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溺愛Domは甘やかしたい 2
上手な甘え方 3
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棗が仕事終わりに、朋志を家まで迎えに来て、夕食を食べてから、一緒に家に帰ってきた。
ご飯を食べている間も、”最近元気がないですね”とか、”なにか悩んでいますか”とか、自然に話を振ろうとタイミングを計っていたが、ベストタイミングにこだわり過ぎたのがあだとなって、タイミングを逃しまくっていた。
いつもは棗が紅茶をいれてくれるが、今日は朋志が「俺に淹れさせてください」とお願いして淹れさせてもらった。
棗は、茶葉やカップなどの場所を朋志に教えて、「着替えてきます」とキッチンから出ていった。
本当はお酒の力でも借りられたらいいのかもと思ったが、棗は基本お酒を飲まない。付き合いで飲むことはあるそうだが。
朋志も、抑制剤の副作用を抑える薬を服用していたこともあり、お酒を控えるよう言われ、ほとんど飲んだことがない。
「おいしいです、と…丸目さん」
「棗さん、最近お仕事は忙しいですか」
「山は越えました。しばらくは自分のペースで仕事ができそうです」
「疲れは出ていませんか」
「…大丈夫ですが…、丸目さんこそ、どうかされましたか。今日はなんだか…」
なにか悩みでも?と言いながら心配そうに、カップを置く。
朋志の顎をすくい覗き込む。
「体調も…悪くなさそうですが…」
プレイ不足を心配し始める棗に焦る。
「あっ、違うんです」
…逆に心配されている。
言い出すタイミングを計っていたつもりが、朋志の方が挙動不審になっていたようである。
「棗さんの方が最近変です…」
「…僕がですか」
「はい」
「いえ、僕は…」
「俺も、悩みくらいは聞けます」
心配しているのに、伝わっていないもどかしさのまま、棗の服をぎゅっとつかむ。
「と…、」
「俺じゃ頼りないかもしれませんが…」
また。何かを言いかけてから黙り込む棗に、朋志は不甲斐なさを感じていた。
ふう、とため息が聞こえ、反射的に肩が上がる。
「いえ、丸目さんのことを頼りないとか思ったことはありません」
疑惑の眼差しを向けると、棗が苦笑しながら朋志の腰を引き寄せてきた。
「あっ」
「不安にさせてしまいましたか…」
「いえ、でも…」
「僕は、丸目さんのこと、名前で呼びたくて」
「え」
「タイミングを伺っていたのですが…、」
「………なまえ…」
「心配させるくらいなら早く言えばよかったです」
「…それくらい言ってください」
「すみません」
悪いことじゃなくてよかった。
名前くらい、いくらでも呼んでくれたらいいという気持ちで、なつめに身を預ける。
察しの良い手はすぐに朋志の背中へ。
「朋志さん」
「はい」
耳元で名前を呼ばれると、むずがゆい気がするが、じんわり心地よくもある。
「できたら、僕の名前も呼んでください」
「え、俺も…」
名前を呼ばれるのはいいが、棗を名前で呼ぶ。どうしてか、恥ずかしく感じる。
「ええ」
棗は、自分で決めたことについては、かなり押しが強い。
惚れた弱みもあって、朋志はあっさり押しに負けてしまう。
「…う、り、…りとさん…」
「はい」
「…棗さん…」
すぐに呼び方が戻っても、指摘することなく、背中を撫でてくれる。
「いつでもいいので、呼んでくださいね」
「はい…」
「名前を呼ばれてお願いごとをされたら、なんでも聞いてしまいそうです」
ご飯を食べている間も、”最近元気がないですね”とか、”なにか悩んでいますか”とか、自然に話を振ろうとタイミングを計っていたが、ベストタイミングにこだわり過ぎたのがあだとなって、タイミングを逃しまくっていた。
いつもは棗が紅茶をいれてくれるが、今日は朋志が「俺に淹れさせてください」とお願いして淹れさせてもらった。
棗は、茶葉やカップなどの場所を朋志に教えて、「着替えてきます」とキッチンから出ていった。
本当はお酒の力でも借りられたらいいのかもと思ったが、棗は基本お酒を飲まない。付き合いで飲むことはあるそうだが。
朋志も、抑制剤の副作用を抑える薬を服用していたこともあり、お酒を控えるよう言われ、ほとんど飲んだことがない。
「おいしいです、と…丸目さん」
「棗さん、最近お仕事は忙しいですか」
「山は越えました。しばらくは自分のペースで仕事ができそうです」
「疲れは出ていませんか」
「…大丈夫ですが…、丸目さんこそ、どうかされましたか。今日はなんだか…」
なにか悩みでも?と言いながら心配そうに、カップを置く。
朋志の顎をすくい覗き込む。
「体調も…悪くなさそうですが…」
プレイ不足を心配し始める棗に焦る。
「あっ、違うんです」
…逆に心配されている。
言い出すタイミングを計っていたつもりが、朋志の方が挙動不審になっていたようである。
「棗さんの方が最近変です…」
「…僕がですか」
「はい」
「いえ、僕は…」
「俺も、悩みくらいは聞けます」
心配しているのに、伝わっていないもどかしさのまま、棗の服をぎゅっとつかむ。
「と…、」
「俺じゃ頼りないかもしれませんが…」
また。何かを言いかけてから黙り込む棗に、朋志は不甲斐なさを感じていた。
ふう、とため息が聞こえ、反射的に肩が上がる。
「いえ、丸目さんのことを頼りないとか思ったことはありません」
疑惑の眼差しを向けると、棗が苦笑しながら朋志の腰を引き寄せてきた。
「あっ」
「不安にさせてしまいましたか…」
「いえ、でも…」
「僕は、丸目さんのこと、名前で呼びたくて」
「え」
「タイミングを伺っていたのですが…、」
「………なまえ…」
「心配させるくらいなら早く言えばよかったです」
「…それくらい言ってください」
「すみません」
悪いことじゃなくてよかった。
名前くらい、いくらでも呼んでくれたらいいという気持ちで、なつめに身を預ける。
察しの良い手はすぐに朋志の背中へ。
「朋志さん」
「はい」
耳元で名前を呼ばれると、むずがゆい気がするが、じんわり心地よくもある。
「できたら、僕の名前も呼んでください」
「え、俺も…」
名前を呼ばれるのはいいが、棗を名前で呼ぶ。どうしてか、恥ずかしく感じる。
「ええ」
棗は、自分で決めたことについては、かなり押しが強い。
惚れた弱みもあって、朋志はあっさり押しに負けてしまう。
「…う、り、…りとさん…」
「はい」
「…棗さん…」
すぐに呼び方が戻っても、指摘することなく、背中を撫でてくれる。
「いつでもいいので、呼んでくださいね」
「はい…」
「名前を呼ばれてお願いごとをされたら、なんでも聞いてしまいそうです」
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