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Side.B・テツとエージのにゃんこ★すたぁ【R-18】
#12
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エージは時計を見た。
「てっちゃん、遅いね。どこまで買いに行ったんだろう?」
ヘルプで入ってもらっていたスタッフの1人が、そう言ってエージの方を見た。
「あいつ、ケータイ持ってないんだ。俺の持たせておけばよかったな……」
なんとなく、妙な胸騒ぎがしてエージは落ち着きなく何度も時計を見る。
自宅に電話は引いていないので、留守の確認もできない。
店は既に開店していて、数人の客がいる。
「――」
エージは持っていたグラスをカウンターに置くと、「セイちゃん、今日、店任せていい?」とスタッフの男に言った。
セイちゃんと呼ばれた男は頷くと、「ここは大丈夫よ。締めまでやっとくから」とエージの肩を撫でた。
「ごめん」
エージはそう言うと、客に頭を下げて店を飛び出した。
買い物に出たのは19時前。今はもう21時を回っている。
(いくら何でも遅すぎる)
子供じゃないんだから……と思っていたが――
ヤツは子供よりも心配なところがある。
自宅のマンションの鍵を開けて部屋に入る。
合鍵は渡してあるので、締め出す心配はないが――
玄関にテツの靴が脱ぎ捨ててあるのを見て、何故かホッとした。
だが、室内が暗い。
「てっちゃん?」
電気をつけてギョッとした。
床の上に横たわるテツがいた。ぐったりとしている。
「てっちゃん!!」
エージは駆け寄ると、その手首を見て舌打ちした。
「バカが――…ッ!」
手首から僅かに出血している。それを押さえて、エージは呼びかけた。
「てっちゃん?哲弥?聞こえる?」
「……」
薄っすらと目を開けたがボンヤリとしている。
首に触れて脈を確認した。弱いが大丈夫。
手首の傷は浅かったのか、出血は止まりかけていたが、近くに薬の瓶が転がってるのを見て、エージは救急車を呼んだ。
薬は市販薬だが一気に飲めば意識を失うこともある。朦朧としてるのはその為だろう。
幸い、近くに吐き戻した跡があった。
錠剤が、ほぼ原形のまま出ている。
(飲んですぐに出したのならいいけど――)
「てっちゃん……」
エージは、自分に対する怒りをぶつけるように拳を床に打ち付けると、テツの手を握りしめた。
遠くから、サイレンの音が聞こえてきた。
「てっちゃん、遅いね。どこまで買いに行ったんだろう?」
ヘルプで入ってもらっていたスタッフの1人が、そう言ってエージの方を見た。
「あいつ、ケータイ持ってないんだ。俺の持たせておけばよかったな……」
なんとなく、妙な胸騒ぎがしてエージは落ち着きなく何度も時計を見る。
自宅に電話は引いていないので、留守の確認もできない。
店は既に開店していて、数人の客がいる。
「――」
エージは持っていたグラスをカウンターに置くと、「セイちゃん、今日、店任せていい?」とスタッフの男に言った。
セイちゃんと呼ばれた男は頷くと、「ここは大丈夫よ。締めまでやっとくから」とエージの肩を撫でた。
「ごめん」
エージはそう言うと、客に頭を下げて店を飛び出した。
買い物に出たのは19時前。今はもう21時を回っている。
(いくら何でも遅すぎる)
子供じゃないんだから……と思っていたが――
ヤツは子供よりも心配なところがある。
自宅のマンションの鍵を開けて部屋に入る。
合鍵は渡してあるので、締め出す心配はないが――
玄関にテツの靴が脱ぎ捨ててあるのを見て、何故かホッとした。
だが、室内が暗い。
「てっちゃん?」
電気をつけてギョッとした。
床の上に横たわるテツがいた。ぐったりとしている。
「てっちゃん!!」
エージは駆け寄ると、その手首を見て舌打ちした。
「バカが――…ッ!」
手首から僅かに出血している。それを押さえて、エージは呼びかけた。
「てっちゃん?哲弥?聞こえる?」
「……」
薄っすらと目を開けたがボンヤリとしている。
首に触れて脈を確認した。弱いが大丈夫。
手首の傷は浅かったのか、出血は止まりかけていたが、近くに薬の瓶が転がってるのを見て、エージは救急車を呼んだ。
薬は市販薬だが一気に飲めば意識を失うこともある。朦朧としてるのはその為だろう。
幸い、近くに吐き戻した跡があった。
錠剤が、ほぼ原形のまま出ている。
(飲んですぐに出したのならいいけど――)
「てっちゃん……」
エージは、自分に対する怒りをぶつけるように拳を床に打ち付けると、テツの手を握りしめた。
遠くから、サイレンの音が聞こえてきた。
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