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第三章

23話 三人の男

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 その後はまたちょっと下世話な話になったあと、本題のみんなとの付き合い方に関するアドバイスと、冒険者の話を聞いてオウスケの家からお暇した。

 みんなとの付き合い方については本当にすごくためになった。
 
 また色々教えてもらいに来よう。

 冒険者に関してはオウスケが。

「とりあえずあいつらもう村の女の子何人かに手出してるな。
 しかも、俺とは絶対に友だちになれないタイプだから、これからはあいつらの下っ端にもなるのかと思うと気が重い」

 と言っていたのが気になった。

 市に合わせてきたというのならまだ村に来てせいぜい数日だろうけど、それでもう複数の女の子に手を出しているとか……。

 しかも、オウスケの『友達になれない』理由が『乱暴そうだから』だし、どうもあまりお行儀のいい人たちではないようだ。

 もう既にお昼の時間は過ぎてしまっているけど、逆にすでに過ぎてしまったんだからこの際と考えて帰る前に一目彼らの様子を見に行ってみることにする。

 オウスケの話ではここ数日ずっとたまり場でレオンと宴会のようなものをしているらしいので、行けば姿くらいは見れるだろう。

 敵情視察……と言い切ってしまうのは気が早いかもしれないけど、レオンの新戦力を確認しておくのは必要なことだと思う。

 そう思いながら、手っ取り早く済ませるために村の周りの森の中を全力疾走した。



 レオンのたまり場は村の外れからさらに少し離れたところにあって、周りは民家は一つもなくほとんど森の中という場所にポツリと立っていた。

 ちょっとした宿屋と言ったような感じの建物で、もともとは森林に関わる仕事の人達の宿泊場所だったのかな?

 中には……うん、オウスケから聞いた通り今も数人の気配がある。

 具体的には……7、8人だと思うけど……なんだろう?思ったより数が多い気がする。

「《隠形》」

 ひとまず姿隠しの魔法を励起して入り口から中を覗き込んだ。

 中はやっぱり宿屋みたいな構造になってい、入り口すぐは食堂兼用のような大きな広間になっていたんだけど……。

 そこで見覚えのある取り巻きの人が女の子と……なかなか情熱的な感じになってた。

 取り巻きの人はちょっとひょろっとした感じの人で、多分あの人がセルダーって人だと思う。

 女の子の方は……流石にちょっと見覚えがない。

 二人共夢中になってるからバレないかもしれないけど、念の為ここから忍び込むのは止めておこう。

 裏口に回ってこっそりと中に忍び込んでいく。

 一階にはセルダーたち二人の気配しか無いから残りは二階のはず。

 二階に上がって、少し悩んでから部屋の扉をゆっくりと開けた。

 部屋の中ではレオンとこれまた見覚えのない女の子が激しく絡み合っていた。

 うん、人数が少なかったからこっちがレオンだと思ったけど、正解だ。

 となると、残った部屋で固まっているのが……。

 そう思って、またゆっくりとレオンの部屋のドアを閉めると、人の気配が集まっている部屋のドアをこっそりと慎重に開ける。

 いた。

 中では一人の女の子を三人の男が囲んでいた。

 男たちはみんな中年……とまではいかないけれど、そこそこな年をした男性たちで、冒険者崩れと言ったようなガラの悪い雰囲気をしている。

 【職業:戦士
  筋力:10 魔力: 1 体力: 9 精神: 7 技術:11 敏捷:10 幸運:13】

 【職業:戦士
  筋力: 9 魔力: 1 体力:11 精神: 5 技術: 9 敏捷: 8 幸運: 7】

 【職業:戦士
  筋力: 7 魔力: 1 体力: 8 精神: 6 技術:11 敏捷:11 幸運: 4】

 三人のスタータスはこんな感じで冒険者崩れと言った風体の割には結構強い。

 そうなると、実力的な意味ではなくて素行的な意味で冒険者からドロップアウトした連中なんだろう。

 ちなみに、レオンはこんな感じ。

 【職業:戦士
  筋力: 7 魔力: 1 体力: 7 精神: 3 技術: 5 敏捷: 6 幸運:17】
 
 冒険者崩れたちはレオンより一回りくらい強いって感じだろうか?

 ゲーム的に言えば『序盤の強敵』的なポジションの強さだ。

 僕の場合、一対一ならどうとでもなるけど三人の連携次第ではどうなるか……と言ったところか。

 まあ、油断しなければ僕一人でレオンとセルダーを含めて全員対処可能だと思う。

 観察している間に情事が終わって、身繕いのために女の子が部屋から出てくるので廊下の暗がりに置かれていた荷物の影に身を隠す。

 情事の影響かどこかボーッとした様子のある女の子の姿が消えたあと、再び部屋の中を覗き込む。

「くくっ……しかし女付きってのは良いな」

 下着を履いただけのリーダー格っぽい冒険者崩れが下卑た笑顔を浮かべながら話している声が聞こえてくる。

「しかもあんな若い女抱いたのは久しぶりだったぜ」

「三人で一人だけってせいでちょっとノリ切れなかっスけどね」

「今までは一人に一人ずつ連れてきたのにな」

「まあ、今までの女とはレベルが違ったしな。
 あのレベルを連れてきただけでいいとしとこうや」

「ちげぇねぇ。
 けどそれはそれとして次はあいつ含めて一人に一人ずつあてがってもらうことにしましょうぜ」

 そう言って三人で「ガハハハハ」と楽しそうに豪快な笑い声を上げる。

「まあ、なんだったら俺らの方で適当に連れ込んでもいいしな」

「ああ、俺、あの村長の若奥さんとやってみてえッス。
 あいつ、ぜってぇスキモノですぜ」

「ああ、分かる分かる。
 あれは完全に尻軽ビッチの顔だった」

 馬鹿にしたようないやらしい顔でジーナさんの話をするのを聞いて、何故かちょっとムッと来た。

 いや、まあコイツラの言う通りジーナさんは尻軽ビッチなんだけどさぁ……。

 コイツラがバカにするのは……ほら、なんか違うじゃん?

「俺は娘のほうが気になったな。
 娘の方はヒーヒー言わせたくなる生意気な顔してやがった」

「頭はロリコンだからなぁ」

「俺は若奥さんみたいに熟れた女のほうが良いなぁ」

「なんだと?
 それなら今度食い比べしてみようじゃねえか」

 そんなことを話しながらまた三人で「ガハハハハ」と笑い声を上げている。

 うーん、見た目通り品が良い連中ってわけではなさそうだ。

 しかし、この話からするとジーナさんとイェルカさんのことは知っているみたいだけど……。

 ジーナさんは会ったことなさげな雰囲気だったけど、どう言うことだろう?

「ま、とにかくうまいこと村長のバカ息子に取り入ることが出来たんだ。
 せっかくだからしばらく遊んでいくとしようぜ」

「セックスしか娯楽のないような村だが、若くていい女結構いるしな」

「さっきの女といい全体的に女のレベル高いよな?
 俺、ここなら一生住んでても良いかも」

「そうはいかねぇよ。
 いつもみたいに好き放題遊んでればどうせいつか揉め事が起きてくる。
 この村ともそれまでの付き合いさ」

「ちげぇねぇ、それこそ『いつものこと』だったわな」

 うーん、やっぱり素行不良で冒険者崩れになった感じだなぁ。

 タダでさえ冒険者と言うと品が良い方ではない人が多いのにそこからも崩れるとなると相当だ。

「だから、そうなってくるまでは派手なことは控えろよ?
 それまでは犯したい女と金目のもんがある家の見当をつけるだけにしとけ」

「分かってますよ。
 そこらは俺らも慣れたもんだ」

「今回は俺若奥さんもらって帰ろうかな?
 頭は娘の方っスか?」

「まあまあ落ち着け。
 まだここに腰を落ち着けて日が短いんだ。
 さらっていけんのは一人ずつが限界なんだから、獲物はじっくりと選んで行けよ」

「そっスね。
 まあ、しばらく楽しませてもらうとしましょう」

「あー、いい加減馬車とか買って出ていく時は女大勢さらっていきません?
 ヤるだけヤったらいつも通り奴隷商に売れば良いんですしさぁ」

 …………普通に犯罪者じゃんっ!?
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