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17歳と18歳
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それ以上、雲雀から何も言われなかったのをいいことに、お腹に置かれた手がゆるんだ隙に、そそくさと逃げだした。
「あっ、トキくん…残念」
「ヒバリくん、俺もう子どもじゃないから…」
子どもの頃も、ヒバリの膝に乗って遊ぶことはなかったと思うけど。
「そうだね」
「わっ」
今度は肩を抱かれて、こっそり耳打ちされる。
「これ、トキくん…」
雲雀が指を指したのは、斗樹の下半身。
スウェットのズボンを緩く押し上げるものを雲雀に指摘され、急いでトレーナーの裾を引っ張って隠す。かあっと恥ずかしさで全身が熱くなった。
(いつの間に…!)
ずっと雲雀とくっついていてドキドキしてしまっていた。雲雀の熱まで感じて、雲雀に申し訳ないと思っているのに、体が反応してしまってたのか。
「子どもじゃこうはならないよね」
「これはっ…!…っ、ヒバリくんもだしっ」
「…ああ、これ?」
そういって、雲雀のズボンを指差すと、雲雀もまだ少し兆している。
「トキくんと一緒。ね、抜いてあげようか」
「え」
「ついでに昔とどう成長したのか見てあげる」
「ちょっ、ヒバリくん…っ!」
ずいと、顔を寄せられる。間近で見ても、雲雀の顔は整っていた。4Kや8Kの解像度でも映える顔だ。日本よりも赤道近くにいたからか、昔より日に焼けているが、肌の肌理はこまかくて、吸い込まれそうになめらかだ。
雲雀がトレーナーで隠している斗樹の手をツンツンと突いてくる。
部活では、見せあったり、ノリで抜きあったりしたなんて話を聞いたことはあったが、斗樹はゲイだ。雲雀しか好きになったことはないが、遊びやノリでそんなことをする気にはなれず話に加わることができなかった。
雲雀も同じ男同士だしとノリで言っているだけだ。
いくら相手が雲雀だって、ラッキーだと喜ぶことはできなかった。拗らせ童貞思考全開で雲雀に訴える。
「も、もうわかったからっ、ヒバリくんだめだって…っ」
「なんてね」
「…へぁ?」
「しないよ、そんなこと」
「…」
「冗談だよ…びっくりした?」
「…っ」
斗樹から離れて雲雀は肩を竦める。
男同士のノリだと思っていたけど、斗樹の反応を見てからかっていただけ。
「斗樹ー、雲雀くーん、瑠李さん帰るわよー」
階下から雪衣の声が聞こえてくる。
「わかったぁー」
斗樹が、雪衣に届くくらい大きな声で返事をして、雲雀を見ると目が合った。
「僕も帰らないと」
「ヒバリくん…」
「これくらいなら、放っておけば治まるね」
斗樹はまだトレーナーの裾を握ったまま、部屋を出ていこうとする後ろ姿を、半ば呆然と見ていた。
「ヒバリくん…変わったね…」
「そう…?じゃあ、おじゃましました」
「うん」
「またね、トキくん」
昔はもっと優しかった。
でも、これが普通なのかもしれなかった。
「あっ、トキくん…残念」
「ヒバリくん、俺もう子どもじゃないから…」
子どもの頃も、ヒバリの膝に乗って遊ぶことはなかったと思うけど。
「そうだね」
「わっ」
今度は肩を抱かれて、こっそり耳打ちされる。
「これ、トキくん…」
雲雀が指を指したのは、斗樹の下半身。
スウェットのズボンを緩く押し上げるものを雲雀に指摘され、急いでトレーナーの裾を引っ張って隠す。かあっと恥ずかしさで全身が熱くなった。
(いつの間に…!)
ずっと雲雀とくっついていてドキドキしてしまっていた。雲雀の熱まで感じて、雲雀に申し訳ないと思っているのに、体が反応してしまってたのか。
「子どもじゃこうはならないよね」
「これはっ…!…っ、ヒバリくんもだしっ」
「…ああ、これ?」
そういって、雲雀のズボンを指差すと、雲雀もまだ少し兆している。
「トキくんと一緒。ね、抜いてあげようか」
「え」
「ついでに昔とどう成長したのか見てあげる」
「ちょっ、ヒバリくん…っ!」
ずいと、顔を寄せられる。間近で見ても、雲雀の顔は整っていた。4Kや8Kの解像度でも映える顔だ。日本よりも赤道近くにいたからか、昔より日に焼けているが、肌の肌理はこまかくて、吸い込まれそうになめらかだ。
雲雀がトレーナーで隠している斗樹の手をツンツンと突いてくる。
部活では、見せあったり、ノリで抜きあったりしたなんて話を聞いたことはあったが、斗樹はゲイだ。雲雀しか好きになったことはないが、遊びやノリでそんなことをする気にはなれず話に加わることができなかった。
雲雀も同じ男同士だしとノリで言っているだけだ。
いくら相手が雲雀だって、ラッキーだと喜ぶことはできなかった。拗らせ童貞思考全開で雲雀に訴える。
「も、もうわかったからっ、ヒバリくんだめだって…っ」
「なんてね」
「…へぁ?」
「しないよ、そんなこと」
「…」
「冗談だよ…びっくりした?」
「…っ」
斗樹から離れて雲雀は肩を竦める。
男同士のノリだと思っていたけど、斗樹の反応を見てからかっていただけ。
「斗樹ー、雲雀くーん、瑠李さん帰るわよー」
階下から雪衣の声が聞こえてくる。
「わかったぁー」
斗樹が、雪衣に届くくらい大きな声で返事をして、雲雀を見ると目が合った。
「僕も帰らないと」
「ヒバリくん…」
「これくらいなら、放っておけば治まるね」
斗樹はまだトレーナーの裾を握ったまま、部屋を出ていこうとする後ろ姿を、半ば呆然と見ていた。
「ヒバリくん…変わったね…」
「そう…?じゃあ、おじゃましました」
「うん」
「またね、トキくん」
昔はもっと優しかった。
でも、これが普通なのかもしれなかった。
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