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Side.B・テツとエージのにゃんこ★すたぁ【R-18】
#18
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夏を迎える頃――
テツは少し不機嫌そうな顔をしてエージの肩にもたれかかっていた。
「そんなイヤそうな顔すんなよ」
「だってぇ……」
3と0のロウソクを立てられたケーキを見て嘆く。
「30になっちゃった……」
「いいじゃん。これで俺と同じ30代だ」
その言葉に、テツはハッとしたようにエージを見ると言った。
「ヤダ僕――そう言えばエージ君の歳、聞いてない!」
「え?」
エージは驚くと、「今更かよ」と言って笑った。
「だって……ねぇエージ君って何歳なの?」
エージは少し照れながらケーキを切ると、皿に取り分けながら「てっちゃんの8個上」と呟いた。
「38?」
「もうじきね」
「……」
テツがじっと見てくるので、エージは「なに?」という顔をしてみせる。
「もっと上かと思ってた……」
「意外とそんなに離れてないだろう?」
「エージ君、スゴイ大人に見える」
「てっちゃんが幼すぎるんだよ」
言われてテツはプゥと膨れた。
「どうせ僕はお子ちゃまですよ」
「でもあそこは立派な大人だぜ?」
当たり前でしょう!と、笑って叩いてくるテツにエージも笑って応戦する。
しばらくソファの上でじゃれあっていたが、エージはテツの腕をとって抱き寄せると、「プレゼントがある」と耳元で囁いた。
「実はさ――店をもう1つ作ろうかと思ってる」
「……」
「その店の命名権を、てっちゃんにあげるよ」
テツは驚いて聞いた。
「お店の名前……僕が付けるの?」
「そ」
「でも……そんな大事なもの、僕が付けていいの?」
もちろん、とエージは頷くと、ケーキを一口食べて言った。
「いずれその店を、てっちゃんに任そうと思ってる」
「え?」
あまりにも突然すぎて、話についていけないテツは何度も首を傾げながら言った。
「まって。ねぇそれって、僕が店のマスターになるってこと?」
「そう。いずれね」
「無理よ、そんなの」
「無理じゃないよ。ちゃんと仕込むから」
「だって僕」
「てっちゃん、向いてると思うよ」
「でも――」
怯えて狼狽えるテツに、エージは笑いかけると「大丈夫だよ」言った。
「俺もいるし、セイちゃんもいる。手を貸すスタッフがいるんだ。出来るよ」
「……」
「テツなら大丈夫」
自信もって―――
そう言われてテツは黙ってエージを見つめた。
不安な目で自分を見ていたが、その口元にゆっくりと微笑が広がっていく。
それを見てエージは頷くと、ケーキを一切れフォークに刺してテツの口元に差し出した。
テツはそれをパクっと口に入れると、そのままエージに抱きついた。
テツは少し不機嫌そうな顔をしてエージの肩にもたれかかっていた。
「そんなイヤそうな顔すんなよ」
「だってぇ……」
3と0のロウソクを立てられたケーキを見て嘆く。
「30になっちゃった……」
「いいじゃん。これで俺と同じ30代だ」
その言葉に、テツはハッとしたようにエージを見ると言った。
「ヤダ僕――そう言えばエージ君の歳、聞いてない!」
「え?」
エージは驚くと、「今更かよ」と言って笑った。
「だって……ねぇエージ君って何歳なの?」
エージは少し照れながらケーキを切ると、皿に取り分けながら「てっちゃんの8個上」と呟いた。
「38?」
「もうじきね」
「……」
テツがじっと見てくるので、エージは「なに?」という顔をしてみせる。
「もっと上かと思ってた……」
「意外とそんなに離れてないだろう?」
「エージ君、スゴイ大人に見える」
「てっちゃんが幼すぎるんだよ」
言われてテツはプゥと膨れた。
「どうせ僕はお子ちゃまですよ」
「でもあそこは立派な大人だぜ?」
当たり前でしょう!と、笑って叩いてくるテツにエージも笑って応戦する。
しばらくソファの上でじゃれあっていたが、エージはテツの腕をとって抱き寄せると、「プレゼントがある」と耳元で囁いた。
「実はさ――店をもう1つ作ろうかと思ってる」
「……」
「その店の命名権を、てっちゃんにあげるよ」
テツは驚いて聞いた。
「お店の名前……僕が付けるの?」
「そ」
「でも……そんな大事なもの、僕が付けていいの?」
もちろん、とエージは頷くと、ケーキを一口食べて言った。
「いずれその店を、てっちゃんに任そうと思ってる」
「え?」
あまりにも突然すぎて、話についていけないテツは何度も首を傾げながら言った。
「まって。ねぇそれって、僕が店のマスターになるってこと?」
「そう。いずれね」
「無理よ、そんなの」
「無理じゃないよ。ちゃんと仕込むから」
「だって僕」
「てっちゃん、向いてると思うよ」
「でも――」
怯えて狼狽えるテツに、エージは笑いかけると「大丈夫だよ」言った。
「俺もいるし、セイちゃんもいる。手を貸すスタッフがいるんだ。出来るよ」
「……」
「テツなら大丈夫」
自信もって―――
そう言われてテツは黙ってエージを見つめた。
不安な目で自分を見ていたが、その口元にゆっくりと微笑が広がっていく。
それを見てエージは頷くと、ケーキを一切れフォークに刺してテツの口元に差し出した。
テツはそれをパクっと口に入れると、そのままエージに抱きついた。
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