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しおりを挟む「…」
「なんだよ?」
「お前って、俺のこと好きなの?」
これは、あくまで確認だ。『おもちゃ的な』『都合良い』ってことかと思ったからだ。想像したのは、そういうことを居丈高に言い放つペルシアンヌスだった。しかし、あろうことかそうはならなかった。
大男がしまったという顔をする。迂闊なコイツを初めて見た気がする。
「…ああ、まあ…」
めんどくさいと言葉以外の全部が言っている。変だ。心臓が耳元に移動したみたいだ。
「いつから?」
「はぁ?それいるか?」
「大事なんだよ!言えよ!」
ペルシアンヌスがわざと盛大にため息をつく。失礼なやつだ。
「顔はまあ、もともと…」
福笑いがどーとか言っていたやつか。ふーん、それ褒め言葉じゃねーけどな。まあいいや、次。
「それで?」
「あぁ?まだいんのかよ……まあ、頑丈だな。次の日ピンピンしてるのみたら安心してヤれる」
「いや、死にそうだったろ…」
「あとは、まあ、罠じゃねぇとわかったからな」
「罠…?」
「ああ、お前、戦士のくせにノーテンキなところがあるよな?」
「はあっ?!俺のどこが?」
俺は町一番の戦士だぞ?亡くなった母からしか聞いたことはないが。
「どー見てもだろ。最初は首都で噂んなってる美人戦士がイチャモンつけてきたから、なにか罠でもあんのかと思ったが…。もう淫蟲が無くてもセックスできるヤツはお前くらいだ」
「あ…」
イチャモンじゃないけどな。そーゆーこと。あんなトリッキーな動きをするエロ蟲を腹に入れたまま寝首なんかかけるわけがない。返り討ちにされるのがオチだ。ハニー・トラップの域を越えている。なんとも邪悪な蟲だ。ただ強いだけの性欲バカだと思っていたけど、強いなりの悩みがあるのかもしれない。あとなにその噂、キモい。
「お前、性欲で苦労してたんだな」
「そっちじゃねぇ」
「わかってるけど…」
「どーだかな」
強すぎるペルシアンヌスを目の上の瘤としてる輩がいるということだ。性格悪いもんなコイツ。なにが首都にはプライドの高い戦士しかいない、だ。自分の呑気さ加減に呆れる。ペルシアンヌスは、俺のことを刺客かなにかだと思ってたってことか。
「俺はお前のことを何も知らなかったんだな…」
「あー…まぁ、なぁ…」
ペルシアンヌスは言葉を濁し、こっちを見てなにか言いたげな顔をする。鬱陶しいな早く言え。
「なんだよ」
「そんなの、お前が不思議ちゃんだからだろ」
「はぁ…っ?!」
巷では常識だみたいな言い方をするな。ペルシアンヌスが次々と初耳の大きな発言をしていく。これからよく話し合っていく必要がある。
「もういいだろ」
「あ…っ」
性欲バカは待てができない。
無骨な指が後孔に伸びてきて、驚くほど抵抗なく入ってきた。ぬるりと中で動いて、いたずらにしこりを押す。
「…あっ、…ペルシアンヌス…」
「挿れるぞ」
指が抜ける。かわりにペルシアンヌスの太いものがあてがわれて、ゆっくりと拓かれて声が勝手に出てしまう。
「はぁ…っ…、ぁ…あっ…あっ」
「…ふっ」
この行為はペルシアンヌスの性欲解消や、娯楽的なものだと思っていた。そういうものは最初から見ないようにしていたけど、違う可能性もあるかもしれない。
「…」
ペルシアンヌスがこちらの視線を感じて動きを止める。
「なんだよ?」
「お、お前さ…その…」
「まだるっこしいな、早く言えよ」
「お前ってさ、…し、娼館でもそんななわけ…?」
「はぁ?」
何か言いたげながら、全く要領が得ない言葉に、最初は聞いてやるかの姿勢があったペルシアンヌスも、まぁいいかに変わり、腰を揺すり出した。
「あぁっ!…くそっ…!もうばかっ!ニブ野郎っ!キスの一つくらいしろよ!朴念仁っ!!」
「はぁ?」
「…っ!…やっぱいらねえ!二度とすんな!」
怪訝そうな顔をするペルシアンヌスに、頬を叩かれたような気分だ。やっぱムカつく奴。
「…っつーかよ…」
「んっ…っ…」
唇が重なるだけでなく舌もがっつり絡まって、繋がっているところを意識してしまった。
「この天邪鬼…っ」
「やっぱりお前、ノーテンキだな」
「はぁ?…っ、あっあっ…!」
ふっと笑われた気がしたが、気のせいかもしれない。ペルシアンヌスの大きなものが動き始めるとそんな余裕はなくなった。
「…あっあっ…やっ…そこ…」
「っ…ここかよ?」
「ちが…っ…やっああぁぁ!」
「天邪鬼はどっちだよっ、…おらっ…!」
「…っああぁぁあああ…………っっ!!」
人のコンプレックスを踏み荒らして好きにしているこの大男を嫌いになれないのが、なによりも一番悔しいところだ。
強い人間は必要だ。戦う理由も、故郷のような場所を増やしたくないだけだ。多分、俺は強いヤツとそんな青臭い話をしたかったんだ。ただ、この先コイツとそんな話ができるかはわからない。
「まだ勝負するのか?俺は大歓迎だぜ?」
「だれがするか!ばかっ!!」
ほらな。
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ありがとうございました。
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