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31話 ルティナにとっての道標 *ルティナ視点
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《リノアが建物内に入った直後からのルティナ視点です》
あの魔法、本当にエリアヒールなの?
規模が大き過ぎるせいで、お兄ちゃんが制御の大半を賄ってくれなければ発動しなかったよ。私は、魔法の維持だけで精一杯だった。でも、お兄ちゃんが私の波長と同調してくれたおかげで、制御方法については色々わかったもんね。
① 効果範囲を薬学棟校舎全体に設定する。
→これ自体は簡単に出来た。
② 棟内にいる人々、生存者と死者の存在位置を把握する。
→人の中にある魂を認識し選別して、生存者のみを指定して、魔法を発動。
魂を見て死者を判別するなんて、こんなのスキルがないと、絶対に無理だよ!!
しかも、全員の位置が異なるし、怪我の度合いだって違うのに、お兄ちゃんは私の魔力を上手く振り分けて、怪我のレベルを同程度になるよう回復させているし!! 制御能力が、神懸かってる!! おまけに、指定した範囲内の温度を室温近くまで低下させている。私の魔力だけじゃあ足らなかったから、お兄ちゃんは自分の魔力を使ってくれた。
これだけのことをいっぺんに考えて制御するのって難し過ぎだよ。
私も少しお手伝いしたけど、魔法の維持だけで手一杯だった。
でも、なんでかな?
心に、凄い充実感がある。
私はお兄ちゃんを見ると、駆けつけてきた人たちに、薬学棟で何があったのか、そして私たちが何をやったのかを、息を乱すことなく丁寧に説明していた。
こっちはヘロヘロで疲れているのに、お兄ちゃんはなんで平然と動けるの? リノアが棟の中に入ってから問いただしたら…
「冒険者と魔物の戦闘だと、もっと長引く時だってある。1発の広範囲魔法を放っただけで、体力も魔力も尽きていたら、すぐに殺されてしまう。だから、僕は魔力量、魔力制御だけでなく、体力面も常に鍛えているのさ。君の場合、体力面は年齢上仕方ないにしても、魔法発動までの流れとそこからの魔法維持に無駄が多すぎる。魔力消費を最小限に抑え、最大限の効果を発揮できるよう、制御訓練が必要だね」
と、魔力制御が下手なせいで、無駄な魔力消費が多いことまで指摘された。
私は、魔力量とギフトのこともあって、1年半前に巫女に選ばれた。これまで聖女様や他の巫女様たちの魔法をいっぱい見て覚えたけど、魔法の制御能力が甘いせいで、みんなに迷惑をかけてしまい、初級魔法しか使わないよう言われていた。悔しいから、色んな本を読んだり、聖女様や先生たちにも色々質問したけど、話の内容が難しくて全然理解できず、この1年間、魔法の制御技術が全く進歩しなかった。
でも、今日の同調による教わり方の方がすっごくわかりやすかったから、その事をお兄ちゃんに話すと、意外な答えが返ってきた。
「それは、神殿での授業方針が君に合っていない証拠だ。こうしてマンツーマンで教え込み、的確に弱点を指摘する方が君に合っているようだね。今後は、魔法の要となる制御を同調による訓練で磨いていこう」
私はマンツーマンで、力を伸ばしていくタイプみたい。
思い返せば、制御訓練の授業こそあったけど、口で説明されるだけで、同調なんてされた事ないし、私の制御の何処が拙いのか、明確に指摘されたことがない。お兄ちゃんは説明こそしないけど、同調のおかげで、どうやって制御しているのかを教えてくれた。
こっちの方が、断然わかりやすい。
世界中には、お兄ちゃんのような人がいっぱいいるのかな?
足手纏いになりたくないから、リノアと一緒にどんどん鍛えていこう。
お兄ちゃんから説明を受けている人々の顔は真剣そのもの、さっき放った魔法の効果は、皆の知るエリアヒールと全然違うから、みんながあの魔法に興味を持ってくれてる。
「エリアヒールの効果で、侵入しても問題ない温度に低下しましたが、爆発で生じた粉塵には、毒物が入っている可能性もあります。現在、私の従魔、タルパで8歳のリノアが、4階から順に生存者の確認を行っていますので、結果が出るまで建物内に入らないで下さい」
お兄ちゃんの説明がわかりやすい。あんな言い方したら、どうしてタルパの子供を従魔にしたのか気になる。やっぱり、みんなが私の疑問と同じ質問をしていく。事情を知った人たちは憤慨してくれている。
私は、リノアを殺したマクレミーサを許せない。
今は冒険者の人たちも、同情で私たちを信用してくれているけど、マクレミーサに味方する貴族が動けば、絶対私たちの評価もひっくり返る。神殿の人たちだって、魔道具一つだけで私の意見を聞いてくれなくなったもん。3人でいっぱい功績を上げていって、貴族が動いても揺るぎようのない絶対の信頼を積み上げていくんだ。
体がヘロヘロだけど、私はなんとか立ち上がる。
リノアが頑張っている時に寝ていちゃダメだ。
私も、アピールしていこう。
あの魔法、本当にエリアヒールなの?
規模が大き過ぎるせいで、お兄ちゃんが制御の大半を賄ってくれなければ発動しなかったよ。私は、魔法の維持だけで精一杯だった。でも、お兄ちゃんが私の波長と同調してくれたおかげで、制御方法については色々わかったもんね。
① 効果範囲を薬学棟校舎全体に設定する。
→これ自体は簡単に出来た。
② 棟内にいる人々、生存者と死者の存在位置を把握する。
→人の中にある魂を認識し選別して、生存者のみを指定して、魔法を発動。
魂を見て死者を判別するなんて、こんなのスキルがないと、絶対に無理だよ!!
しかも、全員の位置が異なるし、怪我の度合いだって違うのに、お兄ちゃんは私の魔力を上手く振り分けて、怪我のレベルを同程度になるよう回復させているし!! 制御能力が、神懸かってる!! おまけに、指定した範囲内の温度を室温近くまで低下させている。私の魔力だけじゃあ足らなかったから、お兄ちゃんは自分の魔力を使ってくれた。
これだけのことをいっぺんに考えて制御するのって難し過ぎだよ。
私も少しお手伝いしたけど、魔法の維持だけで手一杯だった。
でも、なんでかな?
心に、凄い充実感がある。
私はお兄ちゃんを見ると、駆けつけてきた人たちに、薬学棟で何があったのか、そして私たちが何をやったのかを、息を乱すことなく丁寧に説明していた。
こっちはヘロヘロで疲れているのに、お兄ちゃんはなんで平然と動けるの? リノアが棟の中に入ってから問いただしたら…
「冒険者と魔物の戦闘だと、もっと長引く時だってある。1発の広範囲魔法を放っただけで、体力も魔力も尽きていたら、すぐに殺されてしまう。だから、僕は魔力量、魔力制御だけでなく、体力面も常に鍛えているのさ。君の場合、体力面は年齢上仕方ないにしても、魔法発動までの流れとそこからの魔法維持に無駄が多すぎる。魔力消費を最小限に抑え、最大限の効果を発揮できるよう、制御訓練が必要だね」
と、魔力制御が下手なせいで、無駄な魔力消費が多いことまで指摘された。
私は、魔力量とギフトのこともあって、1年半前に巫女に選ばれた。これまで聖女様や他の巫女様たちの魔法をいっぱい見て覚えたけど、魔法の制御能力が甘いせいで、みんなに迷惑をかけてしまい、初級魔法しか使わないよう言われていた。悔しいから、色んな本を読んだり、聖女様や先生たちにも色々質問したけど、話の内容が難しくて全然理解できず、この1年間、魔法の制御技術が全く進歩しなかった。
でも、今日の同調による教わり方の方がすっごくわかりやすかったから、その事をお兄ちゃんに話すと、意外な答えが返ってきた。
「それは、神殿での授業方針が君に合っていない証拠だ。こうしてマンツーマンで教え込み、的確に弱点を指摘する方が君に合っているようだね。今後は、魔法の要となる制御を同調による訓練で磨いていこう」
私はマンツーマンで、力を伸ばしていくタイプみたい。
思い返せば、制御訓練の授業こそあったけど、口で説明されるだけで、同調なんてされた事ないし、私の制御の何処が拙いのか、明確に指摘されたことがない。お兄ちゃんは説明こそしないけど、同調のおかげで、どうやって制御しているのかを教えてくれた。
こっちの方が、断然わかりやすい。
世界中には、お兄ちゃんのような人がいっぱいいるのかな?
足手纏いになりたくないから、リノアと一緒にどんどん鍛えていこう。
お兄ちゃんから説明を受けている人々の顔は真剣そのもの、さっき放った魔法の効果は、皆の知るエリアヒールと全然違うから、みんながあの魔法に興味を持ってくれてる。
「エリアヒールの効果で、侵入しても問題ない温度に低下しましたが、爆発で生じた粉塵には、毒物が入っている可能性もあります。現在、私の従魔、タルパで8歳のリノアが、4階から順に生存者の確認を行っていますので、結果が出るまで建物内に入らないで下さい」
お兄ちゃんの説明がわかりやすい。あんな言い方したら、どうしてタルパの子供を従魔にしたのか気になる。やっぱり、みんなが私の疑問と同じ質問をしていく。事情を知った人たちは憤慨してくれている。
私は、リノアを殺したマクレミーサを許せない。
今は冒険者の人たちも、同情で私たちを信用してくれているけど、マクレミーサに味方する貴族が動けば、絶対私たちの評価もひっくり返る。神殿の人たちだって、魔道具一つだけで私の意見を聞いてくれなくなったもん。3人でいっぱい功績を上げていって、貴族が動いても揺るぎようのない絶対の信頼を積み上げていくんだ。
体がヘロヘロだけど、私はなんとか立ち上がる。
リノアが頑張っている時に寝ていちゃダメだ。
私も、アピールしていこう。
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