COLLAR(s) ~SIDE STORYs~

sorarion914

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Side.B・テツとエージのにゃんこ★すたぁ【R-18】

#12

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 エージは時計を見た。
「てっちゃん、遅いね。どこまで買いに行ったんだろう?」
 ヘルプで入ってもらっていたスタッフの1人が、そう言ってエージの方を見た。
「あいつ、ケータイ持ってないんだ。俺の持たせておけばよかったな……」
 なんとなく、妙な胸騒ぎがしてエージは落ち着きなく何度も時計を見る。
 自宅に電話は引いていないので、留守の確認もできない。
 店は既に開店していて、数人の客がいる。
「――」
 エージは持っていたグラスをカウンターに置くと、「セイちゃん、今日、店任せていい?」とスタッフの男に言った。
 セイちゃんと呼ばれた男は頷くと、「ここは大丈夫よ。締めまでやっとくから」とエージの肩を撫でた。
「ごめん」
 エージはそう言うと、客に頭を下げて店を飛び出した。
 買い物に出たのは19時前。今はもう21時を回っている。
 (いくら何でも遅すぎる)
 子供じゃないんだから……と思っていたが――
 ヤツは子供よりも心配なところがある。

 自宅のマンションの鍵を開けて部屋に入る。
 合鍵は渡してあるので、締め出す心配はないが――
 玄関にテツの靴が脱ぎ捨ててあるのを見て、何故かホッとした。
 だが、室内が暗い。
「てっちゃん?」
 電気をつけてギョッとした。
 床の上に横たわるテツがいた。ぐったりとしている。
「てっちゃん!!」
 エージは駆け寄ると、その手首を見て舌打ちした。
「バカが――…ッ!」
 手首から僅かに出血している。それを押さえて、エージは呼びかけた。
「てっちゃん?哲弥?聞こえる?」
「……」
 薄っすらと目を開けたがボンヤリとしている。
 首に触れて脈を確認した。弱いが大丈夫。
 手首の傷は浅かったのか、出血は止まりかけていたが、近くに薬の瓶が転がってるのを見て、エージは救急車を呼んだ。
 薬は市販薬だが一気に飲めば意識を失うこともある。朦朧もうろうとしてるのはその為だろう。
 幸い、近くに吐き戻した跡があった。
 錠剤が、ほぼ原形のまま出ている。
 (飲んですぐに出したのならいいけど――)
「てっちゃん……」
 エージは、自分に対する怒りをぶつけるように拳を床に打ち付けると、テツの手を握りしめた。



 遠くから、サイレンの音が聞こえてきた。

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