カードガチャでリスタート‼︎〜パーティーを追放されたカード戦士は導き手となって最善ルートを突き進む〜

犬社護

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23話 ヒロイン、《うんちざまぁ》ルートへ至る

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もう、なんなのよ‼︎
アーグカルツ先生は、私の臭いの原因を知っているからか、周囲の先生方に耳打ちでコソコソ言って教えているようだけど、私にも教えなさいよ。

「先生、良い加減、私にも教えてください。私の頭上に、何があるんですか? ほら、見てください。頭には、何も付いていませんよ?」

私が頭を触ると同時に、アーグカルツ先生だけが顔を顰めているわ。

「マリエル・クォークス、どうやら本当に自覚がないようだ。というか一晩中、精霊達があれだけ騒いでいたのに、その加護を持つ君だけが何も知らんとは。クォークス、今この場で精霊魔法を使ってみろ?」
精霊が騒いでいた? それも一晩中? 知らない、私は知らないわ。
そういえば、今日は精霊達が姿を見せないわね?
精霊魔法は私のオハコだから、別にいなくても使用できるわ。
当初、聞いたことのない言語だったから覚えるのに苦労したけど、今なら中級魔法と同レベルのものだって扱えるんだから。

「ラ・フィーレイ・ロト(細やかな光を周囲に)」
え、発動しない? どうして?
何度も何度も詠唱しても、魔法が具現化されないわ。
「もういい、これで確信した。天罰が、お前の身に降り下ろされたんだ」

天罰ですって? 
馬鹿馬鹿しい、私は転生時に女神にも会っているのよ。
あの方とは転生以降会っていないけど、きちんと毎日感謝のお祈りをしているわ。
あの方のおかげで転生できたのだから、お怒りを買うような行為はしていない…はず。

「どういうことですか? 私は、何もしていません‼︎」

私が数歩前進しただけで、数人の先生方が気絶していく。認めたくないけど、私の身に何かが起きているのよね。

「うお、この臭いは!? マ…クォークス子爵令嬢、何をしている?」
今の声って、まさか!?
職員室のもう一方の入口から入ってきたのは攻略対象者《ジークハルト》、私の大好きな人‼︎

「ジークハルト殿下、周囲にいる人達が何故か私を避けるんです‼︎ 学園生だけでなく先生方も‼︎」
私は、物語のヒロインのような愚かな事をしていないわ。まあ、ジークとの距離感だけはかなり近いこともあって、少数の生徒から注意されている節もあるけど、それ以外の攻略対象者達とは一定の距離間を保っている。だから、虐めとかも多少受けているけど、これはいくらなんでもやり過ぎでしょう?

本当に私の頭上に何かあるのなら、私だって触れるはずよ。でも、さっきから頭を触っても髪の毛以外の感触は感じ取れないわ。え…でも、殿下が私を見て、何故目を見開き驚いているわけ?

「お、おい、それ以上髪に触るんじゃない‼︎ 妹のマフィンから聞いてはいたが、これが【天罰】か。確かに加護を持つ俺やアーグカルツ先生には見えているようだが……余りにも酷い」

加護を持つ人だけが見えている? 
私に、どんな天罰が降り下されたのよ?

「殿下、私の頭上に何があるのですか?」
「殿下、ここは私が…」
アーグカルツ先生が教えてくれると思ったら、殿下が右腕を上げて制止したわ。
「いい、俺が直接彼女に言おう。クォークス子爵令嬢、君には幻滅したよ。まさか、あんな裏の顔が潜んでいたとはな。私も、人を見る目がないな。君とは上手くやっていけそうだと思っていたんだが」
裏の顔? 
幻滅?
どういうこと?
「まだ、わからんのか? 魔力暴走時、君はグループから無断で離脱したな?」
え、まさか…アレがバレたの?
どうして?
「それは…」
「隠す必要はない。妹のマフィンが、精霊から全てを聞いたそうだ」
え、精霊から!?
あの場には、私と冒険者しかいなかったはずよ?
まさか、あの男性が精霊に話したの?

「君は魔力暴走に巻き込まれ弱った聖獣様に対し、主従契約を迫ったそうだな? 異変を察知した聖獣様は魔法で逃げたにも関わらず、君はそれを追いかけた」

な…なんで…どうして…そこまで正確に知っているのよ?

「ご、誤解です。私は回復魔法で大火傷を治療しようとしただけです‼︎」
「ならば、順番が逆だろう? 何故、先に治療しない?」
「う…それは…その…」
何も言い返せないわ。
逃げられないよう、先に主従契約しちゃえばいいよねと思ったことも事実だもの。
「この件は、他の聖獣や精霊にも伝わっている。君は、精霊からも見離されたのだ。言い逃れはできんぞ」

嘘…それじゃあ、さっき精霊魔法を使用できなかったのは、精霊達の怒りを買ってしまったからなの? 【フィリアナの死】を、他の聖獣達に伝えたの?

「幻滅だ、君も有象無象の欲の権化ともいえる令嬢達と同じだったんだね…残念だ」
や…やばい…この言い方って…まさか…
「そうそう、君の身に何が起きているかだったな? 私達は君の身に天罰が降りかかるとは聞いてはいたが、その内容は報されていなかった。私も、今知ったばかりだ。君の頭上にあるのは、【とぐろを巻いた大きなうんち】だ」
え…うんち? 
嘘…でしょ?
「いやああああぁぁぁ~~~~」
なんで、そんな物が頭に付いているのよ~~~~!!!!!
全然、そんな感触を感じないわよ‼︎

「聖獣様の言った通り、加護を持つ者にしか見えない。そして、君自身は絶対に触れられないようだな。その《うんち》が何なのかわからんが、《臭い》以外にも《畏怖》を感じる。正直、ここにいるだけで、足が震えるよ」

意味がわからないわ。
なんで私の頭上に、うんちが付いているのよ?
フィリアナが私を恨んでいる?
だから、呪われたの?

「あ…あの…私は…」
「言い訳は結構‼︎ 君は、聖獣や精霊を怒らせてしまった。おそらく、頭上のソレは一生とれないだろう。昨日の時点で、君への対処は決まったようなものなんだが、今の君を見て私の腹も決まった。本当に残念だよ」

どうして、そんな悲しい表情をするのよ?
私への処分って…

「殿下、そこからは私が言いましょう。担任の私にも、こうなった責任があります。マリエル・クォークス、《聖獣保護法》に基づき、今日をもって君を【退学処分】とする。今日中に寮内にある私物を片付け、学園から出て行きなさい。今頃、クォークス子爵にも、この処分が伝わっているはずだ。また、聖獣を傷つけた女子生徒に関しては、故意に行ったものではないと判断し、停学処分を一ヶ月から三ヶ月へと変更されている。君も彼女と同様、この罰を受け入れなさい」

《聖獣保護法》
・無闇に聖獣を傷つけた者には、身分に関係なく処分の対象となる。
・聖獣と主従契約を結びたい場合、必ず話し合いを行う事。相手の許可なく契約を行使した場合、身分に関係なく処分の対象となる。

どうして退学処分なの…私自身は聖獣を傷つけていないのに。
それに話し合いだって、一応やったわよ。

退学処分…嘘でしょう?
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