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7話 ルティナの身に何が起きた?
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タルパ共を食い尽くしてから2時間程で、幼女ルティナが目を覚ました。
「ここ…どこ?」
金髪碧眼、ぱっと見は外国の幼女だな。
「ここは王都の宿屋だよ」
「お兄ちゃん、誰?」
「僕は平民のリョウト、王都郊外でふらついている君を見つけたんだ。タルパに憑かれていたから、全て討伐しておいたよ」
「私はルティナ、4体も憑かれていたのに、どうやって討伐したの?」
疑問に持つところは、そこか。そういえば、僕はタルパの対抗手段などの一般常識を女神から教えられていたけど、そこに暴食のような魔術は含まれていない。騒がれてもまずいし、話を逸らすか。
「君は巫女だから、タルパの対処方法を知ってるよね?」
この国の聖女は、創造神でもある女神フォルテシアを崇めるフォルテシア教に所属しており、国民にとっては神のように崇めるべき存在だ。その存在に仕えるという意味合いで、次代の聖女候補のことを巫女と呼んでいる。
「うん。成仏させるには、聖属性の浄化魔法が必要だけど、討伐だけなら[聖][光][闇]のいずれかの攻撃手段で可能って習った。お兄ちゃんは、そのいずれかで討伐したんだね」
どうやら、自分で納得してくれたようだ。
まあ、魔術[暴食]は闇属性に該当するから、一概に間違いではない。
自分の状況を思い出したのか、彼女の顔に陰りが生じる。
「昨日、冒険者ギルドから『旧ラリマンド邸に棲みついた3体のタルパを成仏してくれ』という依頼が入ったの。冒険者が事前に偵察してくれたおかげで、3体のタルパは温厚で戦意もないとわかっていたから、実戦経験のない私と同じ種族で同い年の親友リノア、経験豊富な先輩巫女マクレミーサ様が指名されて、今朝になって邸へ行ったの」
巫女に関しては、新聞記事や雑誌などの特集欄で見たことある。ルティナとリノアのことは知らないけど、マクレミーサという女性は15歳の侯爵令嬢で、次代の聖女に最も近いと言われている女性だ。
実戦経験のないルティナとリノアにとって、[温厚なタルパ3名を成仏させる]という任務は、貴重な経験となる。マクレミーサ様が補佐してくれるのなら、失敗は起こりえないはずだ。
恐らく、予期せぬ何かが起きたのだろう。
タルパは闇属性、昼夜問わず活動出来るけど、昼間は隠れており、力の増す夜になってから活発に動き出す。
「温厚なタルパなら、何故憑かれたのかな?」
ルティナは、悲壮な表情となる。
「どんな任務であれ、必ず引率の神官様がいるの。今回は私とリノアのよく知るジェイコブ先生がついて来てくれるはずだったけど、今朝に限って、お客様が急に訪れて、先生とお話をしたいってことになったの。だから、私たちは結界型魔道具を貰い、先に邸へ行って、敷地外から偵察しながら敷地境界線に沿って結界を張ったの」
そこまでは、問題ない。温厚なタルパとはいえ、急変する危険性もゼロではないから、敷地外へ出ないようにするための処置といったところか。
「偵察を終えても、先生が中々来ないから、マクレミーサ様が苛立って、私たちだけでやることになったの」
急に、事態が動き出したな。
「そこは、先生を待つべきでしょ?」
「あの人は、貴族ファーレン家の侯爵令嬢なんだ。今日の夕方、舞踏会が王城で催されるから、早々に終わらせたいって言ってた。私もリノアも平民だから、舞踏会なんて知らないけど、普段温和なマクレミーサ様がかなり焦っていたから、私たちも協力することにした。温厚な3名のタルパを成仏させるくらいなら、私たちでも出来るかなと思ったから。それに簡単な任務なら、独断で行っても先生に叱られないの」
「マクレミーサ様は、自分で実施した敷地外からの偵察で問題なしと判断したわけだね?」
「うん」
敷地外から気配を窺いながらの偵察をきちんと行い、強者から生じる身を蝕む気配はないと判断して、3人での任務遂行に移したわけか。あとはタルパと対面し話し合い、[成仏]か[討伐]かを自分たちで判断すればいい。
悪意がないようであれば、お互い納得の上で聖属性による浄化の光をタルパに浴びせ、身体を天へと昇天させる、これが【成仏】という行為だ。
タルパ側が人を殺傷するような悪意を持ち、話し合いで成仏を拒むようであれば、聖、光、闇魔法を付与した武具でタルパを斬り消滅させ、そこで漏れ出た魔力類は、大地に吸収される。この仕組みが【討伐】だ。
「2階廊下で3体の人型タルパを発見して、話し合いを行い、私とリノアが手順通りに成仏させたのはいいけど、あの3体は最後に『ごめんなさい』と謝罪したの」
何故、謝罪? そこは、感謝を示すところだろ?
「最後の言葉だけ意味がわからなかったけど、とりあえず任務を終えたから、私たちは1階に下りて、玄関扉を開けた。そうしたら、12体のタルパに囲まれていたの」
12体だって!?
そんな数のタルパが、敷地内に隠れていたのか。
「全員が強い殺意を抱いていて……一斉に襲いかかってきた」
その3体の浄化されたタルパは、囮ってことか。
「ここ…どこ?」
金髪碧眼、ぱっと見は外国の幼女だな。
「ここは王都の宿屋だよ」
「お兄ちゃん、誰?」
「僕は平民のリョウト、王都郊外でふらついている君を見つけたんだ。タルパに憑かれていたから、全て討伐しておいたよ」
「私はルティナ、4体も憑かれていたのに、どうやって討伐したの?」
疑問に持つところは、そこか。そういえば、僕はタルパの対抗手段などの一般常識を女神から教えられていたけど、そこに暴食のような魔術は含まれていない。騒がれてもまずいし、話を逸らすか。
「君は巫女だから、タルパの対処方法を知ってるよね?」
この国の聖女は、創造神でもある女神フォルテシアを崇めるフォルテシア教に所属しており、国民にとっては神のように崇めるべき存在だ。その存在に仕えるという意味合いで、次代の聖女候補のことを巫女と呼んでいる。
「うん。成仏させるには、聖属性の浄化魔法が必要だけど、討伐だけなら[聖][光][闇]のいずれかの攻撃手段で可能って習った。お兄ちゃんは、そのいずれかで討伐したんだね」
どうやら、自分で納得してくれたようだ。
まあ、魔術[暴食]は闇属性に該当するから、一概に間違いではない。
自分の状況を思い出したのか、彼女の顔に陰りが生じる。
「昨日、冒険者ギルドから『旧ラリマンド邸に棲みついた3体のタルパを成仏してくれ』という依頼が入ったの。冒険者が事前に偵察してくれたおかげで、3体のタルパは温厚で戦意もないとわかっていたから、実戦経験のない私と同じ種族で同い年の親友リノア、経験豊富な先輩巫女マクレミーサ様が指名されて、今朝になって邸へ行ったの」
巫女に関しては、新聞記事や雑誌などの特集欄で見たことある。ルティナとリノアのことは知らないけど、マクレミーサという女性は15歳の侯爵令嬢で、次代の聖女に最も近いと言われている女性だ。
実戦経験のないルティナとリノアにとって、[温厚なタルパ3名を成仏させる]という任務は、貴重な経験となる。マクレミーサ様が補佐してくれるのなら、失敗は起こりえないはずだ。
恐らく、予期せぬ何かが起きたのだろう。
タルパは闇属性、昼夜問わず活動出来るけど、昼間は隠れており、力の増す夜になってから活発に動き出す。
「温厚なタルパなら、何故憑かれたのかな?」
ルティナは、悲壮な表情となる。
「どんな任務であれ、必ず引率の神官様がいるの。今回は私とリノアのよく知るジェイコブ先生がついて来てくれるはずだったけど、今朝に限って、お客様が急に訪れて、先生とお話をしたいってことになったの。だから、私たちは結界型魔道具を貰い、先に邸へ行って、敷地外から偵察しながら敷地境界線に沿って結界を張ったの」
そこまでは、問題ない。温厚なタルパとはいえ、急変する危険性もゼロではないから、敷地外へ出ないようにするための処置といったところか。
「偵察を終えても、先生が中々来ないから、マクレミーサ様が苛立って、私たちだけでやることになったの」
急に、事態が動き出したな。
「そこは、先生を待つべきでしょ?」
「あの人は、貴族ファーレン家の侯爵令嬢なんだ。今日の夕方、舞踏会が王城で催されるから、早々に終わらせたいって言ってた。私もリノアも平民だから、舞踏会なんて知らないけど、普段温和なマクレミーサ様がかなり焦っていたから、私たちも協力することにした。温厚な3名のタルパを成仏させるくらいなら、私たちでも出来るかなと思ったから。それに簡単な任務なら、独断で行っても先生に叱られないの」
「マクレミーサ様は、自分で実施した敷地外からの偵察で問題なしと判断したわけだね?」
「うん」
敷地外から気配を窺いながらの偵察をきちんと行い、強者から生じる身を蝕む気配はないと判断して、3人での任務遂行に移したわけか。あとはタルパと対面し話し合い、[成仏]か[討伐]かを自分たちで判断すればいい。
悪意がないようであれば、お互い納得の上で聖属性による浄化の光をタルパに浴びせ、身体を天へと昇天させる、これが【成仏】という行為だ。
タルパ側が人を殺傷するような悪意を持ち、話し合いで成仏を拒むようであれば、聖、光、闇魔法を付与した武具でタルパを斬り消滅させ、そこで漏れ出た魔力類は、大地に吸収される。この仕組みが【討伐】だ。
「2階廊下で3体の人型タルパを発見して、話し合いを行い、私とリノアが手順通りに成仏させたのはいいけど、あの3体は最後に『ごめんなさい』と謝罪したの」
何故、謝罪? そこは、感謝を示すところだろ?
「最後の言葉だけ意味がわからなかったけど、とりあえず任務を終えたから、私たちは1階に下りて、玄関扉を開けた。そうしたら、12体のタルパに囲まれていたの」
12体だって!?
そんな数のタルパが、敷地内に隠れていたのか。
「全員が強い殺意を抱いていて……一斉に襲いかかってきた」
その3体の浄化されたタルパは、囮ってことか。
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