転生犬は陰陽師となって人間を助けます!

犬社護

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第36話 水精霊との初遭遇 (生後53日目)

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前回のあらすじ
  川底の調査が始まり、4時間程で完了しました。成果がゼロでした、ショックです。しかし、ダメもとでやった索敵で邪魔者がいることが判明し、俺は浄化させることに成功しました。その後、どうなったのでしょうか?

☆☆☆

  初めて、術をイメージ構築して放ったけど、範囲が広かったせいか予想以上に消耗が激しかった。遠方憑依を切った後、数時間寝てしまった。さすがに、アリー母さんや楓ちゃん達が心配していたが、なんとか誤魔化す事に成功した。そして、翌朝、体調が万全であることを確認してから有希ちゃんに遠方憑依した。

(昨日はごめんなさい。霊力の消耗が予想以上に激しかったから疲れちゃったんだ。)

有希
「さすがに、びっくりしたわ。あれだけいた思念体をあっという間に浄化したんだから。」

依澄
「私達の事を思ってのことはわかっているんだけど、これからは前もって言ってね。いきなり、炎が出てきた時は、本当に驚いたんだから。」

(咄嗟に思いついたんだ。あのままだと、みんな巻き込まれると思ったから。)

明希
「まあ、まあ、落ち着きなさい。それで、ラッキー、体調はどうなの?」

(はい、万全です。ただ、今回は楓ちゃん達にも心配かけたんで、もう無理はしません。)

有希
「当たり前です。ただ、昨日はありがとう。あのままだったら危なかったわ。」

明希
「ふふ、私からもお礼を言わせてもらうわ、ありがとう。ただ、すべての仕事が終わったら、昨日の術のことを説明してもらいますからね。」

(はい、わかりました。)
この様子からすると、また、やっちゃったんだろうな。

和葉 「ラッキー、ありがとう。それで、その後の事なんだけどね。」

----------俺は遠方憑依を切った後のことを聞いたけど、驚いた。2ヶ所の反応があって、うち1ヶ所はもう掘り起こしたそうだ。

(へー、箱か。中身はなんだったの?)

有希
「鍵が掛かっていてわからないわ。まあ、あれはどうでもいいわ。今日がメインなんだから。」

それもそうか。今日が反応の一番大きかった者を掘り起こすし。

和葉
「みんな、体調は万全。行きましょう!」

☆☆☆

(有希ちゃん、金属探知機で、もう一度確認してみよう。)

有希 「そうね、動いてる可能性もあるわ。」

有希ちゃんと依澄ちゃん2人で、昨日の反応があった場所に金属探知機を再度あててみた。すると、【ウィーン】と大きな音が鳴った。凄い音だな、広範囲で鳴ってる。

和葉 「昨日と全く同じ反応だわ。」
有希 「間違いなく、ここに何か埋まってるということですね。」

掘り起こし作業が始まった。和葉ちゃんが掘り起こしバケツに入れ、そのバケツを有希ちゃんが川原に持っていく。依澄ちゃんが邪魔にならないところに持って行き土を廃棄する。後は、その繰り返しだな。すべてを掘り起こす必要はない。車を見つけるだけでいいのだから。

-----作業を始めて30分、まだ車は見つからない。あれだけの反応があったんだ。必ずなにかがあるはずだ。おそらく、深いところにあるんだ。

(みんな、休憩しよう。そろそろ、足腰がきつくなってきてるだろ。)

和葉 「そうね、結構きついわね。」
依澄 「姉さん、次は私がやるよ。」

有希 
「いえ、掘り起こすのは、私がやっていいでしょうか。多分、あと少しで、見えてくると思うんです。」

和葉 「わかったわ、有希ちゃん、次はお願いするわ。」

休憩中、俺は漠然と不安を感じていた。掘り起こすたびに、少しずつだけど周りの水深が深くなってきてる。足もぬかるんできてるし、まあ命綱もあるし大丈夫とは思うが開発中の念道力を有希ちゃん、あと依澄ちゃんにかけておくか。明希さんと和葉ちゃんにもやっておこう。

(今から、4人に術をかけたいんだけどいいかな。)

有希 「突然、どうしたの?ラッキー。」

(なんか漠然とした不安を感じるんだ。今回の両親の事故や思念集合体の発生、ここにきて最後の最後になにか起こるんじゃないかと思ってね。)

和葉 「考え過ぎよ。さすがに偶然でしょう。」
依澄 「私もそう思うわ。」
明希 「ラッキーは、なにか予感がするのね。わかったわ、かけてもらいましょう。」

(いいんですか、ありがとうございます。開発中のものなんですけど、術名はシンプルで【引】にします。)

この術の機能を説明すると、皆呆れていた。

有希 
「昨日作ったばかり!呆れた、なんで新術をポンポンポンポン作れるの、ラッキー。」

(その理由は、すべての作業が終わってから、必ず説明するから。)

そう言って、有希ちゃんと依澄ちゃんに【S】、和葉ちゃんと明希さんに【N】を付けた。

明希
「それじゃあ、和葉には私の霊力を注ぐから、依澄と有希はラッキーに任せるわね。」

(はい、任せて下さい。)

有希 「ごめんなさい。 まだ、自分の霊力が使えないの。」

(いや、構わないよ。さあ、再開だ。)

俺の思い過ごしだったらいいんだけど。

15分程掘り進めた頃、その変化は唐突にやってきた。スコップの音が違ったのだ。

(有希ちゃん、今、カンてなったよね。)

「ええ、確かに何か硬いものに当たったわ!周りを掘っていくことにするわ。」

依澄 「ここまできたら、あと一息だよ。私も手伝う。」

和葉ちゃんと明希さんの仕事量が増えるけど、ここまできたら、あと少しだしいいか。
嫌な予感は、まだ消えない。油断しないでいこう。

そして遂に、その時がやってきた。周りを掘ったことで、形状が明らかに車だということがわかった。これは、天井部分かな。

(有希ちゃん、この車は両親の物と同じものかい?)

「色は間違いないわ。でも、これだけじゃなんとも言えない。」

明希
「有希、お疲れ様。後は、工事関係者に連絡してやってもらいましょう。ここからは、私達だけでは無理よ。」

依澄 「有希ちゃん、お疲れ様。あとは待ちましょう。」
有希 「はい、ありがとうございます。」

みんなの気が緩んだ瞬間、川の雰囲気が変わった。

明希 
「川の中に何かいる!この波長は、どうしてここにいるの!それに、このノイズは何?有希、依澄、すぐに川から離れなさい。」

明希さんの声を聞いた次の瞬間、それは起こった。
有希ちゃんと依澄ちゃんが、徐々に沈んでいる!

依澄 「何これ!少しずつ沈んでる。ていうか、動けない。」
有希 「私もです。少しずつ沈んでいってます。」

(明希さん、あれは何ですか?禍々しい悪意を感じるんですが!)

明希
「あれは、水精霊よ。しかも何者かに操られているわ!」

また、トラブル!
思念集合体の次は水精霊かよ。
しかも、操られているときたか。

今迄の中で、一番厄介じゃないか!
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