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第28話 カイ・ランド・タロウ、商店街の英雄となる-1 (生後48日目)

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前回のあらすじ
  琴美ちゃんが、レオ・リルの新たな飼い主となりました。そして2匹は、少し日本語を理解できるようになりました。もっともっと教えていきたいと思います。

☆☆☆

   昨日は久しぶりに、みんなとまったりとした気分で遊んだな。さて、今日はカイ達を和葉ちゃんの屋敷に連れて行かないとな。昼ご飯も食べたし、アリー母さん、レオ・リルも寝始めたし、俺は遠方憑依しますか。

---------えーと、現在、カイに遠方憑依中です。場所は商店街となっており、周りには年配の人達がたくさんいます。そして、その人々がカイ・ランド・タロウを囲んでおり、3頭を祭り上げています。何この状況?たった1日会わなかっただけで、どうやったら、こんな事態になるのでしょうか?

カイに聞いたところ、時は1日前に戻ります。

☆☆☆  カイ視点

   新たな飼い主が決まりそうだ。だが、油断は出来ない。気が変わる可能性もある。これまでがそうだったからな。それにしても、ラッキーか、不思議な奴だ。憑依しているとはいえ、俺達の事を第一に考えて行動を起こしている。誘拐事件の時、俺達やカラスが怪我をしないように、最小限で犯人達を撃退する作戦を発案した。もし俺がカラスと同じ立場だったら、間違いなく玉砕覚悟で突っ込んだだろうな。ラッキーからの紹介だからか、妙な安心感がある。ランド・タロウも同じことを考えてるかもしれんな。ラッキーと知り合って日は浅いが、車、自転車、信号、道路の渡り方、食料の確保など様々なことを教わった。

  そして俺だけに、念話、遠方念話、索敵を教えてくれた。さすがに、まだ完全にマスター出来ていないが、念話で人間の波長と合わせることで、人間が話す言葉、日本語というのか、それを理解できるようになった。

色々と実践しておかんとな。

『そろそろ商店街か。タロウ、食料に気を取られるなよ。今回は下調べなんだからな。』

『わかってるよ。でも、飼い主が決まったんだろ、もう調べる必要ないんじゃないか。』

『馬鹿、タロウ、カイも言ってただろ。いくらラッキーの紹介とはいえ、あの人間が信頼出来るかわからないんだぞ。急に気が変わる可能性だってある。最悪の場合、この辺りを縄張りとするんだから、下調べは絶対必要だ。』

『そうか、そうだな。ただ、ラッキーの紹介だと、妙な安心感があるんだよな。カイ、気を悪くしないでくれ。』

『いや、構わんよ。タロウの言ってることもわかるからな。』

さて、気持ちを切り替えて、偵察といこう。ラッキーから聞いてはいたが、色々な種類の食料があるな。特に揚げ物屋がいいな。温かく、美味しそうな匂いがする。確か、コロッケといったか。ランド・タロウもジーと見ているな。その時、揚げ物屋の主人から声がかかった。

「お前達、この辺りじゃ見かけない犬だな。コロッケが欲しいのか?」

ランド・タロウ  「ワンワン」     訳  『『欲しい、下さい!』』

お前ら、目立ってどうするんだ。

「今日は機嫌が良いから、これ、お前らにやるよ。」

おいおい、くれるのか、ありがたい。

「「「ワンワン」」」    訳 『『『 ありがとう!』』』

うお、まさか1人1個ずつくれるとは!
美味い!外はサクサク、中がホクホクか。

『美味かったな。ランド・タロウ、お礼を言っておこう。』

俺達3頭は、首を下に傾けてお礼を言った。

「「「ワンワン」」」  訳 『『『美味かった!ありがとう。』』』

こうすることで、人間から見たら、感謝されてるように見えるらしい。

「お前ら、今、俺にお礼を言ったのか。賢いな!毎日とはいかないが、偶にならやるよ。」

ありがたいな、人間が皆このような人なら良いのにな。俺達は揚げ物屋を後にし、次の店を探し始めた。コロッケとやらが美味かったせいか、ランドはホクホク顏、タロウは、さっきの店の主人の言葉が気にかかるみたいだな。

『カイ、さっきの人間、なんて言ったんだ?』
『ああ、毎日は無理だが、偶にならやるよ、と言ってたな。』

『マジか!あそこのコロッケ、凄い美味かった!定期的に行こうぜ。』

『そうだな。あれだけの味の物は久しぶりだ。ただ、ここは商店街だから、悪い奴もいるかもしれん。あまり浮かれ過ぎないようにな。』

------商店街を全て見終わり、今は人から見えない場所にいた。

ランド
『ラッキーの言う通り、あそこは食べ物の宝庫だな。ただ、揚げ物屋の人のように良い人もいれば、俺達を見た瞬間、顔色を変えて叩いてくる奴もいたな。』

『ああ、だが、これで商店街の中でも、比較的温和な人間のいる場所がわかった。次来た時は、その地域を集中的に見てみよう。』

タロウ
『俺は、やっぱりコロッケだな。あれは絶品だ!もう一度、食べたい。』

うん、なんだ、クンクン、何か焦げ臭いぞ。それに、この焦げ臭い方向から感じるどす黒いものは何だ?そうだ、ラッキーから聞いているぞ。人間の悪意だ!何か良からぬことが起こっているということか。

ランド『何か焦げ臭くないか。』
タロウ
『うん、確かに焦げ臭い。焚き火て季節でもないよな。カイ、どうかしたの?険しい顔して、何か怖いぞ。』

『焦げ臭い場所から、人間の悪意を感じる。行ってみるぞ。』

ランド『おい、カイ。危ないぞ!』
タロウ『そうだよ、逃げた方がいいってー』

『いや、この悪意が気になる。今後の参考のため、見に行ってみよう。』

商店街から少し離れてるな。あれは------火か。どうやら家が燃えているようだな。人が多いな。皆、あの火事を見に来たのだろう。色々と言いあっている。

「おい、こりゃどうしたんだよ。俺が30分程前に来た時は燃えてなかったぞ。」
「え、そうなんですか。放火でしょうか?」

「ここは空き家だったよな?」
「ええ、そうです。それに、隣接する民家はないから、延焼は大丈夫と思います。」

「不幸中の幸いか。誰もいなくて良かった。」

ランド『うわー、火事か。。』
タロウ『俺達が通った時は何もなかったよね。あれ、カイどうしたの?』

おかしい。誰もいないだと!俺が索敵した限り、2人の人間の反応がある。それに、まだ生きているぞ。誰も気づいていないのか?

『おかしい。俺が索敵した限り、2階に2人の人間がいる。にもかかわらず、周りは気づいていない。このままだと、2人とも焼け死ぬぞ。』

ランド
『何!それはまずいな。だが、カイが念話で人間に伝えるのは-----無理か。』

『俺達だけで、救出するしかない。だが、このまま突っ込めば、間違いなく死ぬ。』

タロウ
『そうだ!すぐそこの公園に噴水があった。そこの水に飛び込んでずぶ濡れになってから救出に向かうのはどうかな?』

カイ・ランド  『『それだ!!!すぐ行こう。』』

-----公園に到着したが、噴水はどうだ?よし、稼働しているぞ。

ランド『カイ、その汚いタオル、何に使うんだ?』

『ああ、これか。今は汚いが、水に漬けると、ある程度綺麗になる。ほらな。何かの役に立つかもしれん。持って行こう。では、2人の人間の救出に向かうぞ。』

ランド・タロウ  『『おお~~!!!』』
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