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Side.B・テツとエージのにゃんこ★すたぁ【R-18】
#17
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突然なだれ込んできた男たちを、エージは両腕を組んだまま黙って見つめていた。
男の1人が、片手でカズキの首根っこを掴むと、勢いよく床の上に放り出して頭を下げる。
「エージさん、すいませんでした!!」
すると、一緒にいた他の男たちも並んで頭を下げた。
その様子を、ドアの隙間から見ていたテツは驚いたように佐倉を見た。
佐倉は何も言わず、口元にやや皮肉な笑みを浮かべている。
「こいつにはキツク言っときましたんで――こんなもんで勘弁してやってください!」
カズキは相当な仕置きをされたのか、顔は腫れ上がり見るも無残な有様だった。
もっとも、こうなる前に自分もかなり痛めつけてしまったが……
エージは思わず肩をすくめて苦笑すると、「あーぁ……随分ボコボコにされたな」と呟いた。
だがすぐに笑顔を消すと、兄貴分と思われる男の傍に寄って低く囁いた。
「薬の件は看過できねぇぞ」
分かってます……と男が頷く。
「舎弟持つなら責任もってちゃんと躾けろ。それがお前の役目だろうが」
「すいません……」
エージに叱責され、舎弟頭は深く頭を下げた。
床に転がされたカズキをエージは黙って見下ろすと、その前にゆっくりとしゃがんで顔を覗き込んだ。
そして、頭を軽く撫でながら言った。
「強い奴にイキがるならまだいい。でも弱い奴を食いもんにするな」
分かったか?カズ君、と聞かれて、ガズキは無言で項垂れた。
それを見てエージは苦笑すると、耳元に口を寄せ「それからな」と囁いた。
「テツは俺の大事なツレだ。二度と手ぇ出すんじゃねぇぞ」
その言葉を聞いたテツは、両手で口を押えた。
涙が溢れてくる――
佐倉は微笑みながら、テツの肩を優しく撫でた。
エージはカズキの頭をポンポンと叩いて立ち上がった。
「薬の件では警察が入るぞ。下の不始末は上の責任だ。きちんと頭下げとけよ」
「はい」
「そいつのダチは、暴行のオマケも付けて一緒に持ってってもらえ」
舎弟頭は頷くと、仲間の男たちに合図をした。男たちがカズキの体を掴んで引きずっていく。
頭を下げ、店から出て行く時、舎弟頭はふと振り返ってエージを見ると、言った。
「エージさん……社長がサシで飲みたいと言ってましたが――」
それを聞くとエージは苦笑いを浮かべた。
単なるサシ飲みなら喜んで応じる所だが……
迂闊には乗れな誘いに、エージは「そうか……」と頷くと、「申し訳ないがそれはお断りだ」と言って手を振った。
「……」
そう伝えといてくれ……エージはそう言いながら、支度部屋の方に視線を向けた。
佐倉は黙っていた。
今見たこと、聞いたこと。
それらは全て、自分のあずかり知らぬこと――
まるで暗黙の了解のように、互いに押し黙って視線を交わすエージと佐倉に、テツは思わず聞いた。
「エージ君とサッ君って……いったい何者なの?」
佐倉は笑って言った。
「そうだなぁ……正義の味方――かな?」
男の1人が、片手でカズキの首根っこを掴むと、勢いよく床の上に放り出して頭を下げる。
「エージさん、すいませんでした!!」
すると、一緒にいた他の男たちも並んで頭を下げた。
その様子を、ドアの隙間から見ていたテツは驚いたように佐倉を見た。
佐倉は何も言わず、口元にやや皮肉な笑みを浮かべている。
「こいつにはキツク言っときましたんで――こんなもんで勘弁してやってください!」
カズキは相当な仕置きをされたのか、顔は腫れ上がり見るも無残な有様だった。
もっとも、こうなる前に自分もかなり痛めつけてしまったが……
エージは思わず肩をすくめて苦笑すると、「あーぁ……随分ボコボコにされたな」と呟いた。
だがすぐに笑顔を消すと、兄貴分と思われる男の傍に寄って低く囁いた。
「薬の件は看過できねぇぞ」
分かってます……と男が頷く。
「舎弟持つなら責任もってちゃんと躾けろ。それがお前の役目だろうが」
「すいません……」
エージに叱責され、舎弟頭は深く頭を下げた。
床に転がされたカズキをエージは黙って見下ろすと、その前にゆっくりとしゃがんで顔を覗き込んだ。
そして、頭を軽く撫でながら言った。
「強い奴にイキがるならまだいい。でも弱い奴を食いもんにするな」
分かったか?カズ君、と聞かれて、ガズキは無言で項垂れた。
それを見てエージは苦笑すると、耳元に口を寄せ「それからな」と囁いた。
「テツは俺の大事なツレだ。二度と手ぇ出すんじゃねぇぞ」
その言葉を聞いたテツは、両手で口を押えた。
涙が溢れてくる――
佐倉は微笑みながら、テツの肩を優しく撫でた。
エージはカズキの頭をポンポンと叩いて立ち上がった。
「薬の件では警察が入るぞ。下の不始末は上の責任だ。きちんと頭下げとけよ」
「はい」
「そいつのダチは、暴行のオマケも付けて一緒に持ってってもらえ」
舎弟頭は頷くと、仲間の男たちに合図をした。男たちがカズキの体を掴んで引きずっていく。
頭を下げ、店から出て行く時、舎弟頭はふと振り返ってエージを見ると、言った。
「エージさん……社長がサシで飲みたいと言ってましたが――」
それを聞くとエージは苦笑いを浮かべた。
単なるサシ飲みなら喜んで応じる所だが……
迂闊には乗れな誘いに、エージは「そうか……」と頷くと、「申し訳ないがそれはお断りだ」と言って手を振った。
「……」
そう伝えといてくれ……エージはそう言いながら、支度部屋の方に視線を向けた。
佐倉は黙っていた。
今見たこと、聞いたこと。
それらは全て、自分のあずかり知らぬこと――
まるで暗黙の了解のように、互いに押し黙って視線を交わすエージと佐倉に、テツは思わず聞いた。
「エージ君とサッ君って……いったい何者なの?」
佐倉は笑って言った。
「そうだなぁ……正義の味方――かな?」
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