無属性魔法を極めた俺は異世界最強!?

ないと

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Bランク試験

33話

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 歴史は繰り返すとよく言うが、現在の魔王が現れるよりも遥か昔に、この世界には別の魔王が存在していた。いうなれば前魔王といったところか。

 しかし、前魔王の時代の戦況は、圧倒的に魔王軍側に傾いていたと言われている。
 まず、その時代の人間の魔法技術は、今と比べて全くと言っていいほど発達していなかった。そもそもその時代は、やっと戦争と言う大規模な争いが行われ始めた頃だった。

 そのため、いきなり人界を攻撃し始めた魔王軍に、人々は成すすべもなく攻め続けられた。

 しかし魔王軍による人界侵略戦争は、最終的に魔王軍の敗北で幕を閉じた。

 なぜ人間は生き残れたのか。
 その謎は、今も世界各地で議論されているが、未だに”説”を決定づける証拠が提唱されていないため、その真相は謎のままとなっている。

 
 それはそうと、戦争中、魔王軍は自軍の領地に大きな穴を掘り、何らかの目的に使っていたらしい。
 その穴の中は多くの魔素が充満していて、地上とは比にならない程のスピードで魔物が沸く。そのため、一番有力な説では、その穴は自軍の戦力を補強するために、魔物を量産する施設だったのではないかと言わている。


「そして今、俺達はその穴の中。正確には”ダンジョンの中に居る」

 今日この日、Bランク試験に挑戦するために集った冒険者達(+勇者達)の視線を受け止めながら、黒い髭面のいかにも冒険者な格好をした試験官は、試験会場であるダンジョンの説明を続ける。

「よって、ダンジョンは地上の狩り場とは比べ物にならない程危険な場所だと言える。深層に行けば行くほど魔素は濃くなり、より強力な魔物が出現するようになる。そのため、今回のBランク試験の合格条件は、ダンジョン内で三日間生き残る、ということだけだ。もちろん三日間ずっと上層付近をうろついているだけでも良い」

 そこまで言って、試験官は一度言葉を切る。

「しかしこれだけは覚えておいて欲しい。ダンジョンは上層でさえかなり危険視される。少なくとも、お前たちの想像している10倍は危険な場所だと認識しておくと良い。だから普段狩り場で魔物を狩るときよりも10倍の注意をはらえ。何よりも自分の命を守り抜け」

 試験官は、「死ぬな」と最期に締めくくると、ホールの中央から移動して、大きな扉の前に立つ。

「この扉より先は魔物たちで溢れている。もう一度言うが、試験の合格条件は三日間生き残ることだ。では、無事を祈る」

 言い終わった瞬間、試験官は勢いよく扉を開け放った。

 そして叫ぶように試験開始の合図を告げる

「Bランク試験、初めっ!!!」

 俺は右隣に居る真一と玄太と頷き合い、すでに入り口に目掛けて歩きだしている冒険者達を追いかけるように、一歩、歩き出した。
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