加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護

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21話 訓練の成果

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用意してくれた部屋は、一流ホテルのスタンダードクラス並みに広かったことから、平民の2人にとっては初体験だったようで、当初は目的を忘れるほど部屋中を探検し、日本の子供のようにはしゃいでいた。僕の場合、陰陽師の先生がやたら広い屋敷に住んでいて、僕は住み込みのアルバイトとして働かせてもらっていたから、こういう豪華な部屋にも慣れている。ちなみに、今世は伯爵家に生まれ育っているけど、部屋は使用人と同レベルで狭かった。

15分程して落ち着きを取り戻し、僕はリノアに施すスキルを説明する。
成功させるには、僕とリノアの想像力が大きく関わってくる。
このゆったりして落ち着く空間で、2泊出来ることを最大限に利用しよう。

「リョウトさん、その方法って誰に教わったの?」

「うん? 誰にも教わってないよ。僕個人で考え出したものだ。皆、既存スキルや既存魔法に頼りすぎだ。タルパの力を制御したいのなら、それに見合うものを考案し、作成すればいいのさ。まあ、これも周知されていないだけで、存在している可能性もあるけどね」

「だとしても、そういったスキルを簡単に扱えているリョウトさんが凄い」
「魔法を使えないお兄ちゃんだから可能なんだよ」
「同感」

う~ん、2人はやや呆れているけど、感心もしている。リノアが、これを3日以内に習得出来るよう、僕とルティナでフォローしていこう。


…3日後…


「ルティナ、上手く出来てるかな?」
「バッチリ!!」

僕の視点から見ても、リノアの身につけた新規スキル[実体化]は、正常に機能している。

この部屋へ入り、このスキルを入手するため、ルティナと共に魔力制御訓練を実施した。この2日間真剣に取り組んだこともあって、当初の魔力量が128と低かったものが、今では437へと大幅に向上し、スキル[短剣術][体術]なども取得している。ただ、生前の魔力量が2000ほどだったこともあり、リノアはこの成果に対して、全然満足しておらず、早く元の数値に戻したい、いやそれ以上にしたいと意気込んでいる。

だが、訓練を実施していく上で、一つの問題点が浮き上がる。
タルパの弱点は光と聖、それ故、その関係のスキルと魔法を取得できない。
魔法に限っていえば、闇しか扱えない。

昨日の夜、リノアはこの事実を知ったことで、とても悔しがっており、これまで聖女様に教わったもの全てが取得不可になったことで、今後何を基点に訓練していけばいいのかわからず悩むようになってしまった。

僕はそんな彼女を見て、いくつかアドバイスした。

『焦ったらダメだよ。君はタルパになったばかりで、力の制御方法を知ったばかりの初心者なんだ。今の時点で、僕から言えるのは、タルパとしての良き先輩を見つけることだね』

『先輩…ですか?』

『この王都は、広大だ。君と同じように、理性を保ちながら強者となっているタルパは必ずいる。その先輩を見つけ出して、タルパとしての自衛手段を学べばいいのさ』

『そっか!! その先輩から基本を学んで、タルパとしての私の長所を見つけて、そこを強化していけばいいんだ』

こうして解決手段を見つけたことで、今のリノアからは悩みを感じられない。
新たな門出を迎えるにあたって、2人の精神状態は極めていい。

「さあ、行こうか」
「はい!!」「うん!!」

昨日、僕はルティナと半透明状態のリノアを連れて、衣服類を揃えるお店に行き、子供用冒険者服を1人2着購入しておいた。この時点でリノアは実体化可能だったけど、皆を驚かせるため、ずっと半透明状態を維持していたが、ルティナが試着する際、自分も試着室へ入り、こっそりと実体化して試着し、着心地を確認している。

現在、2人はそのうちの1着を着用している。活発に動けるよう、スカートではなく、半ズボンだ。

そして、2人には護身用として、小さな短剣とロッドを持たせている。結構な出費になったけど、今後のことを考えれば仕方ないといえる。動きやすいよう腰に引っ掛けているので、邪魔になっていない。

僕らが部屋を出て1階に到着する頃には、大勢の冒険者がリノアの異変に気づき、驚愕している。皆がリノアに釘付けなものだから、彼女もその視線に気付き、少し恥ずかしがっている。周囲の人たちから視線を集める中、僕らはリオさんのもとへ到着する。

「リオさん、これで僕たちは、冒険者として登録可能ですよね?」

リオさんの顔が、ヒクヒクと引きつっている。
この雰囲気から察するに、[実体化]は周知されていないスキルのようだ。
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