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Bランク試験
32話
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試験当日。今日この日に向けて積んできた訓練の日々を思い出しながら、俺達は試験会場であるダンジョンの入り口に来ていた。
「なんか、凄い厳重に管理されてるな」
唐突に玄太がそんなことを呟く。
そうと言われれば、たしかにそうだ。
Bランク試験が開催されるに当たり、今日から三日間試験以外の目的によるダンジョンの出入りが禁止されるそうだが、それでも今日B試験に臨もうとしている冒険者達は、入り口で審査を受けている。
門番に一声掛けられた先頭にいた冒険者が、一枚の用紙を門番に手渡す。
その用紙を受け取った門番は、用紙を確認した後、冒険者をダンジョン内へと通した。
これからダンジョンの攻略に挑む冒険者達が本当にBランク試験を受けに来たのかを確認しているのだ。
もちろんBランク試験を受けることを許された俺達も、入場のための用紙を事前にクラインさんから手渡さている。
「じゃあ、Bランク試験受験用紙を渡してくれ」
割とスムーズに列は進んでいき、丁度番が来た俺達に門番が用紙を渡すように言う。
俺はズボンのポケットに入れておいた受験用紙を取り出して、門番に渡す。真一と玄太も同じく用紙を取り出して門番に渡した。
俺たち三人に受験の資格があることを確認した門番は、うむ、と頷くと
「行っていいぞ」
と一言俺たちに通行の許可を下ろした。
「ありがとうございまーす」
と一言をお礼を言って、俺達はダンジョンの内部へと歩みを進めた。
□
ダンジョンの中に入った瞬間、洞窟の中に迷い込んだかのような感覚に襲われた。
実際ダンジョンは洞窟のような穴が一直線に進んでいて、周りは岩石で出来ている。
暗闇の中を暫く突き進んでいると、前方に明かりが見えた。
俺たちはその明かりに誘われるようにして、一点を目指して前進していく。
そしてーー
突然視界中が光に包まれたかと思ったら。段々と暗闇に慣れた目が明かりに順応していき、目前に広がる景色を示した。
「っ!!」
その光景を目にした時、俺は息を飲まずには居られなかった。
大きなホール上の空間を、岩の柱が支えている。照明が吊るされた天井からは、眩い光が地へと降り注いでいる。
前に視線を戻せば、この先の試験に向けて念入りに自分の防具を点検している冒険者達の姿が会った。
「す、すげぇ」
まさに神秘的とも言えるその光景に、真一が感動の声を上げた。
その時、
「目標は最下層、だけど何より焦らないこと。命を落としたら元も子もないからね。ポーションを持ったら、そろそろ出発するよ」
入り口から見て、左方の奥の方から、そんな声が聞こえてきた。
もちろん俺はその声の主を知っている。ユナさんだ。
声のした方に視線を向けると。案の定、重装やら軽装やらローブやらを装備した勇者達、クラスメートがユナさんの指示に従っていた。
「うげっ、やっぱりあいつら来たのかよ」
昨夜ユナから聞いたことをユウからそのまま聞かされていた真一は、その事実を受け入れながらも、どこかでその話を疑っていた。しかし、やはり勇者達の姿を目にした真一は、顔を驚愕に染めながらそう言った。
俺はそんな二人の反応を眺めながら、内心この機会を逃すまいと心に決めていた。
(以前のままだったら、勇者達に手も脚も出なかっただろうけど、俺は、俺たちは十分すぎるほどに成長した。それにーー)
ここ一週間の修行で、俺は”奥の手”を手に入れた。
真一と玄太にさえも知らせてない切り札を、いつお披露目することになるのか、その時を想像しながら、俺は小さくほくそ笑んだ。
「なんか、凄い厳重に管理されてるな」
唐突に玄太がそんなことを呟く。
そうと言われれば、たしかにそうだ。
Bランク試験が開催されるに当たり、今日から三日間試験以外の目的によるダンジョンの出入りが禁止されるそうだが、それでも今日B試験に臨もうとしている冒険者達は、入り口で審査を受けている。
門番に一声掛けられた先頭にいた冒険者が、一枚の用紙を門番に手渡す。
その用紙を受け取った門番は、用紙を確認した後、冒険者をダンジョン内へと通した。
これからダンジョンの攻略に挑む冒険者達が本当にBランク試験を受けに来たのかを確認しているのだ。
もちろんBランク試験を受けることを許された俺達も、入場のための用紙を事前にクラインさんから手渡さている。
「じゃあ、Bランク試験受験用紙を渡してくれ」
割とスムーズに列は進んでいき、丁度番が来た俺達に門番が用紙を渡すように言う。
俺はズボンのポケットに入れておいた受験用紙を取り出して、門番に渡す。真一と玄太も同じく用紙を取り出して門番に渡した。
俺たち三人に受験の資格があることを確認した門番は、うむ、と頷くと
「行っていいぞ」
と一言俺たちに通行の許可を下ろした。
「ありがとうございまーす」
と一言をお礼を言って、俺達はダンジョンの内部へと歩みを進めた。
□
ダンジョンの中に入った瞬間、洞窟の中に迷い込んだかのような感覚に襲われた。
実際ダンジョンは洞窟のような穴が一直線に進んでいて、周りは岩石で出来ている。
暗闇の中を暫く突き進んでいると、前方に明かりが見えた。
俺たちはその明かりに誘われるようにして、一点を目指して前進していく。
そしてーー
突然視界中が光に包まれたかと思ったら。段々と暗闇に慣れた目が明かりに順応していき、目前に広がる景色を示した。
「っ!!」
その光景を目にした時、俺は息を飲まずには居られなかった。
大きなホール上の空間を、岩の柱が支えている。照明が吊るされた天井からは、眩い光が地へと降り注いでいる。
前に視線を戻せば、この先の試験に向けて念入りに自分の防具を点検している冒険者達の姿が会った。
「す、すげぇ」
まさに神秘的とも言えるその光景に、真一が感動の声を上げた。
その時、
「目標は最下層、だけど何より焦らないこと。命を落としたら元も子もないからね。ポーションを持ったら、そろそろ出発するよ」
入り口から見て、左方の奥の方から、そんな声が聞こえてきた。
もちろん俺はその声の主を知っている。ユナさんだ。
声のした方に視線を向けると。案の定、重装やら軽装やらローブやらを装備した勇者達、クラスメートがユナさんの指示に従っていた。
「うげっ、やっぱりあいつら来たのかよ」
昨夜ユナから聞いたことをユウからそのまま聞かされていた真一は、その事実を受け入れながらも、どこかでその話を疑っていた。しかし、やはり勇者達の姿を目にした真一は、顔を驚愕に染めながらそう言った。
俺はそんな二人の反応を眺めながら、内心この機会を逃すまいと心に決めていた。
(以前のままだったら、勇者達に手も脚も出なかっただろうけど、俺は、俺たちは十分すぎるほどに成長した。それにーー)
ここ一週間の修行で、俺は”奥の手”を手に入れた。
真一と玄太にさえも知らせてない切り札を、いつお披露目することになるのか、その時を想像しながら、俺は小さくほくそ笑んだ。
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