COLLAR(s)

sorarion914

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#40

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 師走の街は、どこか気忙しい――

 人も車も、落ち着きなく動き回っている感じがした。
 綾瀬は助手席の窓枠に頬杖をつき、じっと倉見の横顔を見つめていた。その視線を感じて倉見が笑う。
「なに?」
「別に……良い男だなぁって思ってるだけ」
 そう言って、照れて笑う倉見の膝に手を置いた。そのままゆっくりと、股の方へ滑らせて来る。
 倉見は「こらこら」と手を叩いた。
「運転中だぞ」
「分かってるよ。運転に集中して」
 それでも止めずに手を動かす綾瀬に、「危ないってば」と窘めたが、自分をじっとみる綾瀬の顔を見て「昼、何時までなの?」と聞いた。
「1時」
「なんだよ……1時間もないじゃん」
「過ぎてもいいよ。倉見さんと一緒に挨拶回りしてましたって言うから」
「あはは」

 信号待ちで車が止まる。
 その隙をついて、倉見は綾瀬の方へ身を乗り出すと、肩を抱き寄せキスをした。
 一瞬驚いた綾瀬も、嬉しそうに倉見の首筋に手を回し、自分の方へ引き寄せる。
 道行く人が、驚いた顔をして通り過ぎていくのを窓越しに見て、倉見は軽く手を振ってみせた。
 




 自分は今、幸せか―――?



 そう聞かれたら、倉見はたぶん「幸せだ」と答えるだろう。
 まだ明白な答えは出せないが、でも、ふと思ったのだ。

 こういう形の幸せがあってもいいんじゃないか?
 ――と。

 未来がないとか。
 救いがないとか。
 そういうことを言う者もいるだろう。でも、だからなんだ?別にそれでもいいじゃないか。
 男女の関係だって、100%の幸せな未来が約束されてるわけじゃないんだから……
 (そうさ……こういう幸せがあってもいい)
 再び走り出した車を運転しながら、倉見はそっと綾瀬の手を繋ぎ握りしめた。
 綾瀬がそれに応えるように、優しく握り返してくる。

 ラジオから流れるクリスマスソングが、2人の世界を静かに彩っていった――



 END――――――――――――――――――――――― or……to be continues?

    
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