33 / 40
Bランク試験
33話
しおりを挟む
歴史は繰り返すとよく言うが、現在の魔王が現れるよりも遥か昔に、この世界には別の魔王が存在していた。いうなれば前魔王といったところか。
しかし、前魔王の時代の戦況は、圧倒的に魔王軍側に傾いていたと言われている。
まず、その時代の人間の魔法技術は、今と比べて全くと言っていいほど発達していなかった。そもそもその時代は、やっと戦争と言う大規模な争いが行われ始めた頃だった。
そのため、いきなり人界を攻撃し始めた魔王軍に、人々は成すすべもなく攻め続けられた。
しかし魔王軍による人界侵略戦争は、最終的に魔王軍の敗北で幕を閉じた。
なぜ人間は生き残れたのか。
その謎は、今も世界各地で議論されているが、未だに”説”を決定づける証拠が提唱されていないため、その真相は謎のままとなっている。
それはそうと、戦争中、魔王軍は自軍の領地に大きな穴を掘り、何らかの目的に使っていたらしい。
その穴の中は多くの魔素が充満していて、地上とは比にならない程のスピードで魔物が沸く。そのため、一番有力な説では、その穴は自軍の戦力を補強するために、魔物を量産する施設だったのではないかと言わている。
「そして今、俺達はその穴の中。正確には”ダンジョンの中に居る」
今日この日、Bランク試験に挑戦するために集った冒険者達(+勇者達)の視線を受け止めながら、黒い髭面のいかにも冒険者な格好をした試験官は、試験会場であるダンジョンの説明を続ける。
「よって、ダンジョンは地上の狩り場とは比べ物にならない程危険な場所だと言える。深層に行けば行くほど魔素は濃くなり、より強力な魔物が出現するようになる。そのため、今回のBランク試験の合格条件は、ダンジョン内で三日間生き残る、ということだけだ。もちろん三日間ずっと上層付近をうろついているだけでも良い」
そこまで言って、試験官は一度言葉を切る。
「しかしこれだけは覚えておいて欲しい。ダンジョンは上層でさえかなり危険視される。少なくとも、お前たちの想像している10倍は危険な場所だと認識しておくと良い。だから普段狩り場で魔物を狩るときよりも10倍の注意をはらえ。何よりも自分の命を守り抜け」
試験官は、「死ぬな」と最期に締めくくると、ホールの中央から移動して、大きな扉の前に立つ。
「この扉より先は魔物たちで溢れている。もう一度言うが、試験の合格条件は三日間生き残ることだ。では、無事を祈る」
言い終わった瞬間、試験官は勢いよく扉を開け放った。
そして叫ぶように試験開始の合図を告げる
「Bランク試験、初めっ!!!」
俺は右隣に居る真一と玄太と頷き合い、すでに入り口に目掛けて歩きだしている冒険者達を追いかけるように、一歩、歩き出した。
しかし、前魔王の時代の戦況は、圧倒的に魔王軍側に傾いていたと言われている。
まず、その時代の人間の魔法技術は、今と比べて全くと言っていいほど発達していなかった。そもそもその時代は、やっと戦争と言う大規模な争いが行われ始めた頃だった。
そのため、いきなり人界を攻撃し始めた魔王軍に、人々は成すすべもなく攻め続けられた。
しかし魔王軍による人界侵略戦争は、最終的に魔王軍の敗北で幕を閉じた。
なぜ人間は生き残れたのか。
その謎は、今も世界各地で議論されているが、未だに”説”を決定づける証拠が提唱されていないため、その真相は謎のままとなっている。
それはそうと、戦争中、魔王軍は自軍の領地に大きな穴を掘り、何らかの目的に使っていたらしい。
その穴の中は多くの魔素が充満していて、地上とは比にならない程のスピードで魔物が沸く。そのため、一番有力な説では、その穴は自軍の戦力を補強するために、魔物を量産する施設だったのではないかと言わている。
「そして今、俺達はその穴の中。正確には”ダンジョンの中に居る」
今日この日、Bランク試験に挑戦するために集った冒険者達(+勇者達)の視線を受け止めながら、黒い髭面のいかにも冒険者な格好をした試験官は、試験会場であるダンジョンの説明を続ける。
「よって、ダンジョンは地上の狩り場とは比べ物にならない程危険な場所だと言える。深層に行けば行くほど魔素は濃くなり、より強力な魔物が出現するようになる。そのため、今回のBランク試験の合格条件は、ダンジョン内で三日間生き残る、ということだけだ。もちろん三日間ずっと上層付近をうろついているだけでも良い」
そこまで言って、試験官は一度言葉を切る。
「しかしこれだけは覚えておいて欲しい。ダンジョンは上層でさえかなり危険視される。少なくとも、お前たちの想像している10倍は危険な場所だと認識しておくと良い。だから普段狩り場で魔物を狩るときよりも10倍の注意をはらえ。何よりも自分の命を守り抜け」
試験官は、「死ぬな」と最期に締めくくると、ホールの中央から移動して、大きな扉の前に立つ。
「この扉より先は魔物たちで溢れている。もう一度言うが、試験の合格条件は三日間生き残ることだ。では、無事を祈る」
言い終わった瞬間、試験官は勢いよく扉を開け放った。
そして叫ぶように試験開始の合図を告げる
「Bランク試験、初めっ!!!」
俺は右隣に居る真一と玄太と頷き合い、すでに入り口に目掛けて歩きだしている冒険者達を追いかけるように、一歩、歩き出した。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

劣等冒険者の成り上がり無双~現代アイテムで世界を極める~
絢乃
ファンタジー
F級冒険者のルシアスは無能なのでPTを追放されてしまう。
彼は冒険者を引退しようか悩む。
そんな時、ルシアスは道端に落ちていた謎のアイテム拾った。
これがとんでもない能力を秘めたチートアイテムだったため、彼の人生は一変することになる。
これは、別の世界に存在するアイテム(アサルトライフル、洗濯乾燥機、DVDなど)に感動し、駆使しながら成り上がる青年の物語。
努力だけでは届かぬ絶対的な才能の差を、チートアイテムで覆す!

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる