5 / 40
序
5話 無
しおりを挟む
川村が志村を犠牲にして『ヒール』を披露してから10秒後、
ステータスを何となく眺めていたらある重要なことに気づいた。
「あれ?魔法適性が『無』ってなんだこれ」
俺の言葉にオタク組のみんなが反応する。
「え?ちょっと見せてみろよ」
さっきの件で調子に乗っている川村がそう言いながら『鑑定』を発動する。
それに同調して他のオタク組も『鑑定』を発動した。
「あ、本当だ」
「無ってなんだ?」
「適性の属性が無いのかな?」
川村以外の三人がそれぞれの反応をする。
「じゃ、試してみるか」
その反応を聞いてまた川村が聞き覚えのあるセリフをつぶやいた。
「何を試すんだ?」
少し川村の企みを疑いながら尋ねると
「無属性の魔法と言えば身体強化だよな?」
俺の質問から話を逸らして質問を返して来た。
そうか?
まぁそうだな、身体強化は火や水などに該当しない魔法だからな。
「そうだな、で俺はどうすればいいんだ?」
「取り敢えず『身体強化』って唱えてみれば良いんじゃないか?」
俺の問いに川村は適当に答える。
他人事みたいに言うなよ。
まぁ川村にしてみたら俺の適正魔法が無であることなんて他人事なのだろうが・・・・・・
取り敢えず俺は「身体強化」と唱えることにした。
「身体強化!」
だがいくら経っても何も起こらない。
「何も起こんないぞ?」
「何も起こっていない様に感じるだけでもしかしたら成功しているかもしれない。試しにそこの木に一撃入れてみろよ」
川村はさっき志村がパンチした木を指差しながらそう言った。
仕方ないので俺は少し力を抜いて拳を繰り出す。
「トッ」
だがやはり何も起こらない。
俺は黙って川村の方を向くが川村はどうしようもないと肩をすくめた。
「じゃあ、木村は火魔法を撃てるのか?」
まだ魔法が諦められない俺は魔法の使用には何かしらの条件があると信じて木村に尋ねた。
「あ、そういえばまだ試してなかったな。火の魔法と言えばファイヤーボールか」
木村はそう言うと掌を木に向けて「ファイヤーボール」と唱えた。
すると掌に魔法陣が出現し、そこからボウと音を立てて火の玉が発射される。
発射された火の玉は真っ直ぐ進んでいくと木の幹に当たりボンと軽く爆発して消えた。
「・・・・・使えた」
木村が申し訳なさそうにこっちを見るが俺はそれどころでは無い。
せっかく異世界転移したのに魔法が使えないだと?
分からないけど多分この時俺の顔は蒼白になっていた事だろう。
しかしその時、
「逃げろぉっ、デカイ熊だぁぁ!!」
探索に行っていた内の一つのグループが叫びながらこちらへ全力疾走してきた。
ステータスを何となく眺めていたらある重要なことに気づいた。
「あれ?魔法適性が『無』ってなんだこれ」
俺の言葉にオタク組のみんなが反応する。
「え?ちょっと見せてみろよ」
さっきの件で調子に乗っている川村がそう言いながら『鑑定』を発動する。
それに同調して他のオタク組も『鑑定』を発動した。
「あ、本当だ」
「無ってなんだ?」
「適性の属性が無いのかな?」
川村以外の三人がそれぞれの反応をする。
「じゃ、試してみるか」
その反応を聞いてまた川村が聞き覚えのあるセリフをつぶやいた。
「何を試すんだ?」
少し川村の企みを疑いながら尋ねると
「無属性の魔法と言えば身体強化だよな?」
俺の質問から話を逸らして質問を返して来た。
そうか?
まぁそうだな、身体強化は火や水などに該当しない魔法だからな。
「そうだな、で俺はどうすればいいんだ?」
「取り敢えず『身体強化』って唱えてみれば良いんじゃないか?」
俺の問いに川村は適当に答える。
他人事みたいに言うなよ。
まぁ川村にしてみたら俺の適正魔法が無であることなんて他人事なのだろうが・・・・・・
取り敢えず俺は「身体強化」と唱えることにした。
「身体強化!」
だがいくら経っても何も起こらない。
「何も起こんないぞ?」
「何も起こっていない様に感じるだけでもしかしたら成功しているかもしれない。試しにそこの木に一撃入れてみろよ」
川村はさっき志村がパンチした木を指差しながらそう言った。
仕方ないので俺は少し力を抜いて拳を繰り出す。
「トッ」
だがやはり何も起こらない。
俺は黙って川村の方を向くが川村はどうしようもないと肩をすくめた。
「じゃあ、木村は火魔法を撃てるのか?」
まだ魔法が諦められない俺は魔法の使用には何かしらの条件があると信じて木村に尋ねた。
「あ、そういえばまだ試してなかったな。火の魔法と言えばファイヤーボールか」
木村はそう言うと掌を木に向けて「ファイヤーボール」と唱えた。
すると掌に魔法陣が出現し、そこからボウと音を立てて火の玉が発射される。
発射された火の玉は真っ直ぐ進んでいくと木の幹に当たりボンと軽く爆発して消えた。
「・・・・・使えた」
木村が申し訳なさそうにこっちを見るが俺はそれどころでは無い。
せっかく異世界転移したのに魔法が使えないだと?
分からないけど多分この時俺の顔は蒼白になっていた事だろう。
しかしその時、
「逃げろぉっ、デカイ熊だぁぁ!!」
探索に行っていた内の一つのグループが叫びながらこちらへ全力疾走してきた。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―
物部妖狐
ファンタジー
小さな村にある小さな丘の上に住む治癒術師
そんな彼が出会った一人の女性
日々を平穏に暮らしていたい彼の生活に起こる変化の物語。
小説家になろう様、カクヨム様、ノベルピア様へも投稿しています。
表紙画像はAIで作成した主人公です。
キャラクターイラストも、執筆用のイメージを作る為にAIで作成しています。
更新頻度:月、水、金更新予定、投稿までの間に『箱庭幻想譚』と『氷翼の天使』及び、【魔王様のやり直し】を読んで頂けると嬉しいです。
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる