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しおりを挟む俺は情けないことに、丸太みたいな腕に抱えられていた。暴れてもびくともしないのが薄ら寒い。あっと言う間もなくベッドの上に放り投げられてバウンドした。
「ちょっ…乱暴にするのはやめろ」
「おら、服を脱げ」
「うー…!」
話を聞かないペルシアンヌスに威嚇するも、大柄な男は気にした様子もなく、大きな手が伸びてくる。
ビリッ。
「あっ、あーーそれ俺のズボン!」
「ウスノロしてるのが悪い」
「ばかっ、お前のせいで両手が使えないんだよ!」
ひとまとめに縛られた手首を見せつけてやる。
「ぎゃあぎゃあうるせぇなぁ…」
ペルシアンヌスは上服もビリッビリに破いて、あっという間に全裸にされてしまった。
「ばかっ!怪力ばかっ!帰りどーすんだよ!」
「服くらい何着でも買ってやる」
「この成金っ…!!」
「悔しかったら褒賞金1位獲ってみな」
「くそぉ…っ!」
ペルシアンヌスがポケットを探り、小さな小瓶を取り出す。小瓶は、大人の指一本程度の高さと太さをしており、透明な小瓶の中身が目に入った途端、青褪める。気づいたペルシアンヌスがわざわざ小瓶を目の前に持ってきて軽く振ってみせた。
「お前専用の淫蟲」
「それ無理!っ、やめろ!」
「お前の穴狭ぇし。解さないと血を見ることになるからな」
「ゆ、指でして」
「かわいいこと言うじゃねぇか、いつもそうしていたらいいのにな」
「手、解いてくれたら自分でするから…!」
しかしうつ伏せにされ、腰を押さえ込まれただけで全く身動きが取れない。
不自由な体勢のまま振り向いて見えたのは、ペルシアンヌスが淫蟲の入った小瓶の栓を抜く姿。出口を求めてうねる蟲の動きに、全身が内側から引き攣り、毛穴が開いたように感じた。
淫蟲は娼館では一人に一匹支給されている生き物だ。頭は丸く尖り、体は細くうねり、まるで小さな蝮のようだが、目は無く、体は見えない毛細管で覆われている。瓶の中は乾燥しているから、指一本程もない小さな蟲だが、本来は湿潤とした環境を好み好適環境下では、倍ほどの大きさになり、水分を吸って粘液を出す。人間の体は、外側は乾燥しているが、内側は湿潤だ。吐き出す粘液は人間に強い催淫作用を与え、副作用もないので、娼館では重宝されていた。しかし、一般に出回ることはない蟲だ。首都で管理され、娼館など仕事での使用のみ許されているはずだが、ペルシアンヌスはどこでどう入手したのか…行きつけの娼館がありすぎて特定はできないが、所持していた淫蟲をあろうことか『パデュノ専用』とした。ペルシアンヌスに淫蟲を横流しした、罪深き娼館を叩き潰してやらないと気がすまない。
「やめてくれ…!」
「まっ、遠慮するな」
不自由な体勢で叫んでも、目の前の大男は眉ひとつ動かさない。さらには「初めてでもねぇのに雰囲気出すなよ」と軽口を叩きながらいやらしく笑う。
「処女も色狂いにする娼館御用達の、副作用もない安全安心な淫蟲だろ?」
「ばかっ!やめろ!」
この男、ぎゃふんと言わせるだけじゃ絶対許さない…!
頭の中ではペルシアンヌスがあらゆる惨めな姿で天に召されていくが、それも、淫蟲がポトリと内股に落とされるまでだった。
「ぎゃーーー!」
「色気ねえなぁ…」
耳を押さえてのんきなことを言う大男には殺意しか起きないが、今はそれどころではない。進退窮まるとはこのこと。断崖絶壁の絶対絶命だ。
淫蟲の実力を嫌というほど覚え込まされている。どれだけ泣いたことかわからない。もう絶望しかない。
淫蟲は湿潤地を求めてうねり移動していて、その感触に背筋が凍る。ペルシアンヌスは尻の肉を開いて誘導する。
「わあっ!…っあ、いや、これ…っ、ペルシアンヌスこれ取ってくれ!頼むから………っ!」
ペルシアンヌスから返事はない。
淫蟲は窄まりに軽く頭を擦りつけて、尖った頭の先を潜り込ませた。さらにそこが求めていた環境だと理解した蟲はもう止まらなかった。
「あっ!……あっ、あっ…っううっ……っん……ううっ…あ」
ペルシアンヌスに全てを晒している羞恥など感じている間もなく身を捩って声を上げる。
淫蟲の毛細管が蠢いて内側を移動して、体内の水分を吸いながら粘液を出していく。もぞりと小さな蟲が動くたび、異物感に神経を撫でられるような不快さしかなかったものが、じわじわと別の感覚を連れてくる。
「っあぁ…っ、…あっ…はぁ…んっんっ」
「…馴染んできたんじゃねぇか?」
声の変化を感じ取り、ペルシアンヌスが服の上から自分のペニスを撫でている。腰が勝手に震えた。
蟲の蠢きにあわせて、ゾワゾワと腹の裏側が波打つ。我慢などできるわけもない。
「も、これ…っん、…ダメ…っ」
「なにがダメなんだよ」
「あ…っだって、これ、っ…中で動ぃ…っ!…ああああ!おっきくなっ…んんぁあ!」
「気持ちよくて何よりだろ?でもまだ美味そうじゃねえなぁ…」
ヒクヒクと不規則に収縮するアナルに太い指先が入ってくる。中を確認してすぐにでていく。そしてペルシアンヌスは、買ってきた葡萄酒と干し肉、木の実などを食べ始めた。
もう誰かコイツの息の根を止めてくれ。
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