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 それからペルシアンヌスに呼ばれるたびに、”処理”をすることになった。
 本体が勃起したペニスと言っても過言ではないペルシアンヌスだ。淫蟲よりはマシでも、毎日呼ばれたらどうしようと思っていたが、さすがにそこまでではなく、討伐に行くことができて安心した。

 森に入って討伐を終え、近くの岩場で休憩を取りながら考えるのは、前回の討伐のことだ。罠を抜けられたのは、魔物の知能が高かったからなのか、罠が甘かったからなのか。見たことがあるようで見たことがない魔物だったので未だに判断をつけかねている。いや、でも罠が甘かったんだな。罠をもっと頑丈にして、素早く仕留める。
 魔物は自然交雑種なのか、異種同士でも子孫が残せるのか、あまり同じ形のものがいない。昆虫などでは、形が同じで色が違うことがあるが、魔物はそれとも違い、大きなものから小さなものまで、色が似ていても目の位置、節の数、歯の数も動き方も違ったりする。共通しているのは縄張り意識が強く、狂暴で攻撃的なところだ。首都は軍を持っているが、魔物と戦うたびに数を減らすわけにはいかない。流しの登録戦士たちは重宝されていた。
 突然、耳元で声がした。
 「湿気た顔してやがるなぁ」
 「お前…っ、後ろに立つなよ!」
 全然気配がしなかったが、声の主はペルシアンヌスだった。
 「いや、お前の方こそ簡単に後ろを取られてよ、戦士としてどうかと思うぜ?」
 気軽にそんなことを言うペルシアンヌスは、ズタ袋を背負っている。中には魔物の息の根を止めたという証拠が入っている。
 「…くそ…」
 今までペルシアンヌス以外に後ろを取られるなんて間抜けなことになったことはない。しかし、それを言うのはプライドが許さなかった。
 「なんだよ、俺は忙しいんだ、あっち行けよ」
 「だらけているようにしか見えねぇ」
 「うるさい」
 「パデュノ」
 腹に手が回り、引き上げられる。ペルシアンヌスの腿に腹ばいで乗せられズボンを降ろすところまでの早業たるや。
 「なっ!?やめ、何するんだよっ!…っあ!」
 お尻に何かが入ってくる。大きくはない。お尻だけで何が入っているのかなんてわかるほど手練れていない。また淫蟲かと思うとゾッとして全身がこわばった。
 「出すなよ?」
 「ばかっ!なにこれ…」
 でも、あれは使わないって…。ペルシアンヌスの方を向くと、「淫蟲じゃないぜ?」と言いたいことは伝わった答えだったが、安心できたわけじゃない。じんわりとお尻の中が温かくなってきた。
 「あ…あっ、熱い…なんだよこれ…」
 「ココで食べる飴玉」
 「な…!!」
 聞いても意味がわからない。絶対変なものだ。
 「遅効性だぜ?今から雰囲気出してどうする」
 「ばかっ、これ出せよ!…んっ」
 「出すなって言ってるだろ、…しょうがねぇなぁ…」
 「あっ、待ってこれで…っ」
 「栓しといてやるからよ」
 ペルシアンヌスが妥協するようなことを言って、いい結果になったことがない。慌ててこのままで良いと言ったが、すでに遅かった。肛口に何か充てがわれて、それはスルッと入ってきた。
 「あああっ!」
 「溶けたころちょうど食べ頃になってるだろうなパデュノ」
 「うう…っ」
 お尻の違和感が半端ない。
 「それが終わったら来いよ」
 「え…?これは…?」
 「外したら全部漏れるだろ?」
 だからってこれを入れたままで?
 ペルシアンヌスの言う栓が何かは見えなかったが、大きいものではないことはわかる。少なくともペルシアンヌスよりは。だからといって、異物感がなくなるわけではない。変な飴玉のせいでお尻も熱を持ってじんじんしてきた。淫蟲ほどじゃないのかもしれないが、似たような効果が得られるだろうことは想像がついた。ということは、ペルシアンヌスを挿入されるのか。腰が重い。ペルシアンヌスの洞窟までは結構距離があって、時間もかかる。岩肌を登っていかないといけない。無理だ。ペルシアンヌスは用済みとばかりにズタ袋を背負いなおしてどこかに行こうとしていた。行くな。後ろ姿に叫ぶ。
 「ペルシアンヌス!」
 「あ?」
 ペルシアンヌスが足を止める。
 「だ…だめだ…これ…、動けない…」
 「泣き言言うなよ、戦士だろ?」
 「…っ」
 ペルシアンヌスなんかに弱音を吐いてしまった。悔しいが、こんなものが入ったまま登録所に行ったらどうなる。他の戦士にも逢うかも知れないのに…。
 「こんなの嫌だ…外してくれ…」
 「…」
 返事はない。本当はペルシアンヌスに頼みごとなんてしたくない。でもこんなことしている場合じゃないのに。次の褒賞日までにペルシアンヌスに勝たないと、この淫らな行為を延々と続けることになる。ペルシアンヌスとの距離を間違えて話しかけてしまい、こんなことになってしまった。強さに憧れ、それ以上に持ってしまった気持ちの行き場がない。ペルシアンヌスに煽られてぐずぐずになる体を弄ばれるのはつらい。ペルシアンヌスにとってはただの性欲処理だ。
 ずっと蹲っているわけにはいかない。そっと体を起こしてみると、中のものが角度を変え、熱が染み込むように感じて動きが止まる。自分の動きがどこを刺激することになるのか予想がつかない。息を潜めてそれ以上動くこともできず、もう次の討伐のことなど頭になかった。
 「う…」
 「パデュノ」
 いつの間にか大男が隣にいる。
 くそ、忍者か。筋肉だるまのくせに。
 「それなしで俺を受け入れるのは痛いだろ?」
 「もういい…裂けたっていいから…ペルシアンヌス…」
 「はぁ…、ったく…とんだ”お嬢さま”だな」
 「あっ!」
 「おら、暴れんな」
 抱き上げられ、ペルシアンヌスの腕に収まる。いわゆる横抱き、お姫さま抱っこだ。屈辱すぎる。しかも軽々と抱えられている。悔しい。
 「くそ…っ、降ろせ」
 「歩けねえって泣きべそかいてるのは誰だよ」
 「泣いてない。これ外してくれたらいいから」
 「俺は流血の趣味はねぇ。大人しくしてろ」
 「嘘だ、いっつも嫌がったってするくせに」
 でもよく考えたら、ペルシアンヌスとのセックスは酷いものだが、血を見たことはない。潮は見たのだが…。淫蟲を使わなくなってからはお尻も使っていなかった。
 「気持ちよくてアンアン泣かせるのはいーだろ。特にお前みたいな”かわい子ちゃん”の喘ぎ声なら大歓迎だぜ?」
 「アンアンなんか言ったことない」
 「どーだかな」
 完全に馬鹿にされている。くそっ。ムカつくから分厚い胸をグーで殴ってやったが、「いてぇ」と顔色ひとつ変えずに言われて余計ムカついただけだった。
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