転生犬は陰陽師となって人間を助けます!

犬社護

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第19話 撃退作戦(準備段階-2) (生後45日目)

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前回のあらすじ
  犯人達を撃退する作戦を思い付きました。あの犬の映画には感謝です。

☆☆☆

  今は真夜中。俺の身体はアリー母さん、レオ、リルとともに爆睡中だ。だが、精神は遠方憑依をしている。そして、今、カラスさんとともにビルの中に入り、ある物を探している。それは拳銃だ。おそらく、3人の男共が持っているか、その周辺にあるはずだ。かなり危険な任務なので、1羽で行動している。他のカラス達には、道具の調達と見張りをお願いしている。
  さて、男共は身代金の受渡しの電話を行った後、酒盛りを行い、現在爆睡中だ。人質である女の子2人はトイレの時以外、ずっと手足共に拘束されている。ご丁寧に手錠をかけた後、縄でしっかりと固定されている。今は憔悴してグッタリとしている。さて、ここからどうするか?無闇に歩いて見つかったら、そこで終わりだ。よし、試しに索敵をしてみるか、 何かわかるかもしれない。

(カラスさん、今から索敵を行います。少しじっとしていて下さい。)
(わかった。)

-------ふむ、人間は犯人達が3人、人質2人か。周辺に仲間はいない。なんだ!、これは物だよな。明らかに普通とは異なる何かを感じる。おかしいな、物には波長はないはず、もっと深く索敵してみよう。

-------そうか、これは怒り、悲しみ、憎しみといった念が物にへばり付いているんだ。ということは、これらはナイフや銃といった凶器ということか。一つだけ、やばいのがあるな、多分、あれが拳銃だな。場所は、兄貴がていうかなんか言いにくいな。3人には俺が仮の名前を付けてあげよう。兄貴と呼ばれる奴はボス、やや筋肉質の青年を子分A、デブの少年はデブでいいな。ボスは拳銃1丁、ナイフ1本、子分Aがナイフ1本、デブがナイフ1本てところか。まずは拳銃を廃棄しないとな。

(カラスさん、犯人達なんですが、このままだと呼びにくいので、ボス・子分A・デブにしましょう。)

(はは、わかりやすくていいね~、了解だ。それで場所はわかったのか?)

(ええ、拳銃はボスのコートの中にあります。拳銃だけ抜き取って、モデルガンを入れましょう。ああ、そうそう、その前に人質の女の子に念話で話をしますから、ちょっと待ってて下さい。)

(いいのか、人間だぞ。)
(緊急事態なんで、今回は仕方ないですよ。)

さて、2人に念話をするか。あの犯人達、証拠を最小限に抑えたるために、身代金をもらう直前に人質を殺すと言ってたからな。リミットは、明後日の夕方だ。しかも、人質の目の前で話をしやがった。怯え方が尋常じゃない。まず、精神を落ち着かせないとな。

(君達、聞こえますか。聞こえたら、声に出さず頷いて欲しい。)

すると、2人はビクっとしたが軽く頷いてくれた。

(ありがとう。俺は、ラッキーと言うんだ。今、君達の心の中に話しかけている。犯人達には聞こえないから安心してね。まず、名前を教えて欲しい。心の中で念じれば、俺だけに通じるよ。)

(私は山路和葉、高1です。)
(----------)

(ごめん、この子は元々臆病な性格で、この状況だし、凄く怯えてるのよ。私の妹で山路依澄、中2だよ。)

(無理もない。和葉ちゃん、依澄ちゃんか、宜しくね。さて、自分達の状況は分かっているね。)

(はい、2日後の昼には殺されます。)

そう言った瞬間、依澄ちゃんがビクっとして震えだし、小声で呟いた。

(-----------いやだよ、死にたくない、死にたくない。)

これは、きちんと正確に話したほうがいいな。曖昧に言うと、余計危ない。

(俺達は、君達を助けにきた。作戦開始は明日の真夜中、犯人達が寝静まった時だ。)
(今日では駄目なんですか。酔い潰れてますよ。)

(あいつらは拳銃を持っている。今、俺達が侵入したらパニックを起こして拳銃を乱射するかもしれない。それは避けたい。)

(すいません、私、軽率なことを。)

その時、妹の依澄ちゃんが勇気を振り絞って、話し出した。

(-------本当に助けてくれるんですか、信じられません!そ、そ、そもそも、あ、あ、貴方は誰なんですか。これって、俗に言うテレパシーというものですよね。どうやって、ここを突き止めたんですか。スマートフォンも壊されて、居場所が絶対に割れないようにされてるのに。)

急に話し出したな、この子。混乱してるんだろうな。いきなり捕まって、死の宣告をされて、今度は別の奴、つまり俺が助け出すて言ってるんだから当然の反応か。

(最もな意見だね。驚かないでほしいんだけど、俺達は人間じゃない。俺達の仲間が犯人の1人に殺された。ここにいる全員が犯人達を恨んでいるんだ。とある偶然で、犯人達を見つけ、ここまで追跡してきたんだよ。)

(------人間じゃない?追跡してきた?もしかして、鳥さんですか?。)

へー、依澄ちゃん、結構鋭いじゃないか。

(何者か、それと作戦内容は答えないでおくよ。)

今度は和葉ちゃんが疑問を持ったみたいだ。

(どうして、何者なのか、作戦内容はどんなものか教えてくれないんですか?)

(-------ね、姉さん、落ち着いて。あの、安心感を与えたくないからですか?)

へー、この子、直感的に助かる可能性があると思い始めたのか、鋭い意見を言ってくるな。

(そうだ!簡単な話だよ。君達が安心するからだよ。考えてもみてよ、君達は2日後の昼に殺されるのが確定してるんだよ。それなのに安心感があったら、怪しまれる。だから、これ以上のことは話さない。)

(信用出来るか微妙なところか。)
(なんとなくだけど、ラッキーの言う事は信用していいと思う。)

(珍しいわね、あなたから言うなんて。わかったわ。ラッキーのこと、信用するわ。せめて犯人達をどうするか聞いていいかしら。殺すの?)

(安心して、殺さないよ。------そんなの温いよ。あいつらが生きていく上で、最も大切な物を奪う。)

殺すのではと緊張していた2人は明らかに肩をなでおろしたが、奪うと聞いた瞬間、驚愕な表情をし、和葉ちゃんが尋ねてきた。

(奪うて何を?)

(それは知らない方がいい。世の中には、知らない方がいいこともあるんだよ。さて、まずは厄介な拳銃を排除しないとね。今から通信を切るけど、これから何が起こっても、慌てないようにね。なーに、君達はそこを無闇に動かず、ただ静観していればいい。)

((わ、わかりました。))

さて、拳銃はボスのコートの中だ。上手い具合にそのコートは、ボスと離れたところにある。普通、懐に常時忍ばせておくものなんだけど、こいつはナイフさえあればいいみたいだ。

(カラスさん、当初の予定通り行きましょう。)
(ああ、おい、あれは持って来ているか?)

すると、2羽のカラスが協力して、嘴に一丁のモデルガンを加えてやってきた。

(はい、モデルガンなら、ここにあります。)

カラスは光り物が好きと聞いたことはあるが、まさかモデルガンも拾ってきてるとは思わなかったよな。しかも、やたらリアルに出来てるし、ある程度の重さもある。これなら誤魔化せるだろう。気になるのは拳銃のタイプだけど、コートの中を弄り音を立てないように外に出してもらった。

若干、形は違うけどこれなら大丈夫。よし、これですり替え完了だ。暴発しないように、ロックしておこう。ロック機構がモデルガンと同じでよかった。

(これで大丈夫。邪魔な拳銃は犯人達に見つからないところに隠しましょう。)

拳銃は重いから注意して運ばないとな。

(こいつは重いな。みんな注意して運ぶぞ。)

外に出て、拳銃を土の中に埋めた。これで大丈夫!
ふと、上の方から声が聞こえた。

(ラッキー、野良犬3頭がこちらに来て、俺達の仲間に加えてほしいといってきてるんだがどうする?)

(野良犬ですか。わかりました、そちらに行きましょう。カラスさん、お願いします。)

(ああ)

野良犬か、ますますあの映画のような状況になってきてるな。
準備が整うまでもう少しだ。
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