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受け入れるもの、変わるもの
DomのSub遊び 1
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※疲れた厚木くんを癒やす小話。
ここのところ厚木は、やれ経営計画だの会議だの、やれ労働組合からの要求だの回答だの、果てはトイレを詰まらせた新人社員に泣きつかれ業者を手ずから手配するなど、大事小事に関わらず処理に追われ、多忙を極めていた。新規事業の開拓も迫られている。温泉の掘削でもしてやろうか。
トイレについては、先日重役と揉めたので、事務処理が増えた笠井からの嫌がらせである。
過労とは恐ろしいもので。
社員には余程のことがない限り残業禁止令を敷いているため、社員は基本定時退社である。
過労死ラインは月八〇時間の残業らしい。
月によってはぶっちぎりで越えている厚木は、過労の症状と言われる、全身のだるさや疲労感、胸痛、冷汗、息切れ、手足のしびれなどの症状はないが、正直、欠乏感はある。
Sub不足である。
厚木のSubは、ひと言でいうと無秩序である。
連絡しても繋がらない。わけの分からない持論があるので、とにかく頑固だ。
前のDomから教わったことはしつこく覚えているくせに、新しいことはなかなか受けつけない。厚木の好みになりたいと殊勝なことは言うが、厚木の教えに抵抗を持っているのが現状である。
しかし、可愛いところもある。
厚木の送迎が無くなり、週に一回近くの市民体育館でバレーボールの練習をしている他は全くの無趣味である吉継は、空き時間に厚木の社長室に来て、仮眠室で寛いでいくようになった。
でかい図体が、ベットやソファにはみ出ながらなんとか収まろうとしている姿は、疲れた体に一杯のコーヒー…くらいの癒やしがある。
厚木も一生この忙しさでは体が持たないことはわかっている。
あと数年のうちに足を引っ張る親族眷属たちを一掃して会社経営を安定させ、のんびり社員と定時退社をすることに決めている。茨道だが。
さて、厚木のSubは今日もふらりと来て、笠井から茶菓子をもらい仮眠室へと消えた。
しばらくすると「厚木さん!」と走ってきた。
厚木は内心ほくそ笑みながら、知らん顔を通した。
「あれはなんですか」
「ドレスコードだが」
「あれがですか」
「ああ、吉継はどちらにする」
「どっちもいりません」
「あれを着て、”Stay”ができたらご褒美だが」
「うぅ…」
「吉継」
巨体を仮眠室へとエスコートする。
ベットには、下着が二枚置いてある。
「今日、ここで過ごすならドレスコードはこれだ」
履いてもどこも隠せないシースルーと、前は隠せるが後ろは隠せない下着。
吉継には、どちらも履きたいとは思えなかった。
「好きな方を選んでいい」
「どっちも嫌です…」
「なら今日は帰ることだ」
「…っ」
「着るなら、命令は”Strip”と”Stay”、できたら”Kneel”とケア、あとはご褒美に何を望む?」
厚木は、手近にある吉継の尻の弾力を楽しんでいるが、究極の選択を迫られている吉継はそれどころではない。
覚えの悪いSubを好みに仕込むための、トレーニングプレイである。
ここのところ厚木は、やれ経営計画だの会議だの、やれ労働組合からの要求だの回答だの、果てはトイレを詰まらせた新人社員に泣きつかれ業者を手ずから手配するなど、大事小事に関わらず処理に追われ、多忙を極めていた。新規事業の開拓も迫られている。温泉の掘削でもしてやろうか。
トイレについては、先日重役と揉めたので、事務処理が増えた笠井からの嫌がらせである。
過労とは恐ろしいもので。
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Sub不足である。
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連絡しても繋がらない。わけの分からない持論があるので、とにかく頑固だ。
前のDomから教わったことはしつこく覚えているくせに、新しいことはなかなか受けつけない。厚木の好みになりたいと殊勝なことは言うが、厚木の教えに抵抗を持っているのが現状である。
しかし、可愛いところもある。
厚木の送迎が無くなり、週に一回近くの市民体育館でバレーボールの練習をしている他は全くの無趣味である吉継は、空き時間に厚木の社長室に来て、仮眠室で寛いでいくようになった。
でかい図体が、ベットやソファにはみ出ながらなんとか収まろうとしている姿は、疲れた体に一杯のコーヒー…くらいの癒やしがある。
厚木も一生この忙しさでは体が持たないことはわかっている。
あと数年のうちに足を引っ張る親族眷属たちを一掃して会社経営を安定させ、のんびり社員と定時退社をすることに決めている。茨道だが。
さて、厚木のSubは今日もふらりと来て、笠井から茶菓子をもらい仮眠室へと消えた。
しばらくすると「厚木さん!」と走ってきた。
厚木は内心ほくそ笑みながら、知らん顔を通した。
「あれはなんですか」
「ドレスコードだが」
「あれがですか」
「ああ、吉継はどちらにする」
「どっちもいりません」
「あれを着て、”Stay”ができたらご褒美だが」
「うぅ…」
「吉継」
巨体を仮眠室へとエスコートする。
ベットには、下着が二枚置いてある。
「今日、ここで過ごすならドレスコードはこれだ」
履いてもどこも隠せないシースルーと、前は隠せるが後ろは隠せない下着。
吉継には、どちらも履きたいとは思えなかった。
「好きな方を選んでいい」
「どっちも嫌です…」
「なら今日は帰ることだ」
「…っ」
「着るなら、命令は”Strip”と”Stay”、できたら”Kneel”とケア、あとはご褒美に何を望む?」
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