を真っ赤に腫らし眼窩に青アザを浮かべたボロボロの二人を引き連れて来て何かを言う度にゲンコツが飛来していると言う何とも言えない光景が広がっているのである。
いやまぁ事の経緯を聞いた時は呆れたと言うより怒りが勝り直々に雷を落とそうと呼び付けたのだが連れて来られた二人はバラギリヤとクリヤによって既に相当絞られている様子であった。
「あの……クリヤ殿、それまでに……?アルスリヤちゃんもほら反省してる様だし?」
「アルスリヤが本っ当に申し訳ありません!」
アルスリヤの母、クリヤは申し訳なさそうに謝罪をするとアルスリヤの頭を引っ掴んで頭を下げさせると小声で「ごめんなさい」と言う声が聞こえて来た
「私に負けて謝らされてるとか無様ねぇアルスいだぁ?!」
「貴女もアルスリヤちゃんを見習って謝ったらどうですか!」
うちの娘は……うん、当然と言うかなんというか…
「まぁやってしまった物は仕方ないとして、あの物置小屋は一応それなりの頑丈な造りをしてたんだけど……物は何時かは壊れるって言うけど困ったなぁ……」
2人に掃除を言い付けた物置小屋は大事な物と言っても変えが効く様な代物があるとは言え許すよ、なんて言っちゃうと周りから「バカ親」とか「親バカ王」とか「女に優しすぎる」とか散々な言われ目にあってしまうしなぁ……
いやね?大事な娘と娘の唯一のお友達だから大目に見るし許すしかないじゃん?
「とまれ、成人した大人が問題を起こしたのなら罰は受けてもらわないと示しが付かないのはアルスリヤちゃんもイズルメも理解してるよね?」
そう、二人は今日から立派な成人なのである
ここは心を鬼にして厳しい処罰を与えなければ行けないのだ。
「パッパ?!今回の1件って処罰とか受ける要素ないと思うんだけど?!寧ろサボって本を読んでたアルスリヤの方が処罰を受けるべきじゃない!?それにアルスリヤは一応、決闘と言うか模擬戦で私に負けたのよ?すべての責任は敗者が追うべきだと思うんですけど?」
「はぁ?アンタが人の羽を毟ったり殴ったりしたから大事になったんでしょうが火種のアンタが処罰を受けるべきよ。知ってる?浮遊島では最初に手を出した方が負けなのよ、つまりあんたの負けってわけ。馬鹿な頭でもお分かり?」
そして母親達からまたゲンコツを落とされる
「うんうん。そうだね確かに今回の一件は決闘に当たるから敗者であるアルスリヤちゃんには責任を追う義務が生じるよね。」
ニンマリとアルスリヤの脇腹を小突いているイズルメを尻目に「だけど」と続ける
「だけど、決闘の前に先に手を出したのはイズルメだよね?浮遊島の法律には正当な理由が無い場合、先に手を出した者は厳しく罰するって俺の娘なら理解してると思うんだけど……な?」
言われてイズルメが気まずそうに頬を掻く
「いや……まぁ…それはそうだけど……バカスリヤは友達って言うか特別って言うか……」
「仕方ないなぁ。アホルメは特別な友達だから許して上げるわよ。」
「ばっか言わないでよ私が許してあげるってんの。」
これは……世に聞く友情って奴かな?父さん箱入りで友達なんて少なかったから、そうやってお互いに顔真っ赤にしていじくり会える仲って羨ましいなぁ……ほらバラギリヤとクリヤも昔の事思い出して微笑んでるし、やっぱり許そうか……
いや、何絆されかけてるんだ。
違う!違うよ!確かに友情は大切だけどね?!物置小屋を壊した責任を取ってもらわないと困るんだよ!!
いや、けどなぁ……うーん……イズルメとアルスリヤちゃんには仲良くしてもらいたいしなぁ……
よし、やっぱり許そう。バカ親で良いさ。
「うん。2人とも友情って大事だけど物置小屋の件は別だからね?取り敢えず今回は特別に許して上げるから外に出たら「こっぴどく怒られた」とか言っててくれるかな?」
すると2人の母親、バラギリヤとクリヤは一瞬キョトンとした顔をすると呆れた様に肩を竦めてゲンコツを、しかし先程の勢いの強いゲンコツではなく優しいゲンコツをコツンと話を聞かずに2人で盛り上がっている自分の娘にぶつけたのである。
彼女達は大人とは言え我々からしたら子供なのだ
子供のした事は笑って許してあげるしか無いだろう。
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