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23話 Gランク、それは冒険者であって冒険者にあらず
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冒険者の依頼には、[ランク依頼][共通依頼][指名依頼]の3種がある。
[ランク依頼]は、S~Gの8種に分別されており、魔物の脅威度に合わせて振り分けられている。冒険者の強さも魔物の脅威度と連動しており、S~Gの8種類あり、同ランクか1つ上のランクまでの依頼しか受けられない。
[共通依頼]は、特定のスキルやギフトを持ち合わせていないと、解決できないような内容になっており、冒険者ランクに関係しない。
[指名依頼]は、依頼人が特定の冒険者を指名し、個室にて依頼内容を告げられる。
これらの依頼の中でも、[ランク依頼][共通依頼]の2つは、専用の大きな掲示板に、依頼書が全て貼られており、どの冒険者パーティーが受けるかは、早い者勝ちとなっている。
僕がスキル[実体化]に関わるレポートをまとめている間、ルティナとリノアにはGランクと共通用掲示板の依頼を見てもらい、自分たちでできそうなものを見繕ってもらっている。レポートに関しては、30分ほどで書き上げたので、リオさんに見せていくと、彼女は感嘆の声をあげる。
「リョウト君、あなた事務職に向いているわよ。たった30分で仕上げたわりに、文法も完璧だし、内容もわかりやすい。私が誤字脱字を指摘して、何回も書き直させるパターンになるとばかり思っていたのに」
こればかりは、前世で出会った先生に感謝だ。あの人、陰陽師のくせに、報告書などの書き方が高校の先生よりも上手いし、その教え方もわかりやすかった。僕はすぐにコツを掴み誉められたけど、それ以降、陰陽師や副業に関わる業務報告書を書くよう命じられてしまったんだ。月10万のアルバイト料を提示されたから、即座にOKしたよ。 破格な給料の分、仕事量も半端なかったけど。
「このギルドの事務職に転職しない?」
「ご遠慮します」
安定した給料を得られるけど、そういった仕事は僕に合わない。
「リョウトさん、この依頼を受けたいです」
リノアが一枚の依頼書[薬草の採取方法を学びなさい・授業60分・実習60分]を握り締め、ルティナを連れて、いつの間にか僕の側に来ていた。
依頼書を読んだ限り、Gランクならではの内容だね。
この【Gランク】というのは、冒険者であって冒険者にあらず。
冒険者は依頼を達成させる過程で、大怪我を負う時もある。そういった場合、治療費などの経費は、全て自己負担となる。そのため、やり方を間違えば、たとえ報酬を貰っても、赤字になってしまうし、失敗した時は自分の信用も低下してしまう。
こういった厳しさを経験の浅い新米冒険者の段階から知ってもらうため、10年程前に新規にGランクが設立された。新米は、ここで6項目の依頼を全て達成させることで、Fランクへと昇格され、初心者冒険者としてデビューできる。
言い換えれば、Gランクは、冒険者になる1歩手前の訓練生と言えるだろう。無論、例外もあるけど、僕たちのように、パーティー内に未成年(15歳未満)の新規登録者がいる場合は、全員が強制的にGランクスタートとなっている。
Gランク依頼の依頼主は全て冒険者ギルド、依頼内容は講義や実習となっており、ここで冒険者としての常識を教わるのだ。一応、依頼を達成すれば、1人1000ゴルドずつの報酬もある。
リノアの選んだものは、薬草採取に関わる講義と実習だ。受ける順番など決まってないので、2人は興味を引いたものを選んだのかな。
「薬草採取か、新米冒険者にとって、必ず知っておかないといけないものだ。僕にとっても、勉強になるからありがたいね。まずは、これをやろう」
「はい!!」
「やる~~~」
2人が笑顔になると、周囲にいる冒険者たちもホッコリするのか、雰囲気が和らぐ。
「普通に見た限り、リノアがタルパだなんて信じられないわ。マクレミーサ様はこんな良い子たちを……」
リオさんもホッコリしていたけど、表情が急に険しくなる。
「ルティナ、リノア、ここにいる皆が、あなたたちの味方よ。神殿側に何か動きがあるようなら、すぐに教えるから、あなたたちは少しずつ強くなっていきなさい。リョウト君、護衛を頼んだわよ」
「了解」
講義が始まるまで、あと30分程か。
それまでに、必要なノートや文房具類を揃えておこう。
○○○
60分の講義、独学で得た知識と被っている箇所もあったけど、僕にとって非常に有意義なものだった。講義を受けにきた人数は僕たち3人だけ、先生役のギルド職員の男性は30歳くらいのベテランで、教科書となる冊子を渡してくれただけでなく、見た目の似ている薬草と毒草の違いを、黒板に描き丁寧に教えてくれたので、子供達は必死にノートに書き、先生に質問しながら、講義が進んでいく。
ある種の小学校の先生と生徒のような関係となっていたので、僕は空気を読み、子供たちの積極性を前に出させるため、質問を控えめに見守った。ギルド職員の男性も、笑顔で子供たちに教えてくれたので、非常に和やかな空気で進められ、あっという間に60分が終わってしまう。ルティナとリノアは、職員に御礼を言い部屋を出て行くと、職員の男性がこちらへやって来た。
「久々に、教え甲斐のある子供と出会えたよ。あの歳頃だと、授業内容の意味がわからず、寝てしまう子が多いからね。私の話に必死にくらいついてくる賢明さが、気に入った。リョウトも、うかうかしていると追い越されるぞ」
「ですね。これから3人で更なる高みへ登れるよう、僕も頑張ります」
子供たちの吸収力って、馬鹿にできない。
「2時間後に行われる実習だけど、研究所には既に通達済みだから頑張って。ここで得た知識の個々の力量が試されるから、君だけ間違えないようにね」
「了解です」
次の実習は、国が経営負担している研究施設で行われる薬草採取で、始めに施設の先生に軽く実演してもらう。それを見て、僕たち自身が実際に薬草を10本採取し、品質B以上のものを6本とれば、合格認定され依頼達成となる。
僕だけ失敗する可能性もあるので、真剣に取り組む必要がある。僕は教室を出て、2人と合流しギルドを出る。昼食を済ませてから実習先となる研究所へ向かうと、国立だけあって敷地面積も広く、いくつもの大きな建物が正門入口からでも見えた。
「こ…こんな立派な施設の中で、実習をやるんだ」
「Gランクの実習なのに、なんでこんな場所でやるの?」
ルティナもリノアも、立派な施設に威圧され、身体がこわばっている。
「Gランクだからこそさ。依頼人が冒険者の採取した薬草類を受け取ると、そこからポーションや風邪薬、研究試薬などに利用される。ここの施設も研究を進めていく上で、そういった薬品類を購入しているんだ。僕たちの採取したものが、様々な物に加工され利用されるからこそ、間違ったものや傷んでいるものを採取してはいけないんだ。誰にも気づかれず流通し、誰かがそれを食べたり飲んだら死ぬ可能性だってあるのだから」
まあ、そうならないよう、ギルドや薬品・製造業者関係の人たちが、不良品の有無を厳しく品質管理しているから、流通することはまずありえないけどね。2人は実習の大切さを知ったのか、緊張こそしているけど、やる気を取り戻したようだ。
[ランク依頼]は、S~Gの8種に分別されており、魔物の脅威度に合わせて振り分けられている。冒険者の強さも魔物の脅威度と連動しており、S~Gの8種類あり、同ランクか1つ上のランクまでの依頼しか受けられない。
[共通依頼]は、特定のスキルやギフトを持ち合わせていないと、解決できないような内容になっており、冒険者ランクに関係しない。
[指名依頼]は、依頼人が特定の冒険者を指名し、個室にて依頼内容を告げられる。
これらの依頼の中でも、[ランク依頼][共通依頼]の2つは、専用の大きな掲示板に、依頼書が全て貼られており、どの冒険者パーティーが受けるかは、早い者勝ちとなっている。
僕がスキル[実体化]に関わるレポートをまとめている間、ルティナとリノアにはGランクと共通用掲示板の依頼を見てもらい、自分たちでできそうなものを見繕ってもらっている。レポートに関しては、30分ほどで書き上げたので、リオさんに見せていくと、彼女は感嘆の声をあげる。
「リョウト君、あなた事務職に向いているわよ。たった30分で仕上げたわりに、文法も完璧だし、内容もわかりやすい。私が誤字脱字を指摘して、何回も書き直させるパターンになるとばかり思っていたのに」
こればかりは、前世で出会った先生に感謝だ。あの人、陰陽師のくせに、報告書などの書き方が高校の先生よりも上手いし、その教え方もわかりやすかった。僕はすぐにコツを掴み誉められたけど、それ以降、陰陽師や副業に関わる業務報告書を書くよう命じられてしまったんだ。月10万のアルバイト料を提示されたから、即座にOKしたよ。 破格な給料の分、仕事量も半端なかったけど。
「このギルドの事務職に転職しない?」
「ご遠慮します」
安定した給料を得られるけど、そういった仕事は僕に合わない。
「リョウトさん、この依頼を受けたいです」
リノアが一枚の依頼書[薬草の採取方法を学びなさい・授業60分・実習60分]を握り締め、ルティナを連れて、いつの間にか僕の側に来ていた。
依頼書を読んだ限り、Gランクならではの内容だね。
この【Gランク】というのは、冒険者であって冒険者にあらず。
冒険者は依頼を達成させる過程で、大怪我を負う時もある。そういった場合、治療費などの経費は、全て自己負担となる。そのため、やり方を間違えば、たとえ報酬を貰っても、赤字になってしまうし、失敗した時は自分の信用も低下してしまう。
こういった厳しさを経験の浅い新米冒険者の段階から知ってもらうため、10年程前に新規にGランクが設立された。新米は、ここで6項目の依頼を全て達成させることで、Fランクへと昇格され、初心者冒険者としてデビューできる。
言い換えれば、Gランクは、冒険者になる1歩手前の訓練生と言えるだろう。無論、例外もあるけど、僕たちのように、パーティー内に未成年(15歳未満)の新規登録者がいる場合は、全員が強制的にGランクスタートとなっている。
Gランク依頼の依頼主は全て冒険者ギルド、依頼内容は講義や実習となっており、ここで冒険者としての常識を教わるのだ。一応、依頼を達成すれば、1人1000ゴルドずつの報酬もある。
リノアの選んだものは、薬草採取に関わる講義と実習だ。受ける順番など決まってないので、2人は興味を引いたものを選んだのかな。
「薬草採取か、新米冒険者にとって、必ず知っておかないといけないものだ。僕にとっても、勉強になるからありがたいね。まずは、これをやろう」
「はい!!」
「やる~~~」
2人が笑顔になると、周囲にいる冒険者たちもホッコリするのか、雰囲気が和らぐ。
「普通に見た限り、リノアがタルパだなんて信じられないわ。マクレミーサ様はこんな良い子たちを……」
リオさんもホッコリしていたけど、表情が急に険しくなる。
「ルティナ、リノア、ここにいる皆が、あなたたちの味方よ。神殿側に何か動きがあるようなら、すぐに教えるから、あなたたちは少しずつ強くなっていきなさい。リョウト君、護衛を頼んだわよ」
「了解」
講義が始まるまで、あと30分程か。
それまでに、必要なノートや文房具類を揃えておこう。
○○○
60分の講義、独学で得た知識と被っている箇所もあったけど、僕にとって非常に有意義なものだった。講義を受けにきた人数は僕たち3人だけ、先生役のギルド職員の男性は30歳くらいのベテランで、教科書となる冊子を渡してくれただけでなく、見た目の似ている薬草と毒草の違いを、黒板に描き丁寧に教えてくれたので、子供達は必死にノートに書き、先生に質問しながら、講義が進んでいく。
ある種の小学校の先生と生徒のような関係となっていたので、僕は空気を読み、子供たちの積極性を前に出させるため、質問を控えめに見守った。ギルド職員の男性も、笑顔で子供たちに教えてくれたので、非常に和やかな空気で進められ、あっという間に60分が終わってしまう。ルティナとリノアは、職員に御礼を言い部屋を出て行くと、職員の男性がこちらへやって来た。
「久々に、教え甲斐のある子供と出会えたよ。あの歳頃だと、授業内容の意味がわからず、寝てしまう子が多いからね。私の話に必死にくらいついてくる賢明さが、気に入った。リョウトも、うかうかしていると追い越されるぞ」
「ですね。これから3人で更なる高みへ登れるよう、僕も頑張ります」
子供たちの吸収力って、馬鹿にできない。
「2時間後に行われる実習だけど、研究所には既に通達済みだから頑張って。ここで得た知識の個々の力量が試されるから、君だけ間違えないようにね」
「了解です」
次の実習は、国が経営負担している研究施設で行われる薬草採取で、始めに施設の先生に軽く実演してもらう。それを見て、僕たち自身が実際に薬草を10本採取し、品質B以上のものを6本とれば、合格認定され依頼達成となる。
僕だけ失敗する可能性もあるので、真剣に取り組む必要がある。僕は教室を出て、2人と合流しギルドを出る。昼食を済ませてから実習先となる研究所へ向かうと、国立だけあって敷地面積も広く、いくつもの大きな建物が正門入口からでも見えた。
「こ…こんな立派な施設の中で、実習をやるんだ」
「Gランクの実習なのに、なんでこんな場所でやるの?」
ルティナもリノアも、立派な施設に威圧され、身体がこわばっている。
「Gランクだからこそさ。依頼人が冒険者の採取した薬草類を受け取ると、そこからポーションや風邪薬、研究試薬などに利用される。ここの施設も研究を進めていく上で、そういった薬品類を購入しているんだ。僕たちの採取したものが、様々な物に加工され利用されるからこそ、間違ったものや傷んでいるものを採取してはいけないんだ。誰にも気づかれず流通し、誰かがそれを食べたり飲んだら死ぬ可能性だってあるのだから」
まあ、そうならないよう、ギルドや薬品・製造業者関係の人たちが、不良品の有無を厳しく品質管理しているから、流通することはまずありえないけどね。2人は実習の大切さを知ったのか、緊張こそしているけど、やる気を取り戻したようだ。
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