邪神を喰った少女は異世界を救済します

犬社護

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間章2 勇者達、シルフィーユ王国へ

エピローグ 悪魔討伐完了

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間章2-13  エピローグ  悪魔討伐完了

◯◯◯ バーン・フェイル 視点

「結果的にトイフェルベリードーピングというズルをしちまったが、今回ばかりは俺とリフィアでもヤバかった。先にトイフェルベリーと遭遇して幸運だったな」

「そうね。トイフェルベリーと遭遇せずに、あの悪魔達と出会っていたら、私とバーンだけで戦うことになっていたから、ギリギリ勝てたかどうかね。だから、ハルトもミカもそんなに落ち込む必要ないわよ」

「----わかってはいるんですが、ドーピングという事実は消せません」

そこまで落ち込むか?
お前らの世界では、ドーピングという行為は相当なズルだったのかよ。

《ピピピピ》

うん、これは----サーシャからの通信か。タイミングがいいのか、悪いのか。

「リフィア、サーシャからの通信だ」
《ビク》
「---今度は何かしら?」

ハイエルフ関係の通信以降、完全にビクついているな。

【サーシャ、早い通信だな】
【バーンさん、ガルディア帝国皇都の遺跡で、新たなことがわかりました】

皇都の遺跡か。あそこ何もないからな。通信が早いはずだ。

【内容は?】

俺とリフィアは内容を聞いて愕然とした。

1) 悪魔が召喚されているかもしれない
→これは、まあいい。ついさっき、悪魔との戦いが終わったからな

2) スキルステータスの限界値はレベル50以上ある
→薄々10以上ある事は、わかってはいた

3) 対悪魔用の魔法を開発し、加護を持つ者全員に授けた
→問題はこれだ!

開発が早過ぎるだろ。そう突っ込んだら、邪神になった間もない頃に虚無魔法を開発したらしく、今回はそれを改良したらしい。こいつは相変わらず規格外だな。リフィアを見ると、俺と同じ気持ちのようだ。

【サーシャ~、新たな魔法を授けてくれたことは感謝するわ。でも、私達に無断で、ハルトとミカに加護を付けたでしょ~】

【あ、はい、本当は全員に付けたかったんですが、さすがにバレるので、2人だけに付けたんです】

さすがにリフィアも、これには怒っているか。
俺もリフィアも、サーシャに厳重注意行い、俺達に何かを行う時は必ず事前に言うようにきつく言っておいた。

【すいません、これからは事前に言います。ところで、さっきからドーピング勇者~、ドーピング聖女~と連呼しているみたいですけど、何かあったんですか?】

あーあれね。

【あー、ついさっきまで、色々とあってな。勇者はドーピング勇者、聖女はドーピング聖女と改名された】

【え!どういった状況でそうなったんですか?】

【今しがた、戦いに決着がついたところなんだ。情報がまとまり次第、あとでこちらから通信する】

【はあ、わかりました。ドーピングと言っているという事は、何かで急激に強くなったという事ですかね?】

ドーピングと聞いた時点で、やはりわかるか。

【まあ、そんなところだ。少し待ってろ。明日になれば、まとまるだろうから通信する】

【わかりました。明日の通信を待っています】

それにしても虚無魔法の開発とステータスのスキルレベル限界値は最低でも50以上ある----か。ふ、こいつはやり甲斐があるな。俺達は、まだまだ強くなれそうだ。


○○○ 桜木春人 視点


ドーピング勇者、なんて心を抉るネーミングなんだ。ドーピングがなければ勝てなかったとはいえ、旅に出てから1ヶ月も経過していないのに、ズルして10倍近く強くなったのは事実なんだよな。ネット小説でも、食っただけで10倍強くなったものなんて聞いた事がないぞ。

「お前ら、ハルトとミカで遊ぶのもそこまでだ。サーシャから通信が来た。どうやら皇都にある遺跡で、スフィアから悪魔召喚が行われるかもしれないと注意を受けたそうだ」

え、サーシャの方でも、スフィアから注意を受けていたのか。こっちは、もう悪魔と戦ったよ。

「仕方ありませんね。美香と春人君で遊ぶのもここまでです」
「「そうだな」」

おいおい、遊ばないでくれよ。

「うう、夕実、ドーピングしてごめんね」
「美香、もういいよ。知らずにやっちゃった事だからね」

「そうだぜ!今回、俺達は役立たずだったからな。ハルトも落ち込むなよ」
「真也、それならドーピング勇者とドーピング聖女も忘れて欲しいんだが」

「「「それは無理」」」

3人ハモって言いやがった!

「ふふ、シンヤ、ヨシキ、ユミ、そんなあなた達に吉報よ。サーシャが対悪魔用の魔法を開発してくれたわ」

「「「「「え!」」」」」

いくらなんでも、早過ぎだろ!
俺達は、サーシャが開発した虚無魔法について詳細を教えてもらった。この魔法なら確かに3人でも使用可能だが、消費魔力がかなり大きい。

そして、虚無魔法の必要最低スキルは魔力操作20以上だった。という事は、同時に魔力循環も同レベル必要って事だ。しかも、効率的な練習方法がお手玉とはね。

「うわ~、お手玉苦手だよ~」
「美香は結構不器用だったよね。私は大得意です」

「お前らは、まだいいよ。俺ら男はやった事がないぞ」
「義輝もか?俺も未経験だ、真也は?」

「義輝、お手玉って、要はジャグリングの事だよな?」
「そうだが、真也はやった事があるのか?」

「中学の卒業パーティーの時に、隠し芸として披露したんだよ。その時は、喝采を浴びたな。まさか、異世界で役立てる日が来るとは」

なにーーーー!真也は経験者かよ!
あ、義輝が真也の両手を掴んだ!

「真也、是非コツを教えてくれ!」
「俺からも頼む」

ジャグリングか、絶対手こずるな。

「ああ、任せろ。俺が義輝と春人にジャグリングを伝授してやる!」

「真也はお手玉を経験済か?それなら、すぐに虚無魔法を修得出来るかもな。俺も訓練しないといけねえな。よし、そろそろ村に戻るぞ!結局、エルフの身体は3人とも灰になっちまった。村長達に報告だ」

そう、悪魔の核を潰したら、エルフの身体も灰になってしまった。残ったのは衣服類やアクセサリー類と一部の灰のみだ。これらが遺品になるのか。集めて、3人の両親に渡してあげよう。

俺達は遺品を集め、村へ戻った。


村へ戻り、俺が村長達に全てを報告し、3人の遺品を渡すと身内関係者は泣き崩れた。1番いい結末は3人とも無事帰還なんだけど、一体化してしまった以上、討伐するしか方法がなかった。

「村長さん、トイフェルベリーに関しては、絶対食べないようにして下さい。そして、このような悲劇を繰り返さないためにも、見つかったものは子供達が食べないように厳重保管しておいて下さいね。俺達が定期的に来て討伐しますので」

「はい、はい、今回の件、誠にありがとうございます。3人の犠牲を無駄にしたくありません。必ず見つかり次第、厳重保管いたします」

リフィアさんと夕実が長距離転移を使えるから、トイフェルベリーの回収に関しては問題ないだろう。

「勇者様方、今回は誠にありがとうございました。今回の件の詳細をこの紙にまとめてあります。マルティークのギルド長にお渡し下さい」

「ありがとうございます。それでは失礼致します」

今回の件で、ハイエルフと謁見しやすくなったな。悪魔召喚ともなれば、国の王もハイエルフに知らせるだろう。詳細な事を聞くには、俺達に聞くしかないのだから。

「リフィアさん、ハイエルフと謁見しやすくなって良かったですね。下手に適当な事を言っていたら、見破られて即死刑---なんてこともありえますからね」

「ふふ、でもハイエルフ様達と謁見する事に変わりないわ」

ああ、謁見する事自体が相当嫌なんだな。

「お前ら、これらからの訓練メニューだが、今まで行ってきた基礎訓練に加え、虚無魔法の訓練が追加されるからな」

「「「「「げ!今までのは基礎訓練?」」」」」

「当たり前だろうが!移動だけの訓練で、お前らバテてただろ?虚無魔法の訓練は、魔力感知・魔力循環・魔力操作といった基本スキルを大幅に鍛えれるぞ。おそらく、ユミ、シンヤ、ヨシキも虚無魔法の訓練で、基礎能力値がかなり上がるはずだ。お前らが強くなればなる程、どんどん訓練メニューを追加していくからな。覚悟しておけ」

マジかよ!でも、ゲンナリする自分と喜ぶ自分がいるのはなぜだ?
とにかく、これからも訓練を続けて、ひたすら強くなっていこう。




ただ、訓練で徐々に強くなって行くことも可能だが、トイフェルベリーを見つけて食べていくというドーピング行為だけで、強くなっていく方法も見つかったんだよな。トイフェルベリーばかり頼らないように気をつけよう。あれは強くなるけど、経験が伴わない!

トイフェルベリー漬けになれば、ダメ人間になっていきそうな気がする。



とりあえず、マルティークのギルド長に伝えた後は王都に向けて出発だな!


○○○


これにて間章第2章終了です。次話から、本編(レーデンブルク編)に戻ります。
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