加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護

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18話 復讐に向けての再出発

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2人の視点から見れば、新規のシステムを構築したように見えるけど、実際は先生の術をほぼパクったと言っても過言ではない。

「そんな…簡単に…そういえば、タルパが突然出現したのも?」

あの時、タルパの急襲で2人とも焦っていたこともあり、僕の言葉を聞いていなかったから、ようやくおかしいことに気づいたようだ。

「ああ、僕とルティナが到着した時点で、奴らは上空に潜んでいたからね。気づかれないよう、奴らをギフトで掌握して悪人どもに仕向けた。ついでに言っておくと、昨日起きた事件のタルパも、上空に潜んでいたからこそ、君たちも気づけなかったんだ」

僕の言葉に対して、リノアは小難しい表情となる。

「上空? 気にしたこともなかった。気づいていれば、私も死ぬことはなかったんだ」

驚いているところ悪いけど、ここから移動したいし、話を変えさせてもらおう。

「さて、話を変えようか。君たちは、諸悪の根源マクレミーサに復讐したいのかな?」

2人の顔色が、急速に強張る。

「当然だよ。光精霊様は罰を与えると言っていたけど、私自身もあいつにギャフンと言わせたい」

「ルティナと同意見、私はあいつに殺された!! 絶対に、許せない!!」

2人とも、復讐したい気持ちはあるようだけど、言葉だけで具体性がない。それなら、こちらから踏み込ませてもらおう。

「奴を殺すことが、君たちの復讐かい?」

僕が目を細め、声色を低くして問い詰めると、2人は黙り込む。
初めに口を開いたのは、ルティナだ。

「それは……何か違う。それだと、マクレミーサと同じになっちゃうもん。私は、あの人に罪を認めさせて反省を促したい。聖女になれる才能を持っているんだから、権力を正しいことに使えと言いたい」

普通、7歳でここまでしっかりとした意見を言えない。相当な英才教育を、神殿内で受けてきたのだろう。

「私も……ルティナと同じ気持ち…かな。殺したいという気持ちも強いけど、それだと彼女は罪を認めないまま、あの世に行ってしまう。別の形で復讐したい」

リノアもルティナと再会したことで、恨みの気持ちが少しだけ晴れたのか、その犯人に反省を促したいと進言している。

「それなら、君たちはどう行動すれば、マクレミーサへの復讐に繋がると思っているのかな? 焦らず、2人だけで考えてみるといい」

2人だけでの話し合いが始まり、僕はその内容に耳を傾ける。
2人が、どんな判断を下すのか楽しみだ。

復讐…か。

前世で僕を裏切ってきた連中に関しては、僕自身が天誅を与えたいと常日頃から思っていたけど、結局それは叶わぬ夢となった。もし、あのまま生存していたら、僕は復讐に走ったのかな?

……いや、それはないな。

今思えば、小学生・中学生の起こした事件なんて、たかが知れてる。あんな奴らのために、僕がわざわざ犯罪を犯す必要なんてない。ただ、虐めた本人たちが、今もぬくぬくと結婚し子育てとかをしながら、幸せな生活を送っていると思うと、虫唾が走る。この異世界のように、日本にも神様がいるのなら、そういった者たちにはそれ相応の天罰を与えてほしい。

「お兄ちゃん、決めたよ。私たちは、マクレミーサに何もしない。お兄ちゃんと一緒に冒険することが、あいつへの復讐に繋がるから」

へえ、そうくるか。

「あの人たちは、ルティナが諸悪の根源と思っています。それなら、タルパになった私がルティナと一緒に仲良く生活していれば、皆おかしいと思うはずです。だから、マクレミーサには何もしません」

この子たちなりに考えた決断、ここはその意見を尊重しよう。後々、問題が起きると思うけど、そこは僕と協力して対処していけばいい。

「わかった、それでいこう。リノア、使役の儀式を始めよう」
「はい」

使役の儀式は、簡単だ。使役される側が、使役する者の額に自分の額をくっつけて、【私は、あなたに使役されたい】と心から願い、使役する者がそれを許可することで、両者の心が繋がり、不可視の主従の鎖が生まれる。

リノアは、僕の額に自分の額をつける。

『私はリョウトさんに使役され、ルティナと3人で楽しい冒険者生活を築いていきたい』
『その願い、受け入れよう』

リノアの願いを聞き入れると、僕たちの身体が淡く光り、僕はスキル【テイム】を取得する。この契約に関しては、いずれルティナへ移行するだろうけど、当面の間は僕が主人となる。

「終了。さあ、僕たち3人の冒険を始めようか!!」
「はい!!」「うん!!」

ヒライデン伯爵家、女神フォルテシアを崇めるフォルテシア教、今後こいつらが僕たちにどう関与してくるのか不明だけど、僕は僕の行く道を自ら考え行動していく。

立ちはだかる壁があるのなら、突き崩すだけだ。

僕は覚悟を決め、ルティナとリノアを引き連れて邸を出ていく。2人も覚悟を決めたようで、僕と手を繋がずに堂々とした態度で、邸の外を歩いていく。
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