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Bランク試験
40話
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ゴブリンから大鬼まで、ありとあらゆる魔物達がはびこるダンジョンだが、その中でも飛び抜けて強い魔物を冒険者は『階層主』と呼んでいる。
階層主は、ダンジョンの層ごとに一体生息していて、大抵次の層へと続く階段の前で冒険者を待ち構えていることが多い。
ユウ達が戦った大鬼は一階層の階層主で、鬼の様な容姿を持っているのが特徴の魔物として一般的に知られているらしい。
しかし毎日大鬼並の階層主がダンジョンに住み着いているのかと言えばそうでは無く、階層主は一度倒されてから再度生まれ落ちるまで一ヶ月の間があるらしい。
つまり、今回は階層主の復活と試験の時期が偶然重なった、ということなのだ。
「ーーだけど、階層主は私がもう倒したからもう苦戦することはないと思う。Bランク試験の合格条件は三日間生き残るだけで良かったはずだから、あとは油断しないで一階層をうろついていれば三日後にはBランク冒険者だよ」
「分かりました。ありがとうございます」
俺たちはユナさんから説明を受けて、何が起こったのか理解した。
(階層主か・・・通りで一階層の魔物にしてはあんなに強かったのか)
真一と玄太もユナさんの自己紹介を経てお互い面識を持つことが出来たらしく、現状を飲み込むことが出来たらしい。
「それにしても、ユナさんって強かったんですね。確かにクラスメート、勇者の育成をしているとは聞いていましたけど、これほどとは思いませんでした」
「これでも、一応Sランク冒険者だからね。一階層の階層主くらいならなんとでもなるよ」
「ーーえ?」
(ーーSランク冒険者!?)
「Sランク冒険者、と言うことは、もしかしてユナさんって冒険者の中でも最強の人だったりします?」
「最強までは行かないと思うけど、確かに魔王討伐の足がかりとして期待されている、みたい」
まさかとは思っていたけど、本当にユナさんはとんでもない人だったらしい。
こんなすごい人の指導を受けた勇者達って、もしかして俺の想定を上回るほど成長していたりするのではないだろうか。
そんな考えがふと頭に浮かび上がる。
途端に、体の底からウズウズした感覚が湧き上がってきた。
勇者なんかに負けては居られない、と。別にクラスメートと張り合っていたわけでもないのに、言い知れぬ闘争心が掻き立てられる。
「じゃあ、私は戻るから。君たちも試験頑張ってね」
ユナさんはそう言うと、来た道を戻って行った。
「・・・よし!じゃあ、俺たちも気を抜かずに頑張るとするか。余裕が持てたらレベル上げのために一階層の魔物を狩りまくるのも良いかも知れないな!」
真一の言葉に、玄太が頷く。
しかし、俺はその提案に反対した。
「真一、玄太。・・・」
「ん?なんだ?」
「俺達は大鬼と戦い、生き残った。ということは、この先には二階層に続く階段があるということだ。ここで一つ提案なんだが・・・」
「ーーおい、まさか」
「試しに二階層に行って見ないか?」
階層主は、ダンジョンの層ごとに一体生息していて、大抵次の層へと続く階段の前で冒険者を待ち構えていることが多い。
ユウ達が戦った大鬼は一階層の階層主で、鬼の様な容姿を持っているのが特徴の魔物として一般的に知られているらしい。
しかし毎日大鬼並の階層主がダンジョンに住み着いているのかと言えばそうでは無く、階層主は一度倒されてから再度生まれ落ちるまで一ヶ月の間があるらしい。
つまり、今回は階層主の復活と試験の時期が偶然重なった、ということなのだ。
「ーーだけど、階層主は私がもう倒したからもう苦戦することはないと思う。Bランク試験の合格条件は三日間生き残るだけで良かったはずだから、あとは油断しないで一階層をうろついていれば三日後にはBランク冒険者だよ」
「分かりました。ありがとうございます」
俺たちはユナさんから説明を受けて、何が起こったのか理解した。
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真一と玄太もユナさんの自己紹介を経てお互い面識を持つことが出来たらしく、現状を飲み込むことが出来たらしい。
「それにしても、ユナさんって強かったんですね。確かにクラスメート、勇者の育成をしているとは聞いていましたけど、これほどとは思いませんでした」
「これでも、一応Sランク冒険者だからね。一階層の階層主くらいならなんとでもなるよ」
「ーーえ?」
(ーーSランク冒険者!?)
「Sランク冒険者、と言うことは、もしかしてユナさんって冒険者の中でも最強の人だったりします?」
「最強までは行かないと思うけど、確かに魔王討伐の足がかりとして期待されている、みたい」
まさかとは思っていたけど、本当にユナさんはとんでもない人だったらしい。
こんなすごい人の指導を受けた勇者達って、もしかして俺の想定を上回るほど成長していたりするのではないだろうか。
そんな考えがふと頭に浮かび上がる。
途端に、体の底からウズウズした感覚が湧き上がってきた。
勇者なんかに負けては居られない、と。別にクラスメートと張り合っていたわけでもないのに、言い知れぬ闘争心が掻き立てられる。
「じゃあ、私は戻るから。君たちも試験頑張ってね」
ユナさんはそう言うと、来た道を戻って行った。
「・・・よし!じゃあ、俺たちも気を抜かずに頑張るとするか。余裕が持てたらレベル上げのために一階層の魔物を狩りまくるのも良いかも知れないな!」
真一の言葉に、玄太が頷く。
しかし、俺はその提案に反対した。
「真一、玄太。・・・」
「ん?なんだ?」
「俺達は大鬼と戦い、生き残った。ということは、この先には二階層に続く階段があるということだ。ここで一つ提案なんだが・・・」
「ーーおい、まさか」
「試しに二階層に行って見ないか?」
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