転生犬は陰陽師となって人間を助けます!

犬社護

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第1話 犬に転生

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1988年春、ここは、とある県のとあるレストラン。

今、1人の男子大学生が朝9時から17時までアルバイトをしていた。
この後、男子大学生がとんでもない状況に陥ることになるとは、誰1人知らない。

「あー、やっと落ち着ける。お、もう17時か。」
「彰君、今日はもういいよ。昼は大変だったからね。修平君と交代だ。」
「あ、店長、わかりました。それじゃあ、お先に失礼します。
「ああ、お疲れ様。」

ふう、今日は凄かったな。あそこまで客がくるとは思わなかった。これは、夜も大変だろうな。
これは、あいつもかなりきついことになるぞ。あ、考えてたら、丁度ロッカー室にいた。

「よー、修平。昼は悲惨だったぞ。夜はさらに酷いだろうけど、頑張ってくれ。」

ポンと、俺は修平の肩に手を置いた。

「くそー。まさか、ここまで混雑するとはー!」

  ふふふ、俺としては予想通りだ。今日は、地元の商店街で15―18時までイベントがあるのだ。ただバイト先のレストランはそこから1km程離れた場所にある。修平は、商店街周辺にも飲食店があるから、夜は大丈夫だろうと予想していたが、俺から言わせたら、その考えは甘いよ。

  イベントに招待されたゲストに問題があるのだ。ここの県出身の俳優2人が招待されたわけだが、結構有名な人達なのだ。修平は、そういうのに疎いところがあるからな。俳優のファン達は周辺の飲食店も絶対に調べているはずだ。今回のイベント内容から考えて、始まる前の食事より、終わった後の方が絶対盛り上がるはず。

----ただ、予想外だったのは、昼の時点でも物凄い客数だった。あなどっていたな----。

「俺はアパートで、気兼ねなく、あのゲームをやっておくよ。」
「くー、羨ましいぞ!」

そう、今爆発的人気となっているゲーム、ドラ○ンク○スト3だ。発売前から、えらい人気だったからな。発売日になんとしても手に入れたかったから、修平と一緒に徹夜で並んだんだよなー。母親にその話をしたらあきれられたな。ふ、今となってはいい思い出だな、あれはおもしろい、傑作だ。まだ、レベル30くらいだから、まだまだ楽しめるぞ。

「それじゃあなー。頑張れよ。」
「おー」と力なく右腕をあげて、ロッカー室を出て行った。

さて、俺も帰るか。自転車に乗ってアパートに向かった。

-----------------あれ、ここはどこだ?確か俺はバイトが終わって、自転車に乗ってアパートに帰ろうとしたんだ。その後、どうしたっけ?ああ、そうだ。交差点で止まって、信号が青になるのを待ってたんだ。ふと横を見ると、小さいボールを持つ4歳くらいの子供とその母親が楽しく話しているのを見たっけ。

暫くしたら、前に何かが車道の方へ転がっていくのを見たんだ。あれは、さっきの子供が 持ってたボールだ。え、なんかやばくね。いやな予感がして横を見ると、子供が車道に飛び出したんだ。しかも、親は余所見をしていて気がついていない。そこに車が---、やばい!

そこからは無我夢中だった。急いで自転車から降りて走り出した、間に合えー。

なんとか子供を掴んだのはいいけど、このままだと2人とも轢かれる。咄嗟に、子供を親に投げ渡したんだ。そして、―ーー俺は車に轢かれた。

覚えているのは子供が無事で、その母親がしきりに俺にお礼を言っていたな。俺も何か言ったような気がするんだが覚えていない。途中で意識が途切れたんだ。


------周りは真っ暗だから、病院じゃないのは確かだ。でも、なんだろう、凄く落ち着く。何かに包まれていて護られている感じがする。うーん、今の状況が全くわからん。まあ、快適だし、とりあえず寝よう。
------------あれから、どれくらい時間が経過したのかな。うん、なんだ、何かが動いている。俺も動けるかな?お、少しだけどいけるぞ!しばらくすると、ある一方向から光を感じた。とりあえず、俺はそこに向かい、急に体が開放された感じになった。そしてーーーーー

「クー、クー、クー」

て、何?何か自分で言ってるはずなんだけど-------、あれ、何も見えないし、聞こえないぞ。
どういうことかな?とりあえず、動いてみよう。て、あれ、うまく動けない。というか踏ん張りがきかないぞ。それに、4本足になってるぞ、俺!

まるで犬や猫みたいだ。それに周りにも、俺と同じようなやつがいるな。なんとなくわかる。感覚に慣れた頃、何かに顔を舐められた。

うわ-----------、なんだ、この感じ。体全体を舐められてるぞ!

----------主人公が母犬に舐められている頃、周辺では、小学生高学年くらいの女の子とその両親が喜びを分かち合っていた。

「あはは、アリー、全部で3匹生まれたよ。お疲れ様」
「アリー、お疲れ様。大変だったわね。」
「お疲れ様だな。アリー、よく頑張ったな。えらいぞ。」
「クーン」
「お母さん、みんなかわいいよ。ねえ、抱いてもいいかな?」
「駄目よ。生まれたばかりなんだし。みんなが落ち着くまでは、そっとしてあげましょうね。」
「うーん、そっか残念。でも、良かったよー、みんな無事に生まれて」
「そうだな」  

みんなが、生まれたばかりの子犬を見て微笑ましい状況となっていた。しかし、主人公は、まったくわかっていない。


---------------なんか、散々舐められたな。けど、不思議に落ち着いたぞ。
わかったことがある。認めたくないけど、俺、動物になってるがな~~~~~!
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