58 / 114
その距離感、すれ違い
今日も怠惰な一日 7 ※R-18
しおりを挟む
※R-18
注意喚起でR-18としていますが、ペッティングくらいの内容です。
オフィス街の一画にある周りより低い建物が、厚木の会社だった。
吉継は、ほとんど着のみ着のまま車に乗り込んでここへやって来た。
吹き抜けの中庭があり、建物が低い分敷地面積が広い。
夜なのでどの部屋も暗く、廊下の証明も絞られている。
一番奥の部屋から薄明かりが漏れており、社長室と小さく書かれたプレートが貼ってあった。
笠井に促されて中に入る。
「社長、お連れしました」
「あ…」
厚木さんだ。
笠井に呼ばれて、手元から目を離してこちらを見る。
「ああ、すまない」
「お構いなく、では失礼します」
笠井が部屋を出ると、広い社長室に厚木と二人きりになる。
「吉継」
名前を呼ばれたのがきっかけとなり、吉継は、今まで蓋をしていたものが次から次へと溢れてくるのを感じていた。
「厚木さん」
部屋の奥に歩いていく。
座っている背もたれに手を置く。もうどこにも行ってほしくない。
「スマホはどうした」
「知りません」
「なぜ」
「声だけなんて嫌だから」
肘掛けに乗せている手に手を重ねる。
もっと近くで見たい。
あと少しで鼻先が触れあう。
「厚木さんだ…」
「ふん、お前は本当に自由だな。躾がなっていない」
「どこがですか、俺はずっと待ってたのに…厚木さんこそ”ご主人様”としてだめです」
「ご主人様になった覚えはないが、…そうだな、待たせすぎたな」
唇に触れて、離れる。
一瞬でも厚木の熱を感じて、責めたい気持ちは溶かされた。
「待ちくたびれました」
厚木に顎を捉えられ、重なる唇。
何度も角度を変えて重ねていくうちにほっとして、体から力が抜ける。
厚木にもたれかかってズルズルと落ちて膝に頭を乗せると、優しく撫でてくれる節くれ立った手。吉継よりも少し体温が低くて触れられると気持ちいい。
「待たせて悪かった」
「はい」
うなじから喉を撫でていく手に震えが走る。顔を上げさせられ、喉を押したり触れるか触れないか、もどかしく通り過ぎていく指先。
「は」
「ふ…、気持いいか」
「いい…」
「ほら”Lick”」
「あ」
命令ものをもらい、熱がたまる。
厚木の指を口腔内に迎え入れる。
吉継よりも一回り小さい手。節くれ立っていて繊細に見えるのに、口腔内を好き勝手に動いて遠慮がない。
ゆっくり味わいたい吉継を知ってか、反した動きをする指が憎らしい。
抗議をするように睨みつけると、わざとしていた厚木は声を出して笑っていた。
「目がうるさい、これが欲しいのか」
上顎を奥へと滑っていく指を舌をうねらせて歓迎する。
飲み込んでしまいたいという欲望のまま、撫でて欲しいところへと誘いかける。
「ここか」
問われたと同時に、体中に走ったのは紛れもない快感で、待ち望んでいたものだ。
目敏い厚木に気付かれ、足で突かれる。
「んむぁ…ん」
「ここも腫らして、そんなに気持いいか」
うんうん頷いて、腰を擦り付けると、お返しとばかりに喉奥を擦られる。
「…っ!」
「かわいいな、吉継…、好きなだけ気持ちよくなっていいぞ」
空いている手に首を撫でられ、中と外から喉を愛撫される。
耳元で”Cum”と聞こえたかと思うと、目の奥がチカチカし、すべてが真っ白になった。
無言でティッシュ箱を渡され後処理をする。
厚木の膝に凭れて余韻に浸っていると、厚木は几帳面な仕草で指先を拭っていた。
吉継の視線を感じて、ふとため息をつく。
「おとなしそうな顔をして、暴れ馬並だな…」
そう言いながら、髪を撫でる手付きは優しくて、それは吉継の好きなものだ。呆れられても、痛くも痒くもない。
「吉継、これからも一緒にいたいか」
「いる。一緒にいたい。どうしたらいいですか」
「そうだな…」
厚木は、しばらく何かを考えてから言った。
「少しは”待て”が出来るようにならないとな」
「そんなの命令すればいい」
「…はぁ…、あとはスマホくらい持ち歩いておけ」
「どうして、別にいりません」
「まあまあ便利だからだ」
「どこがですか」
「スマホは、ビデオ通話もできる」
「…は?なんて」
「顔を見て話せると言った」
「そういう情報を出し惜しみするな」
「言うまもなくお前が短気を起こしただけだ」
ひどい。
やっぱり厚木さんは嫌なDomだ。
湧き上がってきた衝動のまま、きれいになったばかりの指に噛み付いた。
注意喚起でR-18としていますが、ペッティングくらいの内容です。
オフィス街の一画にある周りより低い建物が、厚木の会社だった。
吉継は、ほとんど着のみ着のまま車に乗り込んでここへやって来た。
吹き抜けの中庭があり、建物が低い分敷地面積が広い。
夜なのでどの部屋も暗く、廊下の証明も絞られている。
一番奥の部屋から薄明かりが漏れており、社長室と小さく書かれたプレートが貼ってあった。
笠井に促されて中に入る。
「社長、お連れしました」
「あ…」
厚木さんだ。
笠井に呼ばれて、手元から目を離してこちらを見る。
「ああ、すまない」
「お構いなく、では失礼します」
笠井が部屋を出ると、広い社長室に厚木と二人きりになる。
「吉継」
名前を呼ばれたのがきっかけとなり、吉継は、今まで蓋をしていたものが次から次へと溢れてくるのを感じていた。
「厚木さん」
部屋の奥に歩いていく。
座っている背もたれに手を置く。もうどこにも行ってほしくない。
「スマホはどうした」
「知りません」
「なぜ」
「声だけなんて嫌だから」
肘掛けに乗せている手に手を重ねる。
もっと近くで見たい。
あと少しで鼻先が触れあう。
「厚木さんだ…」
「ふん、お前は本当に自由だな。躾がなっていない」
「どこがですか、俺はずっと待ってたのに…厚木さんこそ”ご主人様”としてだめです」
「ご主人様になった覚えはないが、…そうだな、待たせすぎたな」
唇に触れて、離れる。
一瞬でも厚木の熱を感じて、責めたい気持ちは溶かされた。
「待ちくたびれました」
厚木に顎を捉えられ、重なる唇。
何度も角度を変えて重ねていくうちにほっとして、体から力が抜ける。
厚木にもたれかかってズルズルと落ちて膝に頭を乗せると、優しく撫でてくれる節くれ立った手。吉継よりも少し体温が低くて触れられると気持ちいい。
「待たせて悪かった」
「はい」
うなじから喉を撫でていく手に震えが走る。顔を上げさせられ、喉を押したり触れるか触れないか、もどかしく通り過ぎていく指先。
「は」
「ふ…、気持いいか」
「いい…」
「ほら”Lick”」
「あ」
命令ものをもらい、熱がたまる。
厚木の指を口腔内に迎え入れる。
吉継よりも一回り小さい手。節くれ立っていて繊細に見えるのに、口腔内を好き勝手に動いて遠慮がない。
ゆっくり味わいたい吉継を知ってか、反した動きをする指が憎らしい。
抗議をするように睨みつけると、わざとしていた厚木は声を出して笑っていた。
「目がうるさい、これが欲しいのか」
上顎を奥へと滑っていく指を舌をうねらせて歓迎する。
飲み込んでしまいたいという欲望のまま、撫でて欲しいところへと誘いかける。
「ここか」
問われたと同時に、体中に走ったのは紛れもない快感で、待ち望んでいたものだ。
目敏い厚木に気付かれ、足で突かれる。
「んむぁ…ん」
「ここも腫らして、そんなに気持いいか」
うんうん頷いて、腰を擦り付けると、お返しとばかりに喉奥を擦られる。
「…っ!」
「かわいいな、吉継…、好きなだけ気持ちよくなっていいぞ」
空いている手に首を撫でられ、中と外から喉を愛撫される。
耳元で”Cum”と聞こえたかと思うと、目の奥がチカチカし、すべてが真っ白になった。
無言でティッシュ箱を渡され後処理をする。
厚木の膝に凭れて余韻に浸っていると、厚木は几帳面な仕草で指先を拭っていた。
吉継の視線を感じて、ふとため息をつく。
「おとなしそうな顔をして、暴れ馬並だな…」
そう言いながら、髪を撫でる手付きは優しくて、それは吉継の好きなものだ。呆れられても、痛くも痒くもない。
「吉継、これからも一緒にいたいか」
「いる。一緒にいたい。どうしたらいいですか」
「そうだな…」
厚木は、しばらく何かを考えてから言った。
「少しは”待て”が出来るようにならないとな」
「そんなの命令すればいい」
「…はぁ…、あとはスマホくらい持ち歩いておけ」
「どうして、別にいりません」
「まあまあ便利だからだ」
「どこがですか」
「スマホは、ビデオ通話もできる」
「…は?なんて」
「顔を見て話せると言った」
「そういう情報を出し惜しみするな」
「言うまもなくお前が短気を起こしただけだ」
ひどい。
やっぱり厚木さんは嫌なDomだ。
湧き上がってきた衝動のまま、きれいになったばかりの指に噛み付いた。
12
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる